DPC(診断群分類包括評価制度)の良い点でもあるのですが、通常なら請求がきてからでないと分からない医療費が、治療内容が分かれば、前もって概算を出すことが出来ます。
医療費について の項目で、掛かっている(これから掛かるだろう)医療費の内訳をざっと書きましたが、そこから、高額療養費に関する部分を抜粋します。
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外来(通院)医療費 |
入院医療費 |
高額療養費対象医療費 |
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月ごとの医療機関・入院・外来(診療科)別自己負担額 |
同一月であっても、入院・外来(診療科)別の計算をしなければなりません。
別々に計算した際に、それぞれが21,000円以上ある場合は合算できます。 |
年月 |
分類 |
金額 |
対象 |
計 |
対象計 |
(総医療費) |
自己負担限度額 |
高額療養費 |
2008年
12月 |
I病院 |
泌尿器 |
外来 |
4,340 |
× |
4,910 |
- |
- |
- |
- |
- |
薬局 |
院外処方 |
570 |
× |
2009年
1月 |
I病院 |
泌尿器 |
外来 |
24,310 |
○ |
114,990 |
99,010 |
383,310 |
80,100
+1,163 |
81,263 |
払い戻し対象
1回目 |
薬局 |
院外処方 |
1,180 |
K病院 |
泌尿器 |
外来 |
14,250 |
× |
K病院 |
泌尿器 |
入院 |
73,520 |
○ |
N医院 |
内科 |
処方 |
1,730 |
× |
2009年
2月 |
K病院 |
泌尿器 |
外来 |
42,750 |
○ |
167,750 |
165,760 |
559,154 |
80,100
+2,922 |
83,022 |
払い戻し対象
2回目 |
薬局 |
院外処方 |
2,350 |
K病院 |
泌尿器 |
入院 |
120,660 |
○ |
N医院 |
内科 |
処方 |
1,990 |
× |
2009年
3月 |
K病院 |
泌尿器 |
外来 |
32,310 |
○ |
589,940 |
587,700 |
1,966,450 |
80,100
+16,994 |
97,094 |
払い戻し対象
3回目 |
薬局 |
院外処方 |
500 |
K病院 |
泌尿器 |
入院 |
554,890 |
○ |
N医院 |
内科 |
処方 |
2,240 |
× |
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(一般世帯)自己負担限度額の計算式: 80,100+(総医療費-267,000)×0.01
過去1年以内に4回以上高額療養費の支給を受けた場合: 44,400
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このように、3月分の入院医療費が、高額療養費の自己負担限度額を軽く超えています。
入院する前から、自己負担限度額を超えることが分かっていますので、高額療養費の貸付け制度を利用することにしました。
手術前から高額になるのが分かっていますし、月をまたいで、2ヶ月分になりますので、前もって、市役所に申請用紙を2か月分貰い、必要事項を書いた状態で、私が入院する予定の病院の医事課に渡してきました。
国民健康保険 高額療養費(70歳未満) |
対象 |
自己負担限度額 |
多数該当の場合の限度額 |
上位所得世帯 |
150,000 + (総医療費-500,000)×0.01 |
83,400 |
一般世帯 |
80,100 + (総医療費-267,000)×0.01 |
44,400 |
市民税非課税世帯 |
35,400 |
24,600 |
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上位所得世帯:基準総所得の合計が600万円を超える世帯
多数該当:過去1年以内に4回以上高額療養費の支給を受けた場合 |
国民健康保険の高額療養費には、自己負担限度額が設けてあります。限度額を超えた分に関しては、申請すれば払い戻しになります。高額療養費の貸付け制度を利用すると、それぞれどうなるかを、3月を例にして出してみます。
上位所得世帯 |
554,890円 (本来の3割負担額) |
404,890円 |
150,000円 |
364,401円 (404,890円の9割) |
40,489 |
150,000円 |
364,400円(貸付額) |
190,490円 |
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一般世帯 |
554,890円 (本来の3割負担額) |
474,790円 |
80,100円 |
427,311円 (474,790円の9割) |
47,479 |
80,100円 |
427,310円(貸付額) |
127,580円 |
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市民税非課税世帯 |
554,890円 (本来の3割負担額) |
519,490円 |
35,400 |
467,541円 (519,490円の9割) |
51,949 |
35,400 |
467,540円(貸付額) |
87,350円 |
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前もって、貸付け制度を利用する旨を医療機関に話し、申請用紙を渡しておくと、医療機関から、本来の3割負担額の請求でなく、白の部分の金額で請求がきます(医療機関が請求書を出してから患者が貸付け制度を利用すると、医療機関は計算しなおしをしなければいけませんので、その手間を省いています)。
ちなみに、貸付けた部分は、高額療養費の支給申請の際に払い戻す分になりますので、高額療養費支給申請をすれば相殺されます。貸付けという表現を使っていますが、返すことはないのですよね。
ただし、2年以内に高額療養費支給申請をしなければ、支給対象外になりますので、返済が発生することになると思います。貸付け制度を利用した場合は、早めに高額療養費の支給申請手続きをされることをお勧めします。
それと、自己負担限度額は、総医療費の1%分もありますから、患者が使った総医療費が確定しないことには分かりませんし、この貸付け制度を利用できるのは、入院の場合だけですが、高額療養費の支給は入院、外来で対象になる部分の合計金額が対象になります。
私の場合は、入院前に外来でも32,310 + 500 = 32,810円使っていますから、21,000円を超えています。
入院の分の請求の127,580円を払い、医療機関から領収書を貰ったら、その領収書を外来の32,810円分の領収書と併せて高額療養費支給の申請をすれば、貸付け制度で借りた分が相殺されますし、自己負担限度額の97,094円を超えた分について戻ってきます。
127,580(入院分) + 32,810(外来分) - 97,094(自己負担限度) = 63,296(払い戻し分) で、63,296円戻ってくる形になります。
レセプトで総医療費が確定しないことには自己負担限度額が分かりませんから、戻ってくるとしても、該当月から2ヶ月以上遅れることになると思います。
※手術前には、DPCの概算で計算してありましたが、退院して、正確な医療費が分かりましたので、数字を修正して計算し直してあります。 | | |