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 はじめに


 私は、癌と正面から向き合って闘病生活を送ろうと思っていたので、闘病生活に入ってからは、PC、ネットから離れるつもりでした。

 ですが、思うように闘病生活が送れません。

 それと言うのも、ある医療制度改革によって、入退院の繰り返しを余儀なくされているからです。

 私は、過去に医学を勉強していますし、医療、医学がどういうものかを分かっていますので、2つ臓器を摘出しなくてはいけないくらい悪性の癌という状況でも精神的に大丈夫なのですが・・・

 この制度のおかげで入退院を繰り返しているので、家族が動揺しています。どちらかと言うと、患者である私が、家族に対してインフォームドコンセントしている有様です^^;;

 この制度はDPC(診断群分類包括評価制度)というものなのですが、制度は全国共通なはずですから・・・

 私のような容態の患者が入退院を繰り返しているようでは、はたして、患者や家族の精神状態が、持ち堪えれるのか・・・非常に疑問でしたので、このページを作りました。

 私は医学の勉強をしましたが医師になっていませんので、守秘義務はありませんし、私個人の情報を私自身が公開するので、個人情報保護の観点でも問題ありません。

 確かにDPC(診断群分類包括評価制度)には利点もありますが、診療において一番重要である患者や遺族の安心感という金銭だけでは判断できない問題点を内包しているような気がします。

 闘病記を記録していくと共に、DPC(診断群分類包括評価制度)に、どういう問題点が出てくるのかを、考えてみたいと思います。
更新日時:
2009年02月07日



 これまでの状況・・・


 「私は癌です。」と1月13日にお知らせで書いてから、もうすぐで1ヶ月になります。

 5日の膀胱鏡検査の際に採取した組織片を病理検査した結果(細胞診)では、その組織片から癌細胞が見つからなかったのですが、転院した病院での内視鏡手術で腫瘍をかなり多めに削り取り、病理検査の結果を待つまでもなく、浸潤性のある悪性の腫瘍(癌)が確定しました。

 かなり多めに削り取っても、筋肉部分まで浸潤してる癌ですから、かなり多めに取ったとしても、あくまで、尿閉にならないよう、血尿、頻尿を改善する程度で大部分の癌は残っている状態です。

 膀胱鏡の画像を見た際に思った「全摘するしかないな」の予想通りでした。

 全摘するにしても、手術日まで時間がありますので、癌の進行を止めておく必要があります。

 全摘なので、全摘後の排尿方法をどうするか決めないことには、全摘手術をするまでの抗癌治療の方法も決めれません。

 今は、小腸を利用して代用膀胱を作ることも可能になっています。手術が12〜13時間かかりますが、私も、昔に医学をかじった人間ですから、医師を育てるには症例数を増やすことが第一であることを分かっています。程なく代用膀胱に決めました。

 私の手術には泌尿器の専門医だけでも4人〜5人(膀胱摘出に2人、代用膀胱作成に2人、腎臓摘出に1人〜2人)必要になる手術ですから、たぶん泌尿器科では一番大きな手術になるのかな?

 病院には研修医も多く来ています。私の執刀医はベテランですから、若い研修医達に見学させ、大きな手術がどういう物なのかを知ってもらうことも出来るのじゃないかな?と思います。

 代用膀胱にすると、小腸を使いますから、放射線治療は出来ませんので、手術までの期間に抗癌剤治療に絞られました。

 まず、抗癌剤治療として、膀胱動脈に抗癌剤を動注する方法を試みました。

 が・・・ 動注しようにもカテーテルで膀胱の動脈が見つかりませんでした。

 あるはずの動脈が見つからないって・・・ 不思議かもしれないですが・・・

 年配の方なら、つまっていたり、潰れていたりで、10人に1人くらいの割合で見つからない場合もあるとのことです。私の歳では、まず、そういうことは珍しいのですが・・・数時間探す作業をしてくれたのですが、どうしても見つからなかったのですよね。。。

