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11      刑罰に関する身分証明書について

 ゲストブックに質問がありましたが、長くなりますので、こちらに書いておきます。

2009年5月22日 (金) 23時05分43秒
[名前] :   しんじ
[サブジェクト] :   知り合いの過去
[コメント] :   お世話になります。

私の知り合いが、とある機関から「刑罰証明書」が
必要と言われました。役場で取得するようです。

ただ、彼は20年ほど前に「強制わいせつ」で逮捕
された経歴があり、その事が記載されるのか相談されましたが、私には調べても判りませんでした。

そういう犯罪履歴は、いつまで役場のデータとして
記載されているものなのでしょうか?

宜しくお願い致します。

 まず、逮捕された場合は、あくまで容疑があると言う段階で容疑者です。罪が確定しないことには、刑罰もありませんし、犯罪人(犯罪者)とは言いません。犯罪人でない以上、犯罪人名簿への記載もされません。

 (犯罪人名簿は)何れも選挙資格の調査のために調査保存しているのであるから、警察、検事局、裁判所等の照会に対するものは格別、これを身元証明等のために使用するようなことは絶対にこれを避けるのは勿論、恩赦に因り資格を回復した者については、速に関係部分を削除整理する等、その者の氏名等を全く認知することができないようにし、犯罪人名簿の処理上些も遺憾なきよう管下市町村を御指導ありたい。(昭和21年11月12日内務省発地第279号)


 該通達中「警察、検事局、裁判所等」とあるのは、……行政庁が獣医師免許、装蹄師免許等、各種の免許処分又は弁護士、弁理士、計理士等の登録等をする際において、法律により申請者の資格調査を必要とする場合……においては、主務大臣、都道府県知事、市町村長を含む意である(昭和22年2月14日内務省発地第160号)


 犯罪人名簿の取扱について
 首題の件については、昭和21年11月12日内務省発地第279号及び昭和22年8月14日同第160号により通達したところであるが、今回弁護士法の改正(昭和24年法律第205号) により、弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならなくなつたので、この登録の経由進達のため、弁護士会から弁護士法に基き弁護士名簿登録申請者のため資格調査上必要な照合があつた場合には、これに対しても身元証明を与える取扱と致されたい。なお、右の旨、貴管下市町村に通達されたい。(昭和24年12月19日地方自治庁発連第94号)


 刑罰に関する身分証明書発給方について
 このことについては、従来、昭和21年11月12日内務省発地第279号及び昭和22年8月14日同第160号通牒によつて、本人からの申請に対しては証明書を発給しない取扱となつているのであるが、連合国最高司令部に対し国外渡航許可出願用として、刑罰に関する身分証明書の提出を必要とする場合において渡航出願ないし査証取付のための証明書発給出願があつたときは、これに対しても身元証明を与える取扱といたされたい。なお証明書の発給に当り必要と認めた場合は、市町村長は、本人に対して渡航許可出願をするものであることを認めるに足る呼寄状、費用負担証明書、外務省又は連絡調整事務局発給の経歴証明書、都道府県の発給する国外渡航に関する証明書等のいずれかの提示を求めて差し支えないと思われるから申し添える。なお、右の旨、貴管下市町村に通達されたい。(昭和24年12月19日地方自治庁発連第95号)


 標記については、昭和21年11月内務省発地第279号、同22年8月14日内務省発地第160号及び昭和24年12月19日発連第94号、同第95号通達に基き御取扱のことと思うが、今般地方自治庁に照会の上、法律に基き調査を必要とする場合関係官公署から犯罪の有無につき照会があつたときは、犯罪人名簿を使用しさしつかえないから、自今下記照復の趣旨により取り扱われたい。(昭和26年4月21日東京都副知事通達総地発第312号)

 確かに 犯歴が書いてある犯罪人名簿や刑罰に関する身分証明書というのが、市区町村には存在しますが・・・ このように、公的機関が法律上の資格制限の確認をするためにのみ用いられています。

