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死刑判決の事件

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千葉船橋ホテル監禁殺人事件(横浜沖バラバラ遺体事件)


事件概要

 2009年6月24日、横浜市金沢区幸浦2丁目の岸壁で男性の遺体の下半身部分が見つかる。翌25日、新たに男性とみられる頭部や、複数の手脚などが見つかった。

 神奈川県警は発見された部位から、少なくとも2人の遺体が切断されて遺棄されたとみて捜査。その後、2人が大和市の36歳会社員と東京都世田谷区の28歳マージャン店経営者と分かった。

 その後の捜査により、強盗殺人、死体遺棄などの容疑で8人を逮捕。1人を国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した。

 2009年6月、マージャン店経営トラブルをめぐり、前経営者から依頼され、当時の経営者ら男性2人を千葉県内のホテルに監禁。28歳マージャン店経営者から約1340万円を奪い、首を電動のこぎりで切断し殺害。36歳会社員の首を果物ナイフで突き刺すなどして殺害し、切断した遺体を横浜市金沢区沖の東京湾や富士山麓に遺棄したとする事件。
更新日時:
2010年10月30日




参考法規

刑法

(強盗致死傷)
第二百四十条  強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(恐喝)
第二百四十九条  人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

(逮捕及び監禁)
第二百二十条  不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

(死体損壊等)
第百九十条  死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

(公務執行妨害及び職務強要)
第九十五条  公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。


覚せい剤取締法

第四十一条  覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。

罪名 該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合


強盗致死罪の場合
強盗致死罪 刑法第240条
殺人罪 刑法第199条 死刑、無期、5年以上の懲役
覚せい剤取締法違反罪
(営利目的輸入)
取締法第41条 無期、3年以上の懲役
情状により、1000万円以下の罰金を付加
恐喝罪 刑法第249条 10年以下の懲役
逮捕監禁罪 刑法第220条 3月以上7年以下の懲役
死体損壊罪 刑法第190条 3年以下の懲役
死体遺棄罪 刑法第190条
公務執行妨害罪 刑法第95条 3年以下の懲役(禁固)、50万円以下の罰金

※ 死刑がやむを得ない場合死刑執行方法無期懲役仮釈放者の平均在所年数
更新日時:
2010年10月30日




被告達の起訴状況

第一審 横浜地裁
仮称 強盗殺人罪 殺人罪 覚せい剤取締法違反罪
(営利目的輸入)
逮捕監禁罪 死体損壊罪 死体遺棄罪 その他の罪
A          
B          
C          
D 公務執行妨害
E (強盗致死)        
F          
G            
H           恐喝
 
更新日時:
2010年10月30日




時系列
日付 摘要
2009 06/24 横浜市金沢区幸浦2丁目の岸壁で男性の遺体の下半身部分が見つかる
06/25 午後2時20分頃、岸壁で釣りをしていた男性が「人体の一部が海上に浮いている」と金沢署に通報
横浜市金沢区幸浦2丁目の岸壁から10数メートル沖の東京湾海上で、新たに男性とみられる頭部や、複数の手脚などが見つかる
06/26 県警は、死体損壊・遺棄事件と断定して横浜水上署に特別捜査本部を設置
07/29 見つかった切断遺体の身元が判明
10/14 横浜水上署特別捜査本部は、滋賀県に住む職業不詳の21歳男ら3人を死体損壊・遺棄容疑で逮捕(3人)
10/15 特別捜査本部は、横浜市出身の31歳無職の男Dを死体損壊・遺棄容疑で逮捕(4人目)
10/16 特別捜査本部は、滋賀県東近江市の27歳無職の男Eを死体損壊・遺棄容疑で逮捕(5人目)
10/17 特別捜査本部は、東京都港区の30歳無職の男Fを死体損壊・遺棄容疑で逮捕(6人目)
10/22 特別捜査本部は、東京都足立区の26歳自称鉄筋工の男Gを死体損壊・遺棄容疑で逮捕(7人目)
11/04 横浜地検は、滋賀県の21歳男A、B、Cら3人を死体遺棄罪で起訴
11/05 特別捜査本部は、東京都港区の29歳自称コンサルタント業の男Hを監禁容疑で逮捕(8人目)
横浜地検は、横浜市出身の31歳男Dを死体損壊・遺棄罪で起訴
11/06 横浜地検は、滋賀県東近江市の27歳男Eを死体遺棄罪で起訴
11/07 横浜地検は、東京都港区の30歳男Fを死体遺棄罪で起訴
11/11 特別捜査本部は、横浜市出身の31歳無職の男Dを強盗殺人、殺人、監禁容疑で再逮捕
滋賀県東近江市の27歳無職の男Eと東京都港区の30歳無職の男Fの2人を強盗致死、監禁容疑で再逮捕
滋賀県の21歳無職の男A、20歳無職の男B、21歳無職の男Cの3人を監禁容疑で再逮捕
12/02 横浜地検は、横浜市出身の31歳無職の男Dを強盗殺人などの罪で追起訴
滋賀県東近江市の27歳無職の男Eを強盗致死などの罪で追起訴
12/15 神奈川県警は、強盗殺人、殺人などの容疑で、元早大生の26歳容疑者Jを国際手配
2010 03/05 死体遺棄罪に問われた東京都足立区の鉄筋工の26歳被告Gに対して、
横浜地裁(佐脇有紀裁判官)は、懲役2年(求刑懲役2年6月)を言い渡し
03/11 逮捕監禁、死体遺棄罪に問われた東京都港区の30歳無職の被告Fに対して、
横浜地裁(佐脇有紀裁判官)は懲役2年10月(求刑懲役4年)を言い渡し
05/17 死体遺棄、逮捕監禁罪に問われた滋賀県に住む職業不詳の22歳男Aら3被告A、B、Cに対して、
横浜地裁(佐脇有紀裁判官)は3被告とも懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡し
05/27 逮捕監禁、恐喝罪に問われた東京都港区の自称経営コンサルタントの30歳被告Hに対して、
横浜地裁(佐脇有紀裁判官)は、懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡し
11/16 強盗殺人、覚せい剤取締法(営利目的輸入)などの罪に問われた横浜市出身の無職の被告Dに対して、
横浜地裁(朝山芳史裁判長)は、求刑通り死刑判決を言い渡し
11/29 被告Dの弁護団は、死刑判決を不服として控訴
2011 01/27 強盗致死、逮捕監禁などの罪に問われた滋賀県東近江市の28歳無職の被告Eに対して、
横浜地裁(小池勝雅裁判長)は、懲役12年(求刑懲役15年)を言い渡し
06/16 被告Dが控訴を取下げ死刑判決が確定
更新日時:
2011年06月18日