 あ、そう言えば・・・

 血尿の際に、出血量が多かったのと、出血していた血が綺麗であったことから、動脈系の血管(毛細血管も含む)からの出血かな?と思っていました。

 それが・・・

 ※ 内視鏡手術の後に、出血量が極端に減ったこと(術後9日目の本日では、殆ど出血がありません)。

 ※ 手術でかなり多めに腫瘍を削り取ってもらったこと。

 ※ 削り取った際に電気メスで出血部分を焼いていること。

 ※ 膀胱動注しようにも膀胱の動脈が見つからなかったこと。

 ※ 動脈があるだろうと思われる位置に腫瘍が存在していること。

 これらのことを総合して考えると、内視鏡手術の際に、出血箇所の止血で、動脈部分を焼き付けた可能性があります。

 内視鏡手術の際に、かなり多くの腫瘍を削り取ったがために、止血も随時していると思いますが、その止血の時に、偶然、兵糧攻め(動脈からの出血の止血)を完璧にしたので、膀胱動注の際に膀胱動脈が見つからなかったのじゃないかな?という感じです(兵糧攻めが完璧でなければ術後の出血も多いはずですし、膀胱動注の際に膀胱動脈が見つかっていると思います)。

 膀胱動注が出来なかったので、全摘手術をするまでに進行を抑えるのと転移予防を兼ねて抗癌剤治療を1クールすることにしましたが、動脈が遮断されている以上癌細胞に栄養が行きませんので、この兵糧攻めの効果がどう出るか・・・興味がありますね。

 このページを作るにあたって、これまでのこと(1月5日の膀胱鏡検査から今日まで)を書いておかないと、今後の事も書きづらいので、とりあえず、ざっと書いておきました。
更新日時:
2009年02月07日



 スケジュール(日程)


 2008年12月からの、通院(外来)、入院等の記録です。

外来(通院)日 入院日 休診日

2008年 12月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
12月
20日 血尿が出始める。
26日 初診
 20日頃から血尿になり、26日になって血尿がひどく貧血になりそうになったので、病院に駆け込む(癌かな?)。

 貧血防止の為に止血剤の処方を頼んだのと年明けの検査の予約を入れた。
2009年 1月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
1月
5日 膀胱鏡検査(組織片採取)
造影CT検査
16日 造影拡大MRI検査
21日 転院(初診)
入院前検査(造影X線検査など)
29日 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
前立腺生検
(28日〜31日入院)
 膀胱鏡検査で腫瘍部分の画像を見て癌を確信。腫瘍部分が大きいので、全摘を覚悟。

 (細胞診では癌細胞がみつからなかったが、)全摘術可能な病院に転院を考慮。転院先の病院で内視鏡手術により腫瘍部分を可能な限り削除、及び止血(膀胱癌確定)。
2月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
2月
5日 膀胱動脈へ動注(抗癌剤治療)
(4日〜6日入院)
16日
17日
化学療法(抗癌剤治療)
(14日〜21日入院)
23日 アイソトープ検査(腎シンチ)
化学療法(抗癌剤治療)
26日 アイソトープ検査(骨シンチ)
 膀胱動脈へ抗癌剤を動注すべくカテーテルを試みるが、膀胱の動脈が見つからず断念(10人に1人くらいの割合でそういう場合がある)。

 癌の進行を止めるためと転移予防のため、手術前に抗癌剤治療を1クールすることを決めた。
3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
3月
2日 化学療法(抗癌剤治療)
4日 診察
入院前検査(心電図、X線検査など)
23日 造影CT検査(上下腹部)
26日 膀胱全摘・腎臓摘出術
代用膀胱造設術
(24日〜31日入院)
 現時点では、31日手術予定ですが、手術日程が前倒しになる場合もありますので、24日以降入院、26日以降手術に対応可能な状態にするため、23日に最終のCT検査が予定されています。

 26日手術に確定しました。
4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
4月
1日 術後治療
(1日〜17日入院)
28日 尿検査
診察
 開腹手術をし、膀胱を全摘した後、小腸を利用し、代用膀胱を造設するため、術後の入院期間が約1ヶ月必要。

 化学療法は、身体が回復した後でしかできないため、抗癌剤治療が必要な場合は、5月以降の治療となる(術前に化学療法を1クール入れたのも、こういう事情もあるため)。



更新日時:
2009年04月19日



 医療費について


 これまでに、どれくらいの医療費がかかっているのか?

