|
|||||||||
|
9 製薬会社が、カンナビノイド薬品の製造を可能にするには・・・ |
ゲストブックに投稿がありましたが、整理して書く必要がありますので、まとめてこちらに書いておきます。
私は、約29年前に留学先で接したのですが、当時は(日本の医学部とは制度が違い、1年から専門で)脳神経外科専攻でしたので、脳に与える影響を知りたく、自分を実験台に研究してしまったのですが、その際に、いろいろなことを試してみました。 その当時の記憶と、現行のいろいろな法(大麻取締法、薬事法、麻薬取締法、関税法など)とすりあわせると、ある部分を使うと、現行の法でも製薬は可能ですから、それに気づいた製薬会社が存在している可能性があると考えたわけです。 ただし、カンナビノイドの成分を強くしたら、乱用される危険性がありますから、一般市販薬ではなく、必ず医師による処方箋薬にする必要があります。 もし、製薬会社であれば、法の手順に沿って、免許、届出、登録のハードルをクリアし、関連する法のすべての取扱者になれば、研究も製造も可能になります。 ただし、許認可のハードルが多くあり、大変です。 投稿内容に勘違い、誤解の部分もありますので、それらの指摘も含めて、法から、どういう手順を踏んでいけばいいのかを、条文を引用しながら順に書いておきます。
|
||||||||||||||||||||||||
|
※ 大麻取締法での「大麻取扱者」になること。 |
まずは、大麻取締法についてですが、大麻取締法は、基本的に取り扱い免許所持者が目的外に利用しないようにいろいろな制限をしている法律です。 ただし、大麻取扱者の免許を持っていない人は問答無用で規制の対象になりますから、違反行為をしたら、罪の構成要件など、いろいろな要件を満たせば、起訴され、罪に問われ、罰を受けることとなります。 大麻取扱者とそうでない人、違法大麻と合法大麻をはっきり区別して考える必要があります。
第一条、第二条、第三条の規定により、大麻取扱者になれば、但し書きの部分を使い研究することが可能になります。
第四条の規定での大麻は、第一条の定義を満たした上での大麻になりますから、但し書きの部分については、同じ大麻であっても、大麻取締法第四条での大麻ではなくなります。 ですので、但し書きの部分から作られた薬品は、合法の薬品(製品)になりますので、施用が可能になります。 しかし、但し書きの部分でない規制の対象となる物から作られている薬品は、大麻取締法第四条の規定に当てはまりますので、第四条第一項第二号、第三号の規定にあるように、施用ができませんので、医薬品として活用できません。 よって、成分抽出を、どこの部分からするかによって、違いがでます。 ちなみに、第四条第一項第四号の規定
そして、大麻を研究するためには、製薬会社と言えども、大麻取扱者(大麻研究者)になる必要がありますので、都道府県知事の免許を受ける必要があります。
大麻取締法を一読すれば分かると思いますが、免許保持者には、いろいろな制約が課せられますし、免許の更新は毎年になります。 |
||||||
|
※ 薬事法での「第一種医薬品製造販売業」許可を受けること。 |
次は薬事法関連です。
薬事法第76条の4から以下の部分を抜き出します。
となります。 この規定を満たすためには、薬事法上の許認可が必要になります。
指定薬物から作られた医薬品は、処方箋が必要な医薬品となりますので、薬事法第49条第一項の規定を満たした製薬会社でなければなりません。
製薬会社が、第一種医薬品製造販売業許可を受ける必要がありますし、更新は3年以内になります。
このように、薬事法でも、いろいろな義務項目があります。
大麻取締法でも広告の制限がありましたが、薬事法第76条の5によって、薬事法でも広告が制限されています。 |
||||||||||||
|
※ 関税法にも但し書きがあります。 |
大麻取締法のような、合法、違法の区別がしていない法に関税法がありますが、その関税法にも但し書きがあります。
「他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。」です。 ですので、仮に大麻ならば、大麻取締法や薬事法で、取扱者の許認可を受けた者が、法の手順に沿っていろいろな手続きをして輸入する場合には、輸入しても良いとなります。 |
||
|
※ 麻薬及び向精神薬取締法について |
麻薬及び向精神薬取締法についての書き込みがありましたので、次に、麻薬及び向精神薬取締法について書いておきます。
第二条に謳ってあるように、麻薬や向精神薬にも定義があります。 以下に挙げてあるのが、麻薬及び向精神薬取締法で対象となる薬物です。
麻薬及び向精神薬取締法だけでなく、麻薬及び向精神薬取締法施行令、麻薬及び向精神薬取締法施行規則の、どこにも、カンナビノイドはありません。 確かにカンナビノイドも中枢神経系に影響を与える物で、薬とした場合には、向精神薬になりますが、この麻薬及び向精神薬取締法よりも大麻取締法や覚せい剤取締法の方が先に制定されていたので、大麻(カンナビノイド)や覚せい剤(フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパンなど)は、この麻薬及び向精神薬取締法では除外されているのです。 言い方を換えると、大麻を大麻取締法で規制し、覚せい剤を覚せい剤取締法で規制したので、それ以外の麻薬や向精神薬を規制するために、麻薬及び向精神薬取締法が制定されたということです。 ちなみに、あへんがこの法には入っているのに、あへん法が存在するのは、あへんを以下の目的で使うために、後からあへん法を制定したからです。
制定年順に並べると、以下のようになります。
