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少年殺人事件

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東京吉祥寺路上女性強殺事件


事件概要

 2013年2月28日、午前1時50分頃、東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目の路上を歩いて帰宅中だった女性の背中や腕を刃物のようなもので刺され、持っていたバッグや財布などが奪われた。2人組の犯人は現場から逃走。犯人達は奪ったキャッシュカードを使い、近くのコンビニの現金自動預払機(ATM)で現金を引き出そうとしたが、失敗した。

 午前1時55分頃、武蔵野市吉祥寺本町2丁目の市道に若い女性が倒れているのを通行人の男性が発見し、110番通報。女性は背中2ヶ所と左手首付近を刺されており搬送先の病院で死亡を確認した。

 現場から約200メートル離れた路上で女性のバッグが見つかったが、財布は入っていなかった。財布などがなく、警視庁捜査1課などは強盗殺人容疑で捜査を始めた。早朝、JR吉祥寺駅近くで服装が似ている少年を発見。警察官が職務質問。少年は他人名義の通帳を所持。不正に手に入れた他人名義の通帳を持っていた疑いがあるとして、占有離脱物横領容疑で少年を逮捕した。

 被害者は近くに住むアルバイト店員の22歳女性と判明。司法解剖の結果、大動脈を損傷したことによる失血死が死因と判明。背中の傷の一つは肺に達していた。

 3月1日、警視庁組織犯罪対策2課は、強盗殺人容疑で、ルーマニア国籍で無職の17歳少年Aを再逮捕した。少年が持っていた手袋に血液が付着、DNA型が被害女性のものと一致した。2日深夜、17歳少年の共犯とみて組織犯罪対策2課が行方を追っていた日本人の18歳少年Bが知人に付き添われ日野署に出頭。3日、警視庁は18歳少年を強盗殺人容疑で逮捕した。

 3月21日、東京地検立川支部は、強盗殺人や窃盗未遂などの非行事実で、いずれも無職のルーマニア国籍の17歳少年Aと日本人の18歳少年Bを東京家裁立川支部に送致。4月17日、東京家裁(山口裕之裁判長)は、ルーマニア国籍の17歳少年Aと日本人の18歳少年Bを検察官送致(逆送)とする決定をした。

 4月26日、東京地検立川支部は、ルーマニア国籍の17歳少年Aと日本人の18歳少年Bを強盗殺人などの罪で起訴した。

 ※東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目周辺の地図 - Yahoo!ロコ
更新日時:
2013年4月26日




事件経過
日付 摘要
2013 02/27 午後、国立市のスーパーで刃物2本と手袋を入手
2少年は、吉祥寺駅近くに移動し漫画喫茶などで時間をつぶす
02/28 午前1時50分頃、東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目の路上を歩いて帰宅中だった女性の背中や腕を刃物のようなもので刺され、持っていたバッグや財布などが奪われる
2人組の男が現場から逃走
奪ったキャッシュカードを使い、近くのコンビニの現金自動預払機(ATM)で現金を引き出そうとし、失敗
午前1時55分頃、武蔵野市吉祥寺本町2丁目の市道に若い女性が倒れているのを通行人の男性が発見し、110番通報
女性は背中2ヶ所と左手首付近を刺されており搬送先の病院で死亡を確認
現場から約200メートル離れた路上で女性のバッグが見つかったが、財布は入っていなかった。財布などがなく、警視庁捜査1課などは強盗殺人容疑で捜査を始める
早朝、JR吉祥寺駅近くで服装が似ている少年を発見。警察官が職務質問。少年は他人名義の通帳を所持。不正に手に入れた他人名義の通帳を持っていた疑いがあるとして、占有離脱物横領容疑で少年を逮捕
被害者は近くに住むアルバイト店員の22歳女性と判明
司法解剖の結果、大動脈を損傷したことによる失血死が死因と判明。背中の傷の一つは肺に達していた
03/01 午前8時15分、警視庁組織犯罪対策2課は、強盗殺人容疑で、ルーマニア国籍で無職の17歳少年を再逮捕
少年が持っていた手袋に血液が付着、DNA型が被害女性のものと一致
03/02 夜、被害女性のお骨が青森県むつ市の実家に帰宅
17歳少年の共犯とみて組織犯罪対策2課が行方を追っていた日本人の18歳少年が日野署に出頭
03/03 警視庁は、逃走していた18歳少年を強盗殺人容疑で逮捕
警視庁は、無職18歳少年の潜伏先の少女宅を捜索し、被害女性のものとみられる財布や手帳のほか、少年が事件当時に着ていた白色のジャージーを押収
03/04 警視庁は、無職18歳少年の供述に基づき、使われたとみられるナイフ2本を事件現場近くの武蔵野市内のマンション敷地内で発見
03/21 東京地検立川支部は、強盗殺人や窃盗未遂などの非行事実で、いずれも無職のルーマニア国籍の17歳少年と日本人の18歳少年を東京家裁立川支部に送致
04/17 東京家裁(山口裕之裁判長)は、ルーマニア国籍の17歳少年と日本人の18歳少年を検察官送致(逆送)とする決定
04/26 東京地検立川支部は、ルーマニア国籍の17歳少年と日本人の18歳少年を強盗殺人などの罪で起訴
更新日時:
2013年4月27日