 また、これからどれくらいの医療費がかかるのか?

 悪性度が高い癌の治療には、臓器摘出手術までに、どれくらいの費用がかかるのか、私の例ですので、人によってや医療機関によっては必ずしも一致しないと思いますが、参考になると思いますので、ざっと挙げてあります。

外来(通院)医療費 入院医療費 高額療養費対象医療費

日付 制度 分類 摘要 保険 自己負担(3割)
医療費 食事 医療費 食事
2008年
12月
12/26   I病院 泌尿器 外来 尿検査
診察
血液検査
14,450   4,340    4,340 4,340
2009年
1月
1/5   I病院 泌尿器 外来 尿検査
膀胱鏡検査
CT(造影)検査
診察
病理検査(細胞診)
55,820   16,750   16,750 113,640
1/16   I病院 泌尿器 外来 MRI(造影)検査
診察
22,710   6,810   6,810
1/17   I病院 泌尿器 外来 文書費 2,500   750   750
1/21   K病院 泌尿器 外来 尿検査
血液検査
診察
血液、尿検査
心電図
X線(造影)検査
胸部X線検査など
47,510   14,250   14,250
1/28〜1/31
(4日間)
DPC K病院 泌尿器 入院 TUR-BT 245,060 3,840 73,520 1,560 75,080
2月 2/4〜2/6
(3日間)
DPC K病院 泌尿器 入院 膀胱動注(断念) 124,080 2,560 37,220 1,040 38,260 169,650
2/14〜2/21
(8日間)
DPC K病院 泌尿器 入院 化学療法 278,120 12,800 83,440 5,200 88,640
2/23   K病院 泌尿器 外来 尿検査
血液検査
RI検査(腎シンチ)
診察
化学療法
83,220   24,970   24,970
2/26   K病院 泌尿器 外来 尿検査
血液検査
RI検査(骨シンチ)
診察
59,270   17,780   17,780
3月 3/2   K病院 泌尿器 外来 尿検査
血液検査
診察
化学療法
54,860   16,460   16,460 587,980
3/4   K病院 泌尿器 外来 血液検査
診察
血液、尿検査
心電図、肺活量検査
胸部X線検査など
17,750   5,330   5,330
3/23   K病院 泌尿器 外来 CT(造影)検査
診察
35,070   10,520   10,520
3/24〜3/31
(8日間)
  K病院 泌尿器 入院 膀胱全摘・腎臓摘出
代用膀胱造設
1,849,640 1,920 554,890 780 555,670
4月 4/1〜4/17
(17日間)
  K病院 泌尿器 入院 術後治療 390,840 31,360 117,250 12,740 129,990 130,290
4/28   K病院 泌尿器 外来 尿検査
診察
1,000   300   300
3,207,000 52,480 984,580 21,320 1,005,900
3月以降の医療費(赤字)は、概算なので金額に多少の増減があります。


処方箋薬
日付 分類 摘要 保険 自己負担3割
2008年
12月
12/26 薬局 院外処方 止血剤 1,910 570 570
2009年
1月
1/5 薬局 院外処方 止血剤 2,020 610 2,910
1/15 N医院 処方 漢方薬 5,780 1,730
1/16 薬局 院外処方 止血剤 1,910 570
2月 2/20 N医院 処方 漢方薬 6,620 1,990 4,340
2/23 薬局 院外処方 吐気止め 6,170 1,850
2/26 薬局 院外処方 抗生剤 1,670 500
3月 3/2 薬局 院外処方 抗生剤 1,670 500 2,740
3/27 N医院 処方 漢方薬 7,460 2,240
35,210 10,560