強盗殺人などの罪に問われた被告Dの公判

第一審 横浜地裁(朝山芳史裁判長) 裁判員裁判
日付 摘要
2010 10/12 初公判 (検察・弁護側冒頭陳述)
10/13 第2回公判 (被告人質問)
10/14 第3回公判 (判決) 覚せい剤密輸と公務執行妨害事件について、いずれも有罪とする部分判決を言い渡し

事件番号:平成21年(わ)第2242号等
日付 摘要
2010 11/01 初公判 (検察・弁護側冒頭陳述、証拠調べ)
 検察側は、被告が、主体的な犯行だったと指摘。犯行態様については、生きたまま首を電動のこぎりで切断して殺害するなど、「執拗で残虐、冷酷非情。2人の命を奪った結果は重大」と主張。
 弁護側は、強盗殺人については発覚前、関与を打ち明けたことを指摘し、「自首が成立している」と述べて刑の軽減を求め、被告が従属的立場だったことを強調。
 検察側は切断された遺体の写真のほか、凶器の電動のこぎりやナイフの実物を法廷に持ち込み、裁判員らに証拠として示した。
11/02 第2回公判 (供述調書の朗読、共犯者の証人尋問)
 被害者遺族の処罰感情について、「遺体を海にごみのように投げ捨てた。極刑を言い渡してもらい、命で罪を償わせてほしい」
11/04 第3回公判 (被告人質問)
 被告は、殺害理由について、「覚せい剤密売の利権を得るため。私利私欲でやった」。「死刑は怖いが、覚悟している。死の直前にじたばたすることはない」などと話した。
11/05 第4回公判 (被害者参加制度に基づいた遺族の意見陳述)
 出廷した遺族4人は被告に対し、いずれも「極刑」を求めた。被害者(28歳男性)の妹は「死刑判決に抵抗を感じるのは分かるが、遺族にとって無期懲役は無罪も同然」と述べた。
11/08 第5回公判 (被告人質問)
 被告は「罪の重さを実感している」。遺族への償いについては「正直なところ、死んで償えるなら死んであげたい。死刑以外の判決だった場合は、ご遺族が望むことを聞いて考えたい」などと話した。
11/10 第6回公判 (検察側:論告求刑、被害者参加人の意見陳述、弁護側:最終弁論、被告人の最終陳述)
 検察側は「2人の貴い命を残虐な方法で奪った犯行は人間性のかけらも見いだすことはできない」などとして、論告の冒頭で死刑を求刑。被害者遺族の代理人弁護士は「処罰感情は峻烈の一語に尽きる。極刑を希望します」と意見。
 弁護側は最終弁論で、「被告に人間性が残ると感じ、少しでもためらいを覚えるなら、死刑にしてはいけない」と死刑回避を訴えたが、被告は「どんな刑でも服すつもりです」と陳述。
11/16 第7回公判 (判決) 被告に対して、求刑通り死刑判決を言い渡し
 被告は、死刑を言い渡されると、「ありがとうございました」と裁判長に向かって一礼。その後、傍聴席に振り向き、「申し訳ありませんでした」と述べ頭を下げた。
 裁判長は「あなたは法廷ではいかなる刑にも服すると述べているが、重大な結論ですから、裁判所としては控訴することを勧めます」と最後につけ加えた。

