事件概要
2015年4月19日夜、船橋市の野口愛永さん（18歳）が千葉市中央区の路上で友人と歩いていた際、車に乗っていた少年らに声をかけられて同乗した。その後18歳少女は行方不明に。千葉県警は、4月24日までに、野口さんに対する監禁容疑で、井出裕輝（20歳）、中野翔太（20歳）、少女（18歳）、少年（16歳）の4容疑者を逮捕した。 　4月24日、千葉県警は、中野容疑者の「井出容疑者と一緒に、野口さんを成田空港近くに埋めた」との供述に基づき、同県芝山町で捜索を行い、遺体を発見した。遺体が発見されたのは成田空港から東に約100メートル離れた畑。捜査関係者によると、遺体は深さ約1・5メートルの土中から正座をしたような状態で見つかり、女性物とみられる服を着ていた。頭部は何かで何重にも巻かれ、顔がすぐ判別できないような細工がされていた。千葉県警は殺害された疑いが高いとみて船橋東署に捜査本部を設置した。 　4月27日、県警船橋東署捜査本部は、司法解剖の結果、遺体に目立った外傷がないことなどから、野口さんが窒息死したと判明した。	遺体発見場所 千葉県芝山町周辺の地図 - Yahoo!地図
5月13日、野口さんの財布などを奪い土中に埋めて殺害したとして、千葉県警船橋東署捜査本部は、強盗殺人容疑で井出裕輝（20歳）、中野翔太（20歳）、少女（18歳）、少年（17歳）の4容疑者を再逮捕。同15日、4人を千葉地検に送検した。 　6月4日、千葉地検は、野口さんを監禁し財布を奪って殺害したなどとして、強盗殺人、逮捕監禁罪などで住居不定、無職、井出裕輝容疑者（20歳）と中野翔太容疑者（20歳）を起訴。元同級生の少女（18歳）を強盗殺人、逮捕監禁の非行事実で、東京都葛飾区の少年（17歳）を逮捕監禁の非行事実で家裁送致（共謀関係がなかったとして強盗殺人では不起訴に）した。 　7月17日、千葉家裁（神坂尚裁判長）は、家裁送致された元アルバイトの18歳少女について、「刑事処分を選択して成人と同様の手続きを取り、責任を自覚させることが適切」として検察官送致した。7月24日、千葉地検は、今年４月に千葉県船橋市の野口さんを生き埋めにして殺害、財布を奪ったとして、強盗殺人、逮捕監禁罪で、元同級生の無職少女（18）を起訴した。
更新日時： 2015年7月30日