犯行の計画性など
要件 摘要
被害者との関係 面識の無い無関係の第三者(殺されるいわれは全く無い
罪の性質 強盗殺人は利欲的な犯罪行為。法定刑に死刑と無期懲役しかない最悪な罪
犯行の計画性 「脅して金を取ると騒がれるので、刺した方がいいと思った」「人が少なくなる時間帯に1人で歩いている女性に狙いを定めていた」「事件前日に国立市のスーパーで刃物を2本買った」(事前に凶器を準備しているので犯行の計画性は強い
殺人計画性 いつ殺そうと計画したのかは不明
犯行態様 17歳少年は「事件時は18歳の友人と一緒に行動していた」「自分と友人の日本人の少年の2人で女性を刺した。包丁は友人に預けた」(無防備な女性の背後からいきなり2人で刃物で刺しているので防ぎようが無い。単独犯ではなく複数犯なのでより悪質に
犯行の動機 「漫画喫茶で寝泊まりしていたが、金がなくなったから襲った」「事件の2日前にたまたま会って、ゲームセンターなどで遊んでいるうちに金がなくなり強盗を計画した」(自分達が遊んだことで金が無くなり、無くなった金の補充目的の強殺行為。動機に酌むべき事情は皆無
犯行後の情状 現場から逃走し、奪ったキャッシュカードで現金引き出そうとして失敗。ファストフード店の客から財布を盗む
犯行後の反省  
遺族の心情 事件後の夜に父親から元同僚への電話で、「最初は落ち着いた口調だったが、状況を説明するうち『これからどうすればいいか分からない』と泣きじゃくり始めた」(大切な娘を殺されたのだから遺族の怒りが峻烈になるのは当然
更新日時:
2013年3月3日




参考法規

刑法

(強盗致死傷)
第二百四十条  強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(窃盗)
第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(遺失物等横領)
第二百五十四条  遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

銃砲刀剣類所持等取締法

第三十一条の三  第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。この場合において、当該けん銃等の数が二以上であるときは、一年以上十五年以下の懲役に処する。
少年法

(死刑と無期刑の緩和)
第五十一条  罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2  罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。

(不定期刑)
第五十二条  少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する。
2  前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない。
3  刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。

罪名 該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合
窃盗未遂罪 刑法第235条 10年以下の懲役、50万円以下の罰金
占有離脱物横領罪 刑法第254条 1年以下の懲役、10万円以下の罰金、科料
銃刀法違反罪 法第31条の3 1年以上15年以下の懲役