 11月16日、被告の判決公判には、用意された一般傍聴席は41席に対して、683人の傍聴希望者が詰めかけた。11月22日、被告は、「心から事件と向き合って考えを深めているので、被害者遺族の意向を無視できない。控訴することは、それを傷つける恐れがある」と答え、接見した弁護団に対して控訴する意向はない旨を伝える。

 11月29日、弁護団は、求刑通り死刑を言い渡した横浜地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。

 2011年6月16日被告は控訴を取り下げ、翌17日死刑判決が確定した。
更新日時:
2011年6月18日




(被告Dの)第一審での冒頭陳述要旨

 検察側の冒頭陳述要旨は次の通り。

 池田被告は09年4月頃、元マージャン店経営者の近藤剛郎容疑者=国際手配=から「マージャン店を2人に乗っ取られ、覚せい剤密輸組織の金が横取りされた。許せない」という話を聞いた。5月頃、近藤容疑者は会社員から密輸のことを通報すると言われ殺害を考え、6月に被告に会社員を殺害する人物を探すよう依頼。被告は「人を殺せる人間」とアピールし覚せい剤密売の利権を手に入れようと自ら殺害しようと考えた。

 被告はホームセンターで高速切断機などを購入し、6月18日、共犯者と千葉県のホテルに2人を監禁。経営者を脅し婚約者らに計約1340万円を持って来させた。19日、近藤容疑者に電話し「2人ともやってください」と言われ、浴室で「最後に母と妻に電話させてほしい」「せめて、先に殺してから切ってください」と言う2人の首を果物ナイフや切断機で切り殺害。遺体を切断しごみ袋に入れ、同20日、共犯者と横浜市の海や富士山ろくに遺棄した。

 弁護側の冒頭陳述要旨は次の通り。

 死刑求刑もあり得る裁判。しかし、人間の命を奪い去る刑で、適用には極めて厳格であってほしい。被告には死刑を言い渡すことにちゅうちょする事情がある。

 自首が成立し、刑を軽くすべき事情がある。覚せい剤密輸事件で逮捕され、移送される車の中で警察官に本件事件について話した。その結果、体の一部や凶器が発見され真相解明の役に立った。

 犯行にかかわる中で、
 ・最終決定権は近藤容疑者が握っていた
 ・発端は同容疑者と被害者のトラブル
 ・殺害するつもりで計画に加わったのではない
 ・金銭を直接の目的にしていない
 ・計画性がない
 ・犯行にあたり葛藤している
 という事実がある。

 本件まで、被告は逮捕されたことはない。耳をふさぎたくなるような事実もあるが、被告は正直に話した。やったことを考えるほど死をもって償うしかないのでは、と思っている。許してもらえることではないと理解したうえで、遺族に謝罪の手紙を書いている。

更新日時:
2010年11月02日




起訴された被告達の判決状況

第一審 横浜地裁


傍聴券交付情報:横浜地方裁判所
仮称 年齢 職業 罪名 求刑 判決 判決日 上訴
E 27 無職 強盗致死罪
逮捕監禁罪
死体遺棄罪
求刑懲役15年 懲役12年  2011/01/27 控訴
D 31 無職 強盗殺人罪
殺人罪
逮捕監禁罪
死体損壊罪
死体遺棄罪
求刑死刑 死刑 2010/11/16 控訴
覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)罪
公務執行妨害罪
(区分審理) 有罪 2010/10/14
- 控訴取下 2011/06/16 確定
H 29 自称
コンサルタント業
恐喝罪
逮捕監禁罪
求刑懲役4年 懲役3年 2010/05/27  
A 21 無職 逮捕監禁罪
死体遺棄罪
求刑懲役3年 懲役3年
執行猶予5年
2010/05/17  
B 20 無職
C 21 無職
F 30 無職 逮捕監禁罪
死体遺棄罪
求刑懲役4年 懲役2年10月 2010/03/11  
G 26 鉄筋工 死体遺棄罪 求刑懲役2年6月 懲役2年 2010/03/05  
※年齢、職業は逮捕時
更新日時:
2011年6月18日




控訴審までに死刑判決が下りた被告の判決状況

仮称 氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
D 池田容之 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 横浜地裁
2010/11/16
控訴取下 東京高裁
2011/6/17
-
更新日時:
2011年6月18日



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