時系列

日付 摘要 2015 04/19 夜、野口愛永さん（18歳）が千葉市中央区の路上で友人と歩いていた際、車に乗っていた少年らに声をかけられて同乗。その後18歳少女が行方不明に 野口さんを車に乗せて約3時間監禁 04/20 未明、堀った穴に野口さんを座らせ、全身に土砂をかけて窒息死させる 04/ 千葉県警は、野口さんに対する監禁容疑で、中野翔太（20歳）、少女（18歳）、少年（16歳）の3容疑者を逮捕 04/24 所在不明となっていた井出裕輝（20歳）容疑者が県警鎌ケ谷署に出頭。20歳容疑者を監禁容疑で逮捕 千葉県警は、中野容疑者の「井出容疑者と一緒に、野口さんを成田空港近くに埋めた」との供述に基づき、同県芝山町で捜索を行い、遺体を発見 遺体が発見されたのは成田空港から東に約100メートル離れた畑。捜査関係者によると、遺体は深さ約1・5メートルの土中から正座をしたような状態で見つかり、女性物とみられる服を着ていた。頭部は何かで何重にも巻かれ、顔がすぐ判別できないような細工がされていた 千葉県警は殺害された疑いが高いとみて船橋東署に捜査本部を設置 04/27 県警船橋東署捜査本部は、司法解剖の結果、遺体に目立った外傷がないことなどから、野口さんが窒息死したと判明。（遺体は強い力で首を絞められたり、抵抗したりした跡は確認されず、結束バンドで両腕を縛られ、口を粘着テープのようなものでふさがれた状態で発見。容疑者の一部が「野口さんを生きたまま埋めた」と供述） 05/07 少女（18）の供述に基づき県警が千葉市花見川区の川を捜索、野口さんのものとみられる携帯電話を発見 05/13 千葉地検は、4人の野口さんに対する監禁容疑について処分保留 野口さんの財布などを奪い土中に埋めて殺害したとして、千葉県警船橋東署捜査本部は、強盗殺人容疑で井出裕輝（20歳）、中野翔太（20歳）、少女（18歳）、少年（17歳）の4容疑者を再逮捕 05/15 千葉県警捜査1課と船橋東署の捜査本部は、強盗殺人容疑で再逮捕した男女4人を千葉地検に送検 06/04 野口さんを監禁し財布を奪って殺害したなどとして、千葉地検は、強盗殺人、逮捕監禁罪などで住居不定、無職、井出裕輝容疑者（20）と中野翔太容疑者（20）を起訴。元同級生の少女（18）を強盗殺人、逮捕監禁の非行事実で、東京都葛飾区の少年（17）を、逮捕監禁の非行事実で家裁送致（共謀関係がなかったとして強盗殺人では不起訴にした）。 07/17 千葉家裁（神坂尚裁判長）は、家裁送致された元アルバイトの18歳少女について、「刑事処分を選択して成人と同様の手続きを取り、責任を自覚させることが適切」として検察官送致 07/24 千葉地検は、今年４月に千葉県船橋市の野口さんを生き埋めにして殺害、財布を奪ったとして、強盗殺人、逮捕監禁罪で、元同級生の無職少女（18）を起訴

更新日時： 2015年7月30日

犯行態様など

要件 摘要 該当 被害者との関係 被害者と面識があるのは18歳少女のみ。20歳男の2人と犯行時17歳少年の3人については被害者と直接の因果関係が無いため、3人が一方的に悪くなる。 ※ 罪の性質 強盗殺人は法定刑に無期懲役と死刑の規定しかない罪で罪質は最悪。 ※ 犯行の計画性 事前に埋める穴を約1．5メートル掘って用意していることから計画性は高い。 ※ 犯行態様 一人の被害者に対して、4人が徒党を組んでの犯行。少数対多数の場合は逃げようがないため、多人数側が悪くなり、基本的に共謀共同正犯に。 被害者を結束バンドで両腕を縛り、口を粘着テープのようなものでふさいだ状態で穴に入れ、生きたまま上から土を被せて窒息死に至らせている。殺害方法としての生き埋めは、かなり残虐な部類に属する。 ※ 犯行の動機 男3人については、被害者との直接の因果関係がありません。因果関係が無い第三者を殺害した場合、縁もゆかりも無い者を殺害したことににり、動機に酌むべき事情も見出せなくなります。 ※ 犯行後の情状 現金数万円が入った財布やショルダーバッグなどを奪い、携帯電話を捨てるなど証拠隠滅行為をしているため、犯行後の情状は悪い。 ※ 犯行後の反省 4人の中には「（野口さんに）悪いことをした」と謝罪の言葉を口にする容疑者もいるようだが、黙秘をしている容疑者もいる。現段階では、酌量減刑するに値するほどの深い反省の段階に至っているとは思えません ※ 遺族の心情 遺体の身元を野口さんの両親が確認。遺族の心情は言うまでも無く峻烈 ※

この他に、犯行の主導性や前科などが考慮されて個々の量刑が決まっていきます。 　5月15日時点では、まだ4人が強殺容疑で逮捕された段階で監禁容疑についても処分保留で起訴もされていませんが、犯行時18歳の少女と同16歳の少年の2人については少年法上、まずは家裁に送致する必要があります。家裁での審判を経て刑事処分、保護処分などが決まります。

更新日時： 2015年5月15日

参考法規

刑法 （強盗致死傷） 第二百四十条 　強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。 （逮捕及び監禁） 第二百二十条 　不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。 少年法 （死刑と無期刑の緩和） 第五十一条 　罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。 ２ 　罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。 （不定期刑） 第五十二条 　少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する。 ２ 　前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない。 ３ 　刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。 罪名 該当法 法定刑 量刑例 強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合 強盗強姦罪 刑法第241条 無期、7年以上の懲役 逮捕監禁罪 刑法第220条 3月以上7年以下の懲役 ※　殺人事件・判例　少年事案｜無期懲役仮釈放者の平均在所年数