月ごとの医療機関・入院・外来(診療科)別自己負担額

同一月であっても、入院・外来(診療科)別の計算をしなければなりません。
別々に計算した際に、それぞれが21,000円以上ある場合は合算できます。
年月 分類 金額 対象 対象計 (総医療費) 自己負担限度額 高額療養費
2008年
12月
I病院 泌尿器 外来 4,340 × 4,910 − 
薬局 院外処方 570
2009年
1月
I病院 泌尿器 外来 24,310 114,990 99,010 383,310 80,100
+1,163
81,263 払い戻し対象
1回目
薬局 院外処方 1,180
K病院 泌尿器 外来 14,250 ×
K病院 泌尿器 入院 73,520
N医院 内科 処方 1,730 ×
2009年
2月
K病院 泌尿器 外来 42,750 167,750 165,760 559,154 80,100
+2,922
83,022 払い戻し対象
2回目
薬局 院外処方 2,350
K病院 泌尿器 入院 120,660
N医院 内科 処方 1,990 ×
2009年
3月
K病院 泌尿器 外来 32,310 589,940 587,700 1,966,450 80,100
+16,994
97,094 払い戻し対象
3回目
薬局 院外処方 500
K病院 泌尿器 入院 554,890
N医院 内科 処方 2,240 ×
2009年
4月
K病院 泌尿器 入院 117,250 117,550 117,250 44,400 払い戻し対象
4回目
K病院 泌尿器 外来 300 ×
(一般世帯)自己負担限度額の計算式: 80,100+(総医療費−267,000)×0.01
過去1年以内に4回以上高額療養費の支給を受けた場合: 44,400


国民健康保険 高額療養費(70歳未満)
対象 自己負担限度額 多数該当の場合の限度額
上位所得世帯 150,000 + (総医療費−500,000)×0.01 83,400
一般世帯 80,100 + (総医療費−267,000)×0.01 44,400
市民税非課税世帯 35,400 24,600
上位所得世帯:基準総所得の合計が600万円を超える世帯
多数該当:過去1年以内に4回以上高額療養費の支給を受けた場合


更新日時:
2009年04月29日



 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)について


 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)とは、下半身麻酔(硬膜外麻酔)または全身麻酔下で、尿道から内視鏡を挿入して、電気メスの原理で内視鏡下に膀胱腫瘍を切除(削り取って)いく手術です。

 術後の血尿の程度にもより一概には言えませんが、通常は1〜2時間程度で終わる手術です。

 膀胱癌には、粘膜下や膀胱筋層への浸潤がない表在性の膀胱癌と膀胱筋層への浸潤がある浸潤性の膀胱癌があり、前者の表在性の膀胱癌の場合には、この経尿道的膀胱腫瘍切除術によって、治療が終了することがありますが、後者の浸潤性のある膀胱癌の場合には、膀胱摘出、化学療法(抗癌剤治療)、放射線治療など他治療を追加していきます。

 簡単に分かりやすく書くと・・・ 表在性の場合は、TUR-BTで治療が終わり、浸潤性の場合は、TUR-BTから治療が始まるという感じで、同じ癌でも浸潤性のある膀胱癌の方が悪性度が高いです。

 私の場合は、腫瘍が大きく、筋層まで浸潤しているだろうことは術前より予測されていましたし、凝血塊で尿閉を起こしそうになるくらい出血量が多かったので、執刀医が、排尿を楽にするために、かなり多くの部分をこの術式で削り取ってくれました。

 TUR-BTでも削り取る量も多かったのと、止血作業などの手間も多くなり時間がかかったのですが・・・

 入院前の検査でしたPSAの採血検査でも数値が高かったので、TUR-BTだけでなく、急遽おまけで前立腺生検もしたので、両方合わせて3時間弱の手術になりました。

 削り取った腫瘍から、病理検査を待つまでもなく、浸潤性のある悪性腫瘍(癌)であることは分かりましたが、悪性度、浸潤度は病理検査の結果、最悪の一歩手前であることが判明しました(前立腺は生検の結果、問題ありませんでした)。

