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1 大麻取締法では、合法大麻と違法大麻が存在します。 |
大麻取締法第1条では、以下のようになっています。
但し書きの部分を分かりやすく抜粋します。
上記のように なっています。 大麻草も、普通の草花と同じで、根があり、茎があり、枝、葉、そしてメスの草は、花も咲き、種も取れます。 成熟した茎と種子が規制の対象外になっています。 それらから、何が出来ているか? 成熟した茎であれば、茎の植物繊維を使い、衣服や小物などの麻製品です。 夏場などに着られる「麻製の服」があるのですが、何の植物繊維かを分かりやすくするために、正確に書くと・・・ 「大麻製の服」になります。 そして、種子は・・・ たぶん、各家庭にあると思うのですが・・・ 七味唐辛子の中に入っている麻の実(おのみ)が、そうです。 これも、正確に書くと・・・ 「大麻の実」になります。 大麻疑惑で検査陽性によって、「使用」の大騒ぎをしたメディア関係者にしても、麻製品は好みがありますから、使わない人もみえると思いますが・・・ 七味唐辛子を使わない人は少ないと思います。 ちなみに、七味唐辛子を使っている人なら、大麻成分が入った種子を体内に入れていますので、「使用」していることになります。 そして、茎の中の導管部分には、大麻成分のカンナビノイドが存在しています。カンナビノイドには、いろいろな効能があるので、その部分から、大麻成分を抽出し、医薬品にも利用されています。 医薬品は、服用するものですし、当然体内に入れますので、大麻成分を「使用」します。 大麻取締法で「使用」を禁止すると、どういうことになるのか、これでお分かりいただけたと思います。 大麻草の成熟した茎、茎から利用した樹脂以外の製品、種子、種子を利用した製品が、合法大麻となり、それ以外の部分が違法大麻となります。 |
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2 薬事法によって、カンナビノイド薬品の製造、販売などが可能です。 |
大麻取締法では、以下のように定義されていました。
大麻取締法では、但し書きとして、成熟した茎や種子が規制対象外になっていますが、大麻成分のカンナビノイドは、茎の導管部分にも多く含まれいます。(ですから、樹脂が規制対象になっているのですが・・・) 但し書きの部分を利用して、樹脂以外の製品が作られていれば、法的に問題ないのですが、薬というのは、適量なら薬になるが、多量だと毒にもなるという性格を持っていますから、どうしても許認可が必要になりますので、何らかの法で規制する必要があります。 その法が薬事法です。
薬事法第76条の4から以下の部分を抜き出します。
市販用の薬は、個々の購入者が自分で判断して服用しますから、用法用量を間違って多めに服用してしまうことも可能性としてあります。医薬部外品なら問題ないことでも、医薬品だと事故に繋がる可能性があります。市販用の医薬品は、万が一でも、あってはならないことですので、基本的に薬効が弱めの薬しか厚生労働省は認可していないと思います。 用法用量をきちんと守って服用しなければならない薬については、医師の処方が必要な薬にしてあるはずです。医師が処方する薬については、どんなに強い薬であっても審査が通れば、厚生労働省も認可していると思います。 食欲増進効果は、人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途に属すると思います。法で認めている以上、まず間違いなく存在してると思います。 大麻草も規制すべき草ではあるけど、食欲増進薬としては非常に有効である。この効能を分かっていながら製薬会社が作っていないということは、ありえないことです。大麻取締法は結構古くからありますので、ずっと以前から薬は存在していたと思います。例えば、モルヒネは一般では手に入りませんが、臨床現場では使われています。それと同じような感じで考えてもらえば分かりやすいと思います。 ついでに書いておきますが、医療用を禁止にできないので、大麻取締法も一般使用禁止にすることが出来ないのです。もし、一般使用を禁止にしてしまうと、医療用も禁止にしなければならなくなります。使用禁止への法改正は、疾病者への治療の道を閉ざすことにもなり、人道的配慮に欠けた行為として、とても出来ません。 七味の麻の実も日常生活に入り込んでいますから、微量の成分は出ますが、処方箋薬として存在しているだろうことは容易に想像つきますので、その処方箋薬を服用した際には、当然の事ながら、大量に体内にカンナビノイドが存在します。 