更新日時： 2015年5月15日

少年事件での刑事処分

少年事件（14歳以上）は、原則として家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が、審判不開始、不処分、保護処分（少年院送致、保護観察）、検察官送致（逆送）などの判断をする。ただし、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪（殺人、強盗致死などの罪）の事件で、その罪を犯した時に16歳以上の少年については原則逆送（少年法第20条第2項）。 少年法 （検察官への送致） 第二十条 　家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。 ２ 　前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。 　家庭裁判所が少年を刑事処分にする必要があると認めた場合、検察官送致（逆送）した後、地方裁判所で刑事裁判として審理される。

更新日時： 2015年5月15日

中野翔太被告の公判関係

第一審　千葉地裁（吉井隆平裁判長）　裁判員裁判

日付 摘要 2016 11/11 初公判 （冒頭陳述、罪状認否）　被告は罪状認否で「間違いありません」と起訴事実を認める 11/14 第2回公判   11/15 第3回公判 （被告人質問）　21歳被告は、女性が殺害時に泣いて命乞いしたが「周りに聞かれると思って焦り、土を全部かけて埋めた」。「被害者の未来を無残に奪ってしまい申し訳ない」と、女性や遺族に対し謝罪 11/17 第4回公判   11/18 第5回公判 （証人尋問、遺族の意見陳述）　精神科医が証人出廷し、中野被告には「軽度の精神遅滞がある」とした一方「集団心理で行動がエスカレートした。精神遅滞がなくても生じ得た犯行」と述べた。被害女性の母親は「愛する娘の未来を二度と見ることができなくなった。極刑以外望みません」と訴える。 11/21 第6回公判 （論告求刑、最終弁論）　検察側は論告で「計画的で極めて残虐な、身勝手な犯行」と指摘。「被告人自身が全体を通して手を下しており、積極的に犯行に加担した」と主張し、21歳被告に対して、無期懲役を求刑 11/30 第7回公判 （判決）　千葉地裁（吉井隆平裁判長）は、21歳被告に対して求刑通り無期懲役の判決を言い渡し

2016年12月1日、21歳被告は判決を不服として控訴した。

控訴審　東京高裁（大熊一之裁判長）

日付 摘要 2017 5/23 初公判 （冒頭陳述、弁論）　弁護側は刑の軽減を求め、即日結審 6/8 第2回公判 （判決）　東京高裁（大熊一之裁判長）は、無期懲役とした１審判決を支持し、弁護側の控訴を棄却

被告の弁護側は判決を不服として上告

上告審　最高裁第1小法廷（山口厚裁判長） 　2017年10月10日付で、最高裁第1小法廷（山口厚裁判長）は、22歳被告側の上告を棄却する決定をした。

更新日時： 2017年10月11日

事件時少女の公判関係

第一審　千葉地裁（松本圭史裁判長）　裁判員裁判

日付 摘要 2017 1/13 初公判 （冒頭陳述、罪状認否）　少女は「お金を奪うとか殺すとか、（仲間と）事前に話し合ったことはなく、殺意もありませんでした」と起訴内容を一部否認し、弁護側は強盗殺人罪の成立を否定 1/16 第2回公判 （証人尋問）　中野翔太被告が出廷し、「遺族に申し訳ない。（少女は）否認しないで、全ての罪を認めて」と述べる 1/17 第3回公判 　 1/18 第4回公判 （証人尋問）　検察側の「電話で、被害者が死んでいることや（殺害の）状況などについて被告人から聞いたのでは」との質問には「聞きました」と答えた 1/19 第5回公判 （証人尋問）　少女の友人の男性が出廷し、事件当日の4月19日夜、少女が男性との電話で「今から人を殺すから」と話したことを明かした 1/23 第6回公判 （被告人質問）　少女は、女性が埋められたと確信したのは「逮捕されてから」と述べ、殺意や計画性などを否定する主張を繰り返した 1/24 第7回公判 （被告人質問、証人尋問）　被告人質問で、少女は遺族に謝罪していないことを明かし、「（事件の）重大さが分かっていないのに、中途半端なことはできない」と説明。証人尋問で出廷した女性の父親は「死刑を求めます」と強い口調で述べた 1/25 第8回公判 （論告求刑、最終弁論）　19歳少女について、検察側は「事件を発案して共犯者らを巻き込み、中心的な役割を果たした」として無期懲役を求刑。弁護側は殺害の共謀や目的を否定、千葉家裁への移送を求めて結審 2/3 第9回公判 （判決）　千葉地裁（松本圭史裁判長）は「犯行の起点を担い、重要な役割を果たした」と述べ、19歳少女に対して求刑通り無期懲役を言い渡し