 脂肪層への浸潤は、開腹して臓器の外側から見ないことには分かりませんが、病理検査の結果からすれば、最悪の状態からは回避出来ていますので、全摘手術まで抗癌剤治療で癌の進行を止めておけば、後は「切り取ってしまえば」何とかなると思います。
更新日時:
2009年02月07日



 PSAの採血検査、前立腺生検について


 入院する前(1週間前)の検査の中に採血もあったのですが、その際に採血をかなり(7本)したので、たぶん、前立腺特異抗原(PSA)の方も調べるのだろうと思っていました。

 経尿道的膀胱腫瘍切除術をするための入院ですから、どの道手術をします。麻酔もかけますし、手術時間が1〜2時間が、2〜3時間になろうが大差ありません。検査の結果PSAの数値が高かったので、おまけと言うかついでに前立腺生検もしておくことにしました。

 PSAの数値が高い場合に可能性がある疾病

 前立腺肥大症 前立腺炎 前立腺癌

PSA 前立腺癌の確率 PSAの評価と解釈
〜3.0 非常に低い 正常値であるのですぐに精密検査の必要はない。
3.0〜4.0 15% 通常のPSAの正常値は4.0ng/dl以下
4.0〜10 20〜25% 4人から5人に対して1人くらいの確率で前立腺癌が見つかる。
10〜20 30% 3人に対して1人くらいの確率で前立腺癌が見つかる。
20〜50 50% 2人に対して1人くらいの確率で前立腺癌が見つかる。
50〜 100%に近い 前立腺炎の急性期以外は、ほぼ前立腺癌と考えられる。

 血液検査でPSAの数値が分かりますし、数値が高ければ生検をすることで、癌の有無を確認することができます。

 癌の早期発見は、早期治療に結びつきますから、40代後半くらいから、年に一度 PSAの採血検査をしておくのも良いと思いますね。
更新日時:
2009年02月08日



 膀胱動注について


 「膀胱動注」と書いても何のことだか分かりにくいと思いますから、簡単に書いておきます。

 膀胱癌の抗癌剤療法の一つです。

 カテーテルを太ももの付け根にある動脈から通し、カテーテルの先端を膀胱内部に出来ている腫瘍部分に近い動脈まで伸ばし、濃度の濃い抗癌剤を腫瘍(癌)に直接注入し、癌細胞を叩くやり方です。

 通常の静脈から点滴で抗癌剤を入れるのとは違い、癌があるその一点だけに抗癌剤を入れますので、かなり濃い濃度の抗癌剤を使えます。

 抗癌剤が強い分、当然の事ながら癌細胞も叩かれやすくなり、浸潤性のある膀胱癌でも、浸潤度、悪性度が軽ければ、この療法によって癌細胞を叩くことが出来る可能性もあり、膀胱を温存することも可能になると思います。

 私の場合は、腫瘍(癌)自体が大きく浸潤度も重かったので、動注にしても、あくまで手術までに癌が広がらないよう抑えるためと小さくするのが目的でした。前立腺近くまでカテーテルが到達していたのですが、時間をかけ、(カテーテルの最中にCT検査もし、腫瘍の位置まで再度確認したのですが)何度探しても腫瘍部分にあるべき動脈が見つからなかったので、動注は中止にしました。

 中止になっても、動脈からカテーテルを通したことは変わりません。動脈から出血しないよう5時間は身動きできないように砂のうを重しにして置かれますし、その後も翌日まで絶対安静です。

 ベッドで安静してる際に考えていたのですが・・・

 たぶんTUR-BTの際に動脈からの出血を止血出来てしまったので、見つからなかったのだろうと思いました(そう考えると辻褄が合います)。

 膀胱動注が出来なかったので、少しでも進行を抑えるためと転移予防の意味合いも含めて、手術前に通常の抗癌剤治療を1クールしておくことにしました。
更新日時:
2009年02月10日