※  少年犯罪の場合無期懲役仮釈放者の平均在所年数
更新日時:
2013年3月4日




起訴状況
 
仮称 国籍 犯行時年齢 罪名
A ルーマニア 17歳 強盗殺人、銃刀法違反、窃盗未遂、占有離脱物横領罪
B 日本 18歳 強盗殺人、銃刀法違反、窃盗未遂罪
 
更新日時:
2013年4月27日




(少年Aの)公判関係

第一審 東京地裁立川支部(倉沢千巌裁判長) 裁判員裁判

事件番号:平成25年(わ)第430号|傍聴券交付情報:東京地方裁判所
日付 摘要
2014 2/19 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 罪状認否で被告は「殺意はありませんでした」と述べる
2/20 第2回公判  
2/24 第3回公判  
2/25 第4回公判  
2/26 第5回公判 (論告求刑、最終弁論) 検察側は、18歳被告に対して無期懲役を求刑
3/4 第6回公判 (判決) 東京地裁立川支部(倉沢千巌裁判長)は、事件当時17歳だった18歳被告Aに対して求刑通り無期懲役の判決を言い渡し。裁判長は「被害者の生命を奪う危険性が高い行為と認識しながら、あえて犯行に及んだ」と殺意を認定
2014年3月17日、18歳被告は判決を不服として東京高裁へ控訴

控訴審 東京高裁(村瀬均裁判長)

事件番号:平成26年(う)第619号|傍聴券交付情報:東京高等裁判所
日付 摘要
2014 7/08 初公判 (冒頭陳述、弁論) 被告側は刑の軽減を主張し、検察側が控訴棄却を求めて結審
9/25 第2回公判 (判決) 東京高裁(村瀬均裁判長)は無期懲役とした一審判決を支持し、弁護側控訴を棄却。裁判長は「あまりにも残酷な事件。行動に稚拙な点はあるが、年齢相応に人格は発達していた」と判断。「背中の中央を強い力で刺している」として、殺意を認定
10月9日の期限までに上告せず、10日午前0時、無期懲役とした判決が確定
更新日時:
2014年10月12日




(少年Bの)公判関係

第一審 東京地裁立川支部(倉澤千巌裁判長) 裁判員裁判

事件番号:平成25年(わ)第430号
日付 摘要
2014 1/28 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 19歳被告は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認した。その上で「申し訳ありませんでした」と頭を下げた
(ルーマニア国籍の18歳少年Aが証人出廷) 2人で吉祥寺に向かう道中、互いに「金がない」と話し、自分から「通行人をナイフで脅してキャッシュカードを奪おう」と持ちかけ、合意した、と説明
1/29 第2回公判 (被告人質問)
1/30 第3回公判 (証人尋問) 被害女性の父親が検察側証人として出廷。「亜理沙のかたきを取りたい。一番重い罪をお願いします」と訴え
1/31 第4回公判  
2/03 第5回公判 (論告求刑、最終弁論) 検察側は「遊ぶ金ほしさの残虐な通り魔的強盗殺人だ」と指摘。「悪質極まりない犯行」として無期懲役を求刑
 弁護側は最終弁論で「少年は想像力が欠如している。ナイフで刺す危険を分かっておらず、殺意はなかった」と主張し、家庭裁判所への送致を求める
2/07 第6回公判 (判決) 19歳被告Bに対して、「結果は重大で、情状酌量すべき事案ではない」として求刑通り無期懲役を言い渡し
2014年2月21日、弁護側は判決を不服として東京高裁へ控訴

控訴審 東京高裁(村瀬均裁判長)
日付 摘要
2014 6/19 初公判 (冒頭陳述、弁論) 被告側は殺意はなかったなどと主張。検察側は控訴棄却を求め、即日結審
7/10 第2回公判 (判決) 無期懲役とした一審判決を支持し、弁護側控訴を棄却 裁判長は「刃の長さが10センチ超のナイフで刺せば、死ぬかもしれないということは当然認識していたはず」と殺意を認定し「金欲しさで行動しており、人格の未熟さを考慮しても無期懲役が相当」と述べた
7月24日の期限までに上告せず、25日午前0時、無期懲役とした判決が確定
更新日時:
2014年8月10日




被告達の判決状況

仮称 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
少年A 強盗殺人 求刑無期懲役 無期懲役 東京地裁立川支部
2014/3/4
控訴棄却 東京高裁
2014/9/25
非上告
少年B 強盗殺人 求刑無期懲役 無期懲役 東京地裁立川支部
2014/2/7
控訴棄却 東京高裁
2014/7/10
非上告
更新日時:
2014年10月12日



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