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少年殺人事件

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大阪・寝屋川万引き犯コンビニ店員刺殺事件


事件の概要

 2007年10月6日午前0時50分ごろ、大阪府寝屋川市高宮のコンビニエンスストア「セブン−イレブン寝屋川高宮店」に来た2人組が、品物(缶ビール12本やプリン1個(計約3400円相当))の代金を払わず、買い物かごごと万引きし、逃げようとするのを店員が見つけ、犯人達を追いかけ、その犯人の1人ともみ合いになり、犯人に左胸を刺され、その傷が致命傷になり、コンビニ店員の27歳男性が死亡した。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 コンビニを狙った強盗事件も多いのですが、万引き犯が殺人行為を犯すと、安易な気持ちで万引きをしたことの結果での殺人行為であっても、刑法には事後強盗の定義がありますので、その定義に当てはまり、強盗になり、殺人行為を犯せば強盗殺人罪になりますし、殺すつもりがなくても、強盗致死罪になります。

 強盗致死罪も強盗殺人罪も、法定刑は、死刑と無期懲役だけです。

 強盗致死罪の場合は、殺意が無かったということで情状を酌量され、刑を減軽される場合もありますが、それでも元になる刑が無期懲役からですから、有期懲役でも長期になります。

 安易な気持ちでした行為が発端であっても、人を死に至らしめた場合には、いかに罪が重くなるかということを知っていただきたいと思い書くことにしました。

 殺人行為というのは、被害に遭われ亡くなられた方の人生だけでなく、加害者自身の人生をも狂わせてしまうということをよく考え、何事も己を律して行動するようになってもらいたいと思います。
更新日時:
2007年10月06日




窃盗である万引き行為でも、場合によっては事後強盗に・・・

 ということで強盗殺人事件として警察の捜査が始まったのですが・・・

 強盗殺人事件となっていることに、疑問を持たれる方のために、関係している条文を紹介しておきます。

 万引き行為は、窃盗罪になりますし、人を殺せば、殺人罪になります。

 殺人罪には、有期懲役の規定もありますが、強盗殺人罪の刑罰には、死刑又は無期懲役しかなく有期懲役の規定がありません。

 強盗殺人罪というのは、それくらい重い罪なのですが、刑法第238条の事後強盗の条文を読んでみてください。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(窃盗)
第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(事後強盗)
第二百三十八条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。 となっています。

 万引き=窃盗ですから、今回の状況に合わせて条文を置き換えると・・・

 万引き行為をした者(窃盗)が、缶ビール12本やプリン1個(財物)を得てこれを取り返されることを防ぎ、逃げた行為(逮捕を免れ)、又は罪跡を隠滅するために、店員に対して刃物などで刺した行為(暴行)又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。 になるのです。

 万引き行為をした時は、窃盗行為でしたので、窃盗罪の「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が適用されますが、大抵の場合は、その場で「ごめんなさい」をして謝り、反省の色が見られると判断されれば許してもらえる場合も多く、許してもらえなくて警察に通報され、検察に送検(書類送検)されたとしても、条文中の 50万円以下の罰金 という簡易裁判所に略式起訴という方法で対応可能な罪ですが・・・

 逃げ、店員を刺して死に至らしめたことで、強盗致死、若しくは強盗殺人になり、「死亡させたときは死刑又は無期懲役」 の罰則の罪を犯していることになりますから・・・

 50万円以下の罰金刑の罪を逃れるために、無期懲役以上の刑しかない罪を犯しているのですよね。。。

 今は、24時間営業しているということで、コンビニをターゲットにした強盗事件も多いのですが、強盗殺人罪は、強盗罪とは比較にならないくらい罪が重いです。

 この事件は、容疑者が20歳前後と見られていますから、犯人が少年である場合もあります。

 少年の場合は、少年法が適用されますので、一旦家裁に送致され、検察逆送するかどうかは家裁の判断次第ですが、18歳以上で、強盗殺人のような悪質な行為であれば、検察に逆送され、地方裁判所に起訴され、判例上では、成人と殆ど変わらない刑罰が科されています。
更新日時:
2007年10月06日



時系列

日付 摘要
2007 10/06 午前0時50分ごろ、大阪府寝屋川市高宮のコンビニエンスストア「セブン−イレブン寝屋川高宮店」に来た2人組が、品物(缶ビールなど)の代金を払わず、買い物かごごと万引きし、逃げようとするのを店員が見つけ、犯人達を追いかけ、その犯人の1人ともみ合いになり、犯人に左胸を刺され、その傷が致命傷になり、コンビニ店員の27歳男性が死亡した。
現場近くに住む19歳少年が、家族に付き添われ、午前中に寝屋川署へ出頭した。
事件に関与したとみられる15歳少年を、午後4時ごろ寝屋川市内で捜査員が発見し、身柄を確保した。
大阪府警寝屋川署捜査本部が、19歳工員を強盗殺人容疑で、15歳内装工アルバイトを強盗致死容疑で逮捕
10/07 万引きした15歳少年を車に乗せて逃げた少年を特定、事情聴取
10/08 大阪府警寝屋川署捜査本部が、19歳少年、15歳少年の2人を大阪地検に送検
10/26 19歳少年を強盗殺人、銃刀法違反の非行事実で、15歳少年を強盗致死の非行事実で、「刑事処分相当」の意見を付けて大阪家裁に送致
大阪家裁が2週間の観護措置を決定し、2人を大阪少年鑑別所に移送
11/21 大阪家裁の審判で19歳少年を検察官送致(逆送)とすることを決定
11/30 大阪地検が強盗殺人罪などで、19歳少年を起訴
12/ 大阪家裁の審判で15歳少年の中等少年院送致決定
2008 02/26 大阪地裁で強盗殺人などの罪に問われた19歳少年の初公判
03/05 大阪地裁で開かれた論告求刑公判で、検察側が無期懲役を求刑(判決は3月18日)
03/18 大阪地裁の判決公判で、求刑通り無期懲役を言い渡し
2009 02/26 大阪高裁の控訴審判決公判で、無期懲役とした一審判決を支持、弁護側控訴を棄却
11/13 最高裁第2小法廷が11日付で、上告を棄却決定
更新日時:
2009年11月17日



判決状況

罪名 犯行時年齢 被害死者数 殺人前科
強盗殺人などの罪 19歳 1名 無し
判決日 裁判所 検察求刑 判決
2008/03/18 第一審 大阪地裁 求刑無期懲役 無期懲役
2009/02/26 控訴審 大阪高裁 控訴棄却
2009/11/11 上告審 最高裁第2小法廷 上告棄却
更新日時:
2009年11月17日



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