処方箋薬ですから、カンナビノイドだけの成分で薬が作られていても何の不思議もないです。医師が患者を診断し用法用量を患者に合わせて処方している薬ですから、事故の心配もありません。 ちなみに、厚生労働大臣から許可を受けた製薬会社なら、製造も輸入も可能なのですから、いったいどれくらいの種類のカンナビノイド医薬品があるのか・・・見当もつきません。 アメリカ合衆国は、連邦で「使用」も禁止していますので、仮に医療用であっても、「使用」には違いないので、州独自に法律を制定しなければ使えません。ですから、州によっては、医療用に限り合法にしている州もありますが・・・ 日本での医療用のカンナビノイド薬品は、薬事法の基準を満たしていれば、国として元々合法になっています。 アメリカ合衆国と日本の大きな違いになります。 |
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3 関税法では、大麻に合法、違法の区別はありません。 |
もし、大麻取締法では合法になっている種子を輸入した場合にどうなるかは、関税法を読んでもらえば分かるのですが・・・ 関税法から、該当条文を探すのは、慣れた方でないと時間がかかると思いますので、罰則規定と一緒に抜粋しておきます。 インターネットを利用しての輸入行為が多いようですので、輸入の方の条文を紹介しておきます。
一目瞭然ですが・・・ 大麻としか書いてありません。よって、輸入した場合には、大麻取扱者の許可を受けた者が、法の定めに沿って輸入する場合を除いて、大麻取締法で適用除外(合法)になっている部分も違法大麻になります。 大麻取締法では、種子が規制の対象外になっていますので、大丈夫そうに思えても、大麻取締法以外にも、こういう法律がありますので、もし、インターネットで、大麻種子を輸入したら、関税法第六十九条の十一第1項第1号違反行為になり、罪の構成要件など、罪を問うためのいろいろな要件を満たせば、起訴され、罪に問われ、第百九条第1項の罰則規定が適用され、罰を受けることとなります。 |
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4 大麻を密輸入・密売など、業とした場合には、麻薬特例法適用もあります。 |
「麻薬特例法」は略した表現になります。正式名は、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 になるのですが、長いので、文中では「麻薬特例法」を使います。 麻薬特例法の中の大麻に関わる部分を抜粋し、併せて大麻取締法での該当条文も一緒に貼り付けておきます。
簡単に書くと・・・ 営利目的で、栽培、輸出入、譲り受け、譲り渡しやそれに関わる行為などを業とした者が、麻薬特例法の処罰の対象者になるわけです。 罪の重さが、どう変わっていくのかをチャートにしました。
そして、この麻薬特例法には、第11条〜第14条で、没収、追徴の規定が謳ってありますので、仮に薬物犯罪行為によって利益を得たとしても、没収、追徴の対象になります。 多くの法律には、第1条に、その法を制定した趣旨が謳ってある場合が多いのですが、この麻薬特例法にも同様に謳ってあります。
簡単に言って、薬物犯罪での薬物犯罪収益などをはく奪するために制定されたような法律ですから、当然のごとく、没収、追徴の規定が存在します。 大麻についての規定がある法律には、罰則規定に無期懲役刑が規定されている麻薬特例法もあります。 |
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5 疾病でカンナビノイドの食欲増進効果を必要とする場合は・・・ |
精神的に大きなストレスを受け、食欲が減退し、食べ物が喉を通らない。という経験のある方ならば、その状態がどういうものであるか分かると思いますが、想像しづらい方のために書いておきます。 人に限らず生物は、生きていくために、自分に対して栄養を補給していきます。 が、食欲が減退すると・・・ それをしなくなってしまいます。 当面は、自分の身体の中にある体脂肪を燃焼し、エネルギーに変換して補うのですが、当然の事ながら痩せていきます。食事を摂らないで、痩せていった場合になりやすい症状に、拒食症があります。 こういう場合に、食欲増進効果があるカンナビノイドの薬効が有効になります。 食欲が、−10くらいのレベルになっている状態の身体に、+10の効果がある薬を投与すれば、±0になり、普通に食事を摂ることが可能になります。 