 また、昭和56年4月14日(最高裁判所第3小法廷)での判決理由に、以下のような文言があります。

 「前科及び犯罪経歴(以下「前科等」という。)は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであつて、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏えいしてはならないことはいうまでもないところである。」【最高裁 昭和52年(オ)第323号】

 ですので、刑罰に関する身分証明書については、法律に基き調査を必要とする場合、関係官公署から犯罪の有無につき照会があった時にのみ発給されますので、まず『とある機関』が、関係官公署であることが大前提になります。尚且つ、法律に基づいた調査を必要とする場合であり、その機関自体が直接該当市区町村に照会する必要があります。最高裁での判決文にあるように、人の名誉、信用に直接にかかわる事項なので、一般の方や民間企業からの照会では開示しません。

 そして、記載される内容についてですが、刑法には、こういう条文があります。

刑法

(刑の消滅)
第三十四条の二  禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。

 「刑の言渡しは、効力を失う。」という表現では分かりにくいと思いますから、簡単に書いておきますが、刑の消滅なので、仮に刑が確定したという過去(前科)があったとしても、(該当する刑の年数の間、問題なく経過すれば)前科が無くなるということです。

 (該当する刑の年数の間、問題なく経過すれば)前科が無くなるので、当然の事ながら、犯罪人名簿からも抹消されますが・・・抹消になるまでの期間に、また次の罪を犯して罰金以上の刑が確定すれば、足されていきますので、犯罪人名簿への記載は続きます。
更新日時:
2009年06月22日



12      児童福祉法第三十四条第一項第六号について

 ゲストブックに質問がありましたが、長くなりますので、続けてこちらに書いておきます。

2009年6月2日 (火) 12時50分52秒
[名前] :   ガーネット
[サブジェクト] :   
[コメント] :   はじめまして。
色々と調べていてこちらにたどりつきました。
私の夫が児童福祉法違反で逮捕勾留中です。内容は主人の連れ子(私の実子ではありません)16歳へのわいせつ行為の罪です。連れ子と主人は小さいときから一緒にくらしたことがなく16歳になってからこちらがひきとりました。
本番ぎりぎりまでというのは被害者からも本人からも聞いています。脅しや暴力を使ってということではなかったようです。連れ子の実の親の耳に入りそこから事件が発覚しました。主人は前科前歴なく大変反省して後悔しています。逮捕の1ヶ月ぐらい前主人と本人に事情を警察が聞きにきたときからもう2度としませんと罪を認め連れ子は今児童相談所にあずけられています。
私と主人は結婚して10年小さい子供が3人います。
主人の量刑はどのくらいのものになるのが?
私が主人のためにしてあげれることはなにか?
連れ子にたいしてはこれからどういう対応をするべきか?
色々とお詳しいと思うのでアドバイスいただけないでしょうか?
早くもとの平穏な生活を取り戻したいです。
子供達も何かを察して情緒不安定です。よろしくお願いいたします

 まず、書いてある内容で表現方法が違っている部分がありますので、そのことについて書いておきます。

 「児童福祉法違反で逮捕勾留中です。内容は主人の連れ子(私の実子ではありません)16歳へのわいせつ行為のです。」、「もう2度としませんとを認め」となっていますが、罪を問うためには、裁判所に起訴(略式起訴)する必要がありますし、裁判所で有罪と確定しなければ罪になりません

 起訴前は、まだ疑いの段階ですし、罪に問うために必要な罪の構成要件などを調べる段階ですので、表現するとしたら、罪ではなく「容疑」や、「した行為」になります。


 質問事項が多いので、順に書いていきます。

 主人の量刑はどのくらいのものになるのか?