 化学療法(GC)について


 ジェムザール、一般名ゲムシタビンとシスプラチンの組み合わせによる化学療法(GC)です。

外来(通院)日 入院日 休診日

  1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目
0週 2/9 2/10 2/11 2/12 2/13 2/14 2/15
          入院 腎臓機能検査
24時間
全尿採尿
1週 2/16 2/17 2/18 2/19 2/20 2/21 2/22
吐気止め
デカドロン注
吐気止め
デカドロン注
カイトリル錠
吐気止め
デカドロン注
カイトリル錠
吐気止め
デカドロン注
カイトリル錠
  退院   
抗癌剤
ジェムザール
抗癌剤
シスプラチン
  白血球回復
ノイトロジン注
白血球回復
ノイトロジン注
2週 2/23 2/24 2/25 2/26 2/27 2/28 3/1
吐気止め
デカドロン注
吐気止め
カイトリル錠
吐気止め
カイトリル錠
吐気止め
カイトリル錠
       
抗癌剤
ジェムザール
         
      抗生剤
セフゾンカプセル
抗生剤
セフゾンカプセル
抗生剤
セフゾンカプセル
3週 3/2 3/3 3/4 3/5 3/6 3/7 3/8
吐気止め
デカドロン注
           
抗癌剤
ジェムザール
           
抗生剤
セフゾンカプセル
抗生剤
セフゾンカプセル
抗生剤
セフゾンカプセル
       
4週 3/9 3/10 3/11 3/12 3/13 3/14 3/15
             

 1クールは、28日なのですが、実際に抗癌剤を投与するのは、1日目、2日目、8日目、15日目になります。
更新日時:
2009年03月02日



 化学療法(GC)の副作用について


 化学療法(抗癌剤治療)の場合には、血液の流れに乗って全身にくまなく抗癌剤が運ばれていきますので、抗癌剤が癌細胞を攻撃すると共に、どうしても正常な細胞も傷つけてしまい、副作用として現れます。

 GCの副作用では、個人差がありますが、悪心、吐き気、口内炎、脱毛、白血球減少、味覚障害、肝障害、腎障害などがあると言われています。

 私の場合に、どうだったのかを簡単に書いておきます。


腎障害

 私が、副作用で一番気をつけたのが、この腎障害で、2日目の抗癌剤(シスプラチン)の時に起きる可能性がありました。

 抗癌剤(シスプラチン)が、かなり強い薬ですので、どうしても腎臓への負担が大きくなります。私の場合は、化学療法をする前から、左の腎臓が水腎症になり、かなり機能低下しているだろうと分かっていました。

 私の身体の不要な成分のろ過機能を右の腎臓だけで支えているだろうことは容易に予測できましたし、場合によっては、抗癌剤の影響で急性腎不全になる可能性もありましたから、とにかく、腎臓への負担を軽減するために、点滴以外にも、かなり多くの水分を摂取しました。

 生食だけでも2,000ccの点滴量でしたが、それ以外にもかなり水分を多く摂りましたので、結果的に24時間の排尿合計が5,800ccありましたが・・・ 腎障害もなく、乗り切ることが出来ました。


白血球減少

 白血球の増減は、化学療法を始めて3日目から出ました。

 15日目の化学療法前の検査の際に一番下がっていたのですが、その2日後の検査の際には自力で回復していたため、白血球の数値が大幅に落ち込んだ時もなく、結果的に白血球を回復させるためにノイトロジンを注射したのは、4日目、5日目だけでした。


悪心(吐き気)

 ジェムザールは(1日目、8日目、15日目の)3回経験しても、これといって何も感じませんでした。抗癌剤(ジェムザール)を点滴する前の吐気止め(デカトロン)が効いているのだと思います。

 ただ、2日目のシスプラチンの時には、悪心(軽い吐き気)があったので、当日だけでなく、2日間朝に吐気止めを点滴したのですが、あくまで、悪心(軽い吐き気)がひどくならないように予防の意味合いでしています。ですので、吐き気に関して言えば、殆ど無かったに等しいくらいでした。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
悪心(軽い吐き気)                                                        
 
悪心(軽い吐き気)