カンナビノイド薬を投与することで、症状の改善が見込めますから、こういう場合に処方される可能性があります。 そして、精神的なストレスが原因の食欲減退ではなく、治療のために用いた薬の副作用によって食欲減退が起きた場合に、その副作用を抑えるために処方される場合もあります。 例えば、末期癌の場合には、強烈な痛みを伴う場合がありますが、通常の鎮痛剤では効きません。 こういう場合には、痛みを和らげるために、強い鎮痛効果があるモルヒネを投与する場合がありますが、モルヒネの場合には、痛みを和らげる代わりに、激しい吐き気や食事を摂れなくなるという副作用があります。 この副作用を抑えてくれるのも、カンナビノイドの薬効になります。 モルヒネの鎮痛効果により、痛みを和らげ、カンナビノイドの食欲増進効果によって、吐き気、食欲減退を改善させるわけです。 癌による痛みが取れ、食事も普通に摂れることで、患者に対する治療としてベストの選択になると思います。 処方箋薬をもらったことがある方なら、お分かりだと思いますが、処方される薬は、必ずしも1種類とは限りません。カンナビノイドの薬効の食欲増進効果を考えると、このようにモルヒネとカンナビノイドを併用して治療に使われている場合も可能性としてあります。 薬は、その人の症状に合わせて処方しますので、カンナビノイド薬品でも、いろいろな使われ方がされていると思いますが、分かりやすい例として、2例挙げてみました。 |
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6 大麻の「種子」について |
国産の大麻種子は、大麻取締法が制定される以前から、七味唐辛子の中の麻のみや、小鳥の餌などの飼料、そして種子を利用した製品で大麻油などとして、日常生活の中に普通に存在していました。 大麻取締法で「種子」は規制の対象外になっていますが、国産の大麻種子にも極微量ですがカンナビノイドを成分として含むので、販売する前に種子が発芽しないよう処理が施してあります。 100%完全にということは何事にもありえないので、確かに例外はありますが、基本的に市販されている七味の中の麻のみ(種子)には発芽する種子は存在しないような運用の仕方がされています。 そして、どんな植物にも言えることだと思いますが、気候、平均気温、日照条件、土壌などで、同じ種子や苗でも、育ち方が変わりますから、そういう関係があるのか・・・ 国産の大麻草は、中南米産やインド産の大麻草と比較すると、元々、大麻で問題となる「ハイな気分になる」成分量が少ないと言われています。 外見上では同様に見える大麻草の種子であっても、国産のと、中南米産、インド産のとでは、大きく違うということがあります。 |
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7 大麻取締法での「栽培」について |
栽培という行為は、種を蒔く行為から始まります。種を蒔かないことには発芽しませんし、育ちもしません。 仮に、種だけ蒔いて、その後、放置しておいたとしても、栽培目的で大麻の種子を蒔いたら、発芽、生育したら当然の事ながら、例え発芽しなくても大麻取締法での栽培行為となります。 |
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8 「種子」を販売している海外のサイトがあるようですが・・・ |
インターネットで、海外のサイトから大麻種子を個人輸入している人が多いという記事を見かけましたが・・・ 大麻種子は、確かに大麻取締法では、規制の対象外ですが、関税法では、規制の対象となっているので、許可無く大麻種子を輸入すると、関税法違反行為となります。 法にはいろいろな法があり、複雑に絡み合っていますので、法によって規制する場合には、1つの法だけでなく、いろいろな法によって規制されている場合が多くあります。 大麻の場合も、大麻取締法だけでなく、関税法、薬事法、麻薬特例法などが関わっているのですが・・・ メディアの記事でも、そういったことに触れていない場合も多かったので、こういうことが意外と知られていないのかな? と感じました。 大麻の種子を許可なく輸入すれば、関税法(禁制品輸入)違反行為になりますし、輸入した種子で栽培行為をしたら、大麻取締法(栽培)違反行為となります。 よって罪の構成要件など、いろいろな要件を満たせば、起訴され、罪に問われ、罰を受けることとなります。 大麻取締法で大丈夫だからと、勘違いしないように、くれぐれもご注意ください。 |
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