 量刑以前のレベルで疑問があります。

 書いてある内容からすると、児童福祉法第三十四条第一項第六号の規定(児童に淫行をさせる行為)に違反した疑いだと思いますが・・・故意による行為(児童に淫行をさせる目的で、児童に淫行をさせた)でないと、罪の構成要件を満たせません。

 「児童に淫行をさせる目的で、児童に淫行をさせる行為」というのは、加害者(被疑者)が、被害者(児童)に対して、第三者との売春行為をするように強要した場合や、児童をアダルトビデオ・DVDに出演させ、第三者との性行為を強要した場合、または、教師と生徒という関係など、教師の立場上児童の健全育成をしなければならないのに、その立場を利用し児童に性交渉を強要させた場合など、基本的に性交渉が伴なった場合に淫行と言います。

 投稿には、性交渉まで至っていないと書いてありますし、無理やりでもないようですが、もし同意であれば、秘密にしているでしょうから、実の母親に話すこともなく、事が露見することはありません。

 書いてある内容からでは、その行為をするに至った状況(なりゆき)が分かりませんので、はたして、児童福祉法違反の罪の構成要件を満たすのか・・・? が疑問です。

 書いてある内容からですと、もし罪に問うとしたら、「淫行、わいせつ行為をしてはならない」の規定がある、各都道府県青少年保護育成条例違反の罪であり、その容疑の可能性の方が高いように感じます。ただし、条例違反行為でも罪に問うには、故意の行為であることの証明が必要になりますし、条例は各都道府県によって微妙に違いますので、該当する都道府県条例に謳ってある条文での要件を満たす必要もあります。

 そして、仮に、罪の構成要件を満たしたとしても、父親と実娘だけでなく、娘の実の母親(父親と別れた元妻)も関係していますので、起訴(略式起訴)して罪に問うべき行為なのか、捜査機関(検察)も、判断に苦慮したと思います。

 22日時点では、身柄送検されていたとしても投稿日が6月2日で20日間経過していますので、もう起訴(略式起訴)、不起訴(嫌疑不十分、処分保留)の検察判断が出ていると思います。

 略式起訴なら略式命令で罰金刑の罰金額が決まっているでしょうし、不起訴なら当然量刑はありません。懲役刑を求めて地裁へ起訴された場合にのみ処分が決まっていませんが、上記のように何の罪の容疑なのか分かりませんので、見当つきかねます。

 ただ、検察判断が、どういう判断になったとしても、元夫婦と娘が関係者ですし、刑事的な処分が決まったとしても、民事的な責任もあります。民事的な部分も解決させなければなりませんので、私ではなく、プロの弁護士さんへ相談してください。


 私が主人のためにしてあげれることはなにか?

 こういうことが起きたのは、元はと言えば、旦那さんの行動からですし、実の娘に手を出すなんて言語道断です。

 もし、貴方の産んだ子(娘)が、旦那さんから同じことをされたらどう思いますか?

 旦那さんがしたことは、それと同じことですよ。

 貴方は妻だけでなく母親でもありますので、妻としてだけではなく、された娘の母親の立場にもなって考えてみてください。

 いくら「もう2度としませんと罪(した行為)を認めた」としても、それが、もし自分の産んだ子であった場合に、簡単に許せますか?

 妻と母親の両方の立場から考えれば、どうすべきか見えてくると思います。

 ちなみに、今は、いろいろな問題を解決してくれるような優秀な弁護士を探してあげることが、旦那さんのためにだけでなく、貴方達家族のために一番必要なことじゃないかな? と思います。


 連れ子にたいしてはこれからどういう対応をするべきか?

 ちなみに、連れ子という表現を使っていますが、引き取った以上は、貴方の産んだ子と同様に、貴方達夫婦の子供です。

 これについて書くとしたら・・・

 貴方自身が、その子の立場になって「もし自分が母親から、されたとしたら嫌なことは何か?」を考え、自分がされたら嫌なことをその子に対してしないようにし、貴方がその子に対して思いやりの気持ちを持って接することです。
更新日時:
2009年06月22日


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