食欲、味覚障害

 吐き気が殆ど無かったので、食欲が減退することもなく、普通に食事を摂ることが出来ましたし、味覚障害もありませんでした。

 ただ・・・ 抗癌剤で白血球減少が起き、免疫力が下がり、感染しやすくなるので、生ものを食べないように、刺身などには注意していたのですが・・・ 何気に、辛子明太子を食べてしまいました^^;;

 翌日が外来での検査日でしたので、しっかり感染していたのが分かりましたw ひどくならないように、大事をとって抗生剤を飲むことにしました。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
細菌感染                                                        
 
抗生剤投与


口内炎

 炎症になるほどひどくなかったのですが、敏感になった時期がありましたので、記録しておきます。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
口内炎                                                        
 
軽い口内炎


脱毛(毛髪)

 抗癌剤を使うので、脱毛は避けられないのですが、いつ頃から毛が抜け出すのか、どれくらい抜けるのかは、人によって差があります。私の場合は、3週目の金曜から、徐々に抜け出しました。

 私は、髭を生やしていますし、どうせ、手術前には剃るので、抜けても構わないのですが・・・ 髭については、一向に抜ける気配がありません。髭も毛髪も毛には違いないのだけど、抜けないのは、男性ホルモンと女性ホルモンの違いなのかな?

 3月6日から始まった脱毛ですが、本日(13日)の時点では、(まだ、毛髪はかなりあるのですが)殆ど抜けなくなりました。私の場合の脱毛期間は、ちょうど7日間(1週間)でした。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
脱毛                                                        
 
脱毛


便秘

 抗癌剤のせいなのか、また、吐気止めの薬のせいなのかは、分かりませんが、化学療法を始めてから、身体の変調として一番分かりやすかったのが便秘です。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
便秘                                
 
便秘
排便あり(2/19のみ下剤使用)


 私に出た副作用をまとめると、以下のようになります。

月日 2/16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 3/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
悪心(軽い吐き気)                                                        
細菌感染                                                        
口内炎                                                        
脱毛                                                        
便秘                                

 人によってなのか、また、GC療法のせいなのかは分かりませんが・・・

 化学療法の副作用としては、意外と(かなり)軽かったという感じですね。
更新日時:
2009年03月13日



 アイソトープ(RI)検査について


 CT検査やMRI検査は、書くまでもなく知られていると思いますが・・・ アイソトープ(RI)検査は、あまり耳にしない検査だと思います。

 アイソトープ(RI)検査(核医学検査)は、「放射性医薬品」という特殊な薬を使って検査しますが、その特徴を生かして、脳、心臓、甲状腺、悪性腫瘍等の診断に欠かせない検査方法として医療に役立っている検査です。


腎シンチ

 腎臓は体に不要な成分をろ過する働きをしていますが、核医学検査(RI検査)では、このろ過作用が正常に働いているか、ろ過の速さはどの程度かを調べることができますし、2つの腎臓の機能状況を比較することも出来ます。

 腎臓は左右に二つありますが、私の場合には、膀胱癌が出来た位置が悪く、左の腎臓につながる尿管に癌が浸潤してしまったため、排路がつまった状態になり、その影響で左の腎臓が被害に遭い、機能低下してしまっていました。

 癌が腎臓まで浸潤している可能性もあるので、腎臓摘出は避けられないのですが、仮に左の腎臓を摘出した場合に、右の腎臓だけで大丈夫なのか?生活に支障が無いくらい機能があるのか?など、患者が、腎臓摘出を決断するのに欠かせない検査になります。


骨シンチ

 テクネチウム-99mというアイソトープをつけたリン酸化合物を用い、薬を静脈から注射して、骨に十分薬が集まってから画像(シンチグラム)を撮り、癌が骨へ転移していないかを確認するために行う検査です。

 私の場合の膀胱癌は、癌の浸潤度、悪性度が、軽くは無いですから、摘出手術前の治療計画だけでなく、代用膀胱造設後の化学療法など・・・

 全体の治療計画を立てるためにも、骨への転移が無いかを前もって検査し、確認しておくことは必要です。
更新日時:
2009年02月28日


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