2017年2月3日、19歳少女は即日控訴

控訴審　東京高裁（後藤真理子裁判長）

2018年12月11日、東京高裁（後藤真理子裁判長）は、「借りた卒業アルバムを返さない女性に強く腹を立て、（共犯者に）殺害を依頼した」と認定。事件当日に井出裕輝被告が「もう穴は掘ってある」と話していた場に元少女がいたと指摘。「殺害される可能性も認識していた。強盗殺人の故意と共謀は認められる」と結論付け、無期懲役とした一審千葉地裁判決を支持し、弁護側控訴を棄却

更新日時： 2019年3月8日

井出裕輝被告の公判関係

第一審　千葉地裁（吉井隆平裁判長）　裁判員裁判

日付 摘要 2017 2/13 初公判 （冒頭陳述、罪状認否）　22歳井出被告は起訴事実について「強盗強姦と強盗殺人については否認します」と述べた 2/14 第2回公判 （証人尋問）　21歳中野被告が証人出廷　事前に準備した女性を埋める穴について、井出被告が犯行直前に「あれだけ掘っておけば死ぬ」と口にしていたと証言 2/15 第3回公判 　 2/16 第4回公判   2/17 第5回公判 　 2/20 第6回公判 　 2/21 第7回公判 　 2/22 第8回公判   2/23 第9回公判 （論告求刑、最終弁論）　検察側は「被害者を緊縛する方法を考え実行行為について指示するなど、黒幕として事件を取り仕切った」と指摘したほか、犯行についても｢残虐かつ計画的だ」とし、無期懲役を求刑 3/10 第10回公判 （判決）　千葉地裁（吉井隆平裁判長）は22歳井出裕輝被告に対して求刑通り無期懲役を言い渡し

2017年3月23日、22歳被告は判決を不服として東京高裁に控訴

控訴審　東京高裁（大熊一之裁判長）

日付 摘要 2018 1/23 初公判 （冒頭陳述、弁論）　 3/1 第2回公判 （判決）　東京高裁（大熊一之裁判長）は「極めて残虐で、結果も重大。共犯者の間で主導的かつ不可欠な役割を果たした」と指摘。１審判決を支持し、被告の控訴を棄却

上告審　最高裁第1小法廷（深山卓也裁判長）

2018年12月25日付けで、最高裁第1小法廷（深山卓也裁判長）は、24歳被告側の上告を棄却する決定をした。

更新日時： 2019年3月8日

被告達の判決状況

氏名	罪名	第一審			控訴審		上告審
		求刑	判決	裁判所・日付	判決	裁判所・日付	判決		裁判所・日付
少女A	強盗殺人	求刑無期懲役	無期懲役	千葉地裁 2017/2/3	控訴棄却	東京高裁 2018/12/11
井出裕輝	強盗殺人	求刑無期懲役	無期懲役	千葉地裁 2017/3/10	控訴棄却	東京高裁 2018/3/1	上告棄却		最高裁第1小法廷 2018/12/25
中野翔太	強盗殺人	求刑無期懲役	無期懲役	千葉地裁 2016/11/30	控訴棄却	東京高裁 2017/6/8	上告棄却		最高裁第1小法廷 2017/10/10

更新日時： 2019年3月8日

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