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医師が人工呼吸器をはずして 死期を早めた行為が、殺人になるのかどうか・・・?
そういう行為があったことで、記事が多く出ていましたので、私が過去に経験したことを少し書いておきます。
過去のページを読んでいる方であれば、私の過去のことをご存知だと思いますが、初めて見られた方のために簡単に説明しておきます。
私の今の仕事は 街づくりという いわゆる都市計画の仕事をしているのですが、学生の時は、それとは全然畑違いの医学部で脳神経外科を専攻していました。
過去に勉強していますので 当然のことながら 忘れている部分も多いのですが、そういう知識が 自分の脳細胞に記憶されています。
私にも肉親がいて、過去に肉親の死に4度立ち会ったことがありますが、その都度、長男という立場上 延命治療をどうするかを 家族の代表として担当医師と話し合いました。
以下に安楽死と尊厳死を決める際に満たさなければいけない要件を簡単に挙げます。
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薬剤などを投与し、積極的に生命を縮める行為(安楽死)で合法となりうる要件 |
*耐えがたい苦痛がある |
*死期が迫っている |
*苦痛を和らげる方法がない |
*患者の明らかな意思表示がある |
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治療中止(尊厳死)で合法となりうる要件 |
*死が不可避な末期状態 |
*患者の意思表示(家族による推定も含む) |
*自然の死を迎えさせる目的に沿って中止を決める |
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何故こんなことを書いたのか・・・
実は、私の父親の時に尊厳死を、私の妹の旦那さん(義理の弟)の母親の時に安楽死を選択しているからです。
義理の弟のお母さんは 癌を患い 長い期間苦しい闘病生活を送り 末期的症状で薬による苦痛の除去も不可能な状況になっていました。
それに対して私の父親は 病院に搬送直後(倒れて30分前後)のCTスキャンの画像では 脳幹付近で太い血管が破裂したことにより、脳内出血をおこし 脳の大部分の細胞が損傷を受けていました。(CTの画像で脳全体の直径の半分の直径の範囲で出血していました)
医師からの説明を受け、担当医師と人工呼吸器や人工心肺をどうするかを話し合っていた最中に 呼吸停止状態になってしまったために 親父の生前からの意思である 延命治療をしない という書面を交わすこともできなく、人工呼吸器をつけてしまいました。
書面がない上に、容態が急変した以上 医師としては そうせざるをえないのですよね。。。
脳以外の場所であれば、脳でも手術が可能な場所であれば、出血量が微量ならば、何とかなったかもしれないけど・・・
医師から説明されるまでもなく、なまじ知識があるがために CTの画像を見ただけで 大好きな親父の死というのを 受け入れるしかなかった。。。
脳死で植物状態であっても、どんな状態であっても生きていて欲しかった・・・
いつも『死ぬ時はぽっくり死にたい』と親父が言っていましたので 私に出来ることは 自分の意思を伝えることが出来ない親父に代わって その思いを実現してあげることです。
苦渋の選択でしたが・・・
それからは おふくろや姉妹に 親父の状態が人工呼吸器はつけたけど いくら人工心肺をつけて治療を続けても治らない 脳死状態になっていることを分かりやすく説明し、尊厳死を皆で同意しました。
親父が自分で自分の心臓の鼓動を打つのをやめたら そのまま安らかに逝かせてあげるように・・・
病院に搬送され、24時間後には 帰らぬ人となってしまいました。。。
その日が 平成9年2月23日 です。
そして、義理の弟のお母さんの命日が 平成9年2月24日 です。。。
くしくも親父が死んだ翌日を 義理の弟のお母さんが 以前から 自分の意思で安楽死をする日に選択されていたのです。。。
医療は進歩しましたが、どうしても治せない場合が まだまだあります。
今回の場合の人工呼吸器をはずすという行為は 自発呼吸が出来ない状態であれば、はずすことによって死に至るのは明白ですから 殺人罪に問われる可能性が高いので 普通の医師なら まずしない行為だと思います。
親父の場合でも 人工呼吸器をつけたままで 死亡が確認された後 初めて人工呼吸器をはずしました。人工呼吸器は一度つけたら 自発呼吸が始まり 安定して呼吸が出来るようにならない限り、はずせないものなんです。
医師というのは 患者さん自身が病気を治すのに補助・協力するのが 本来の立場であると思います。いくら不治の病と言えども、人の生殺与奪の権利を持っているわけでは無いです。
終末期医療に関しては いろいろと難しい点も多いと思いますが、患者さんや家族の立場になって 最善の治療方法は何なのかを考えて行動してもらいたいと思いますね。。。 |