これらは、どの法もそうですが、それらを扱う取扱者の免許(許認可)などを規定した法律です。 それぞれの法で規定し、規制してありますので、2重に規定し、規制する必要はありません。 それに対して、輸出入が関わる関税法や医薬品の製造販売等が関係する薬事法では、全てが関係してきますので、以下のように条文に並べて謳ってあります。
関税法の条文では順序が適当ですが、薬事法の条文では法が制定された順に並べてあります。 ちなみに、麻薬や向精神薬を扱う場合にも、免許が必要になります。
薬事法上の医薬品製造業許可を受けている製薬会社であれば、麻薬の輸入、製造が可能ですが、免許の更新は、大麻取扱者と同様に毎年になり、向精神薬輸入、製造免許の更新は5年です。
そして、この法でも広告の制限があります。 |
※ いくら向精神薬になる薬品であっても・・・ |
投稿内容では、以下のようになっていました。
麻薬及び向精神薬取締法にも定義があり、麻薬及び向精神薬取締法についてで書いたように、カンナビノイドは対象になっていません。 参考までに、厚生労働省のあるページを紹介しておきます。
輸入が規制されている薬物等で、麻薬及び向精神薬と大麻は別々に分けてあります。 薬の性質がいくら向精神薬になる薬であっても、大麻から作られ、大麻成分を有する薬品(製品)であれば、大麻取締法の規定が関係してきます。 麻薬輸入、製造免許や向精神薬製造、輸入免許を持っていても、大麻取扱者の免許を有していなければ、大麻製品の製造、輸入を扱えません。 大麻を扱う場合は、関係する大麻取扱者の免許を 覚せい剤を扱う場合は、関係する覚せい剤取扱者の免許を 麻薬を扱う場合には、関係する麻薬取扱者の免許を 向精神薬を扱う場合には、関係する向精神薬取扱者の免許を あへんを扱う場合には、関係するあへん取扱者の免許を それぞれ取得する必要があります。 国内については、大麻取扱者の免許を取得すれば、研究が可能なので、当然の事ながら合法部分の使用、治験が可能です。 大麻取扱者になると、合法部分は、簡単に言って、大麻であっても大麻でなくなり、一種の薬草と同じになるのです。 国内で製造された物については、大麻取扱者として、厳しい制約の元で合法部分を使い製造しますので、審査の土俵に上がります。 審査の結果、「疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの」と認められれば、処方箋薬になります。
大麻取締法第四条第一項第四号の規定により、広告に制限があり、極一部の医薬関係者にしか告知できなくなっています。
広告に制限がありますので、当然の事ながら、極一部の医薬関係者以外の一般の方々には知られていません。 ここに出ているサティベックスは、カンナビノイド本来の効能である食欲増進効果ではなく、鎮痛効果の薬です。食欲増進効果とは別の効能ですから、後発になって当然です。 そして、大麻については、確実に合法部分から出来ていると証明できなければ、大麻取締法第四条の規定が関係しますので、薬事法での許認可は下りません。
ですので、外国で製造されたカンナビノイド薬品については、日本国内で開発していませんので、いくら治験をしても認可は難しいと思います。 厚生労働省の監視下にありませんので、審査の土俵に上がることすら難しいと思います。 最近になって、インターネットの発達で知られるようになっただけのことで、過去のことは、広告の制限によってベールに包まれています。 |
|||||
|
※ 数多くの免許(許認可)さえ取得すれば・・・ |
私は、約29年前に留学先で接したのですが、あくまで、脳神経外科専攻の医学生として、脳に与える影響を知りたく研究してしまいました。 当時20歳くらいの私ですら気づいたのに、薬を生業としている製薬会社が指を銜えて見ているなんてのは考えられないことです。 もし、医薬品の成分に利用するのであるのなら、大麻取締法で規制対象となっている部分(枝、葉など)を使う必要は、全くありません。 大麻取締法第一条の但し書きで規制対象から除外されている部分(成熟した茎)からなら、医薬品に利用するための成分抽出が余裕で可能です。 このように、日本の法では、数多くの免許を取得し、様々な許認可を受けるという手順を踏めば、堂々と医薬品の研究、開発行為ができます。 ただ、それぞれの法によって、広告の制限がされているので、一般の方々には知られていません。 もしかすると、カンナビノイドが治療に効果がある疾病に関わらない診療科目の医師や調剤薬局の薬剤師にしても、自分の仕事に関わらなければ、接することがありませんので、知らない人は知らないかも知れません。 そして、製薬会社にしても、法的にクリアしなければならないことも多いです。 法律知識、医学知識、薬学知識を兼ね備えた人が、その会社に存在していないことには、こういう方法を取れば可能だということを分かりませんから・・・ こういうことを知らない製薬会社も、数多くある製薬会社の中にはあるのじゃないかな?と思います。 |
||
|
10 大麻取締法違反行為での検挙人数について |
2009年の大麻取締法違反行為での検挙人数が、警察庁のまとめで分かりましたので、状況を分かりやすくするために、2008年、2007年の人数と合わせてグラフにしてみました。
20代が相変わらず多く全体の半分以上を占めていますが・・・年々、増加しています。 大麻に対して、どんな考え方があろうとも、法で規制されていて、罰則規定が設けてあり、その禁止行為に該当すれば、起訴されるかどうかは別問題として、検挙(逮捕)されることがある。 ということだけですね。 物的証拠があり、逮捕という事実が公になれば、例え起訴に至らなくても、失う物は大きいです。 覆水盆に返らずですから・・・ そういう事態にならないように、大麻取締法など、大麻が関連する法についての正しい知識、認識を身につけていただきたいと思いますね。 |
|||
|
|