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少年殺人事件

殺人事件、裁判員裁判、性犯罪のコンテンツで扱っている事件の一覧

名古屋高齢女性殺害事件


事件概要

 2015年1月27日午前9時半すぎ、訪ねてきた警察官が名古屋市のアパートの浴室で名古屋市千種区に住む森外茂子さん(77)が死亡しているのを発見。愛知県警は、女性の知り合いで、この部屋に住む名古屋大学の19歳女子学生を殺人容疑で逮捕した。

 2月12日、名古屋地検は、女子学生の鑑定留置を請求、認められた。期間は5月12日までの3ヶ月間。

 5月15日、知、宮城両県警の合同捜査本部は、女子学生が、仙台市内の私立高校2年に在学中、同級生の少年(19)と中学時代の友人の少女(19)の2人に毒性の強い薬品「硫酸タリウム」を飲ませた疑いがあるとして、19歳女子学生を殺人未遂容疑で再逮捕した。

 6月5日、2014年12月13日午前3時25分ごろ、仙台市青葉区にある木造2階建て住宅を知人宅と誤認し、玄関扉の郵便受けに引火性の高いジエチルエーテルを流し込んでマッチで火を付け、住人の女性ら3人を殺害しようとした疑いがあるとして、愛知、宮城両県警の合同捜査本部は、殺人未遂と現住建造物等放火容疑で19歳女子学生を再逮捕した。

 6月16日、名古屋地検は、名古屋大の19歳女子学生を、検察官送致(逆送)を求める「刑事処分相当」の意見を付け、殺人や殺人未遂などの疑いで一括して家裁送致。名古屋家裁は、事件に至る経緯を調査するため、2週間の観護措置を取ることを決めた。

 7月3日、名古屋家裁は、高齢女性に対する殺人容疑などで送致された名古屋大の19歳女子学生の精神鑑定を再び実施すると決め、鑑定留置したと明らかにした。期間は8月31日までの約2ヶ月間。8月31日、名古屋家裁による19歳元女子学生の精神鑑定が終了。名古屋家裁は9月9日までの観護措置を決定した。(9月29日まで延長)9月29日、名古屋家裁は、殺人容疑などで送致された名古屋大の19歳元女子学生を検察官送致した。

 10月8日、名古屋地検は、20歳元女子学生を殺人、殺人未遂、現住建造物等放火の罪で起訴した。

更新日時:
2016年7月3日




時系列
日付 摘要
2012 05/27 女子学生が仙台市内のカラオケ店で少女の飲み物にタリウムを混ぜ飲ませる殺人未遂
05/28
以降
女子学生が通っていた高校の教室で少年のペットボトルにタリウムを混入し、飲ませる殺人未遂
2014 12/07 名古屋市千種区に住む森外茂子さんが名古屋大学の19歳女子学生のアパートを訪ねる
女子学生が女性を殺害殺人
女子学生が「ツイッター」に「ついにやった」と書き込む
12/08 女子学生が宮城県の実家に戻る
12/ 森外茂子さんの家族が捜索願を警察に届出
12/13 午前3時25分頃、仙台市青葉区にある木造2階建て住宅の玄関扉の郵便受けに引火性の高いジエチルエーテルを流し込んでマッチで火を付ける現住建造物等放火、殺人未遂
2015 01/ 愛知県警が女子学生に聴取に応じるよう電話で要請
01/26 女子学生が名古屋市内のアパートに戻る
01/27 午前9時半すぎ、訪ねてきた警察官が名古屋市のアパートの浴室で名古屋市千種区に住む森外茂子さん(77)が死亡しているのを発見
愛知県警は、女性の知り合いで、この部屋に住む名古屋大学の19歳女子学生を殺人容疑で逮捕
01/29 名古屋大学がコメントを発表 本学学生の逮捕について(名古屋大学)
02/12 名古屋地検は、鑑定留置を請求、認められた。期間は5月12日までの3ヶ月間
05/15 愛知、宮城両県警の合同捜査本部は、女子学生が、仙台市内の私立高校2年に在学中、同級生の少年(19)と中学時代の友人の少女(19)の2人に毒性の強い薬品「硫酸タリウム」を飲ませた疑いがあるとして、19歳女子学生を殺人未遂容疑で再逮捕
06/05 2014年12月13日午前3時25分ごろ、仙台市青葉区にある木造2階建て住宅を知人宅と誤認し、玄関扉の郵便受けに引火性の高いジエチルエーテルを流し込んでマッチで火を付け、住人の女性ら3人を殺害しようとした疑いがあるとして、愛知、宮城両県警の合同捜査本部は、殺人未遂と現住建造物等放火容疑で19歳女子学生を再逮捕
06/16 名古屋地検は、名古屋大の19歳女子学生を、検察官送致(逆送)を求める「刑事処分相当」の意見を付け、殺人や殺人未遂などの疑いで一括して家裁送致
名古屋家裁は、事件に至る経緯を調査するため、2週間の観護措置を取ることを決めた
07/03 名古屋家裁は、高齢女性に対する殺人容疑などで送致された名古屋大の19歳女子学生の精神鑑定を再び実施すると決め、鑑定留置したと明らかにした。期間は8月31日までの約2ヶ月間
08/31 名古屋家裁による19歳元女子学生の精神鑑定が終了
名古屋家裁は9月9日までの観護措置を決定
09/09 名古屋家裁は9月19日までの観護措置延長を決定
09/19 名古屋家裁は9月29日までの観護措置延長を決定
09/29 名古屋家裁は、殺人容疑などで送致された19歳元女子学生を検察官送致
10/08 名古屋地検は、20歳元女子学生を殺人や殺人未遂などの罪で起訴
更新日時:
2016年7月3日




起訴状況

刑法

(現住建造物等放火)
第百八条  放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(未遂罪)
第二百三条  第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
少年法

(死刑と無期刑の緩和)
第五十一条  罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2  罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上二十年以下において言い渡す。

(不定期刑)
第五十二条  少年に対して有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて、これを言い渡す。この場合において、長期は十五年、短期は十年を超えることはできない。
2  前項の短期については、同項の規定にかかわらず、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の二分の一を下回らず、かつ、長期の二分の一を下回らない範囲内において、これを定めることができる。この場合においては、刑法第十四条第二項 の規定を準用する。
3  刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。

罪名 該当法 法定刑 量刑例
殺人罪 刑法第199条 死刑、無期、5年以上の懲役 殺人罪の場合
殺人未遂罪 刑法第203条
現住建造物等放火罪 刑法第108条 死刑、無期、5年以上の懲役

※ 殺人事件・判例 少年事案
更新日時:
2016年7月3日




少年事件での刑事処分

 少年事件(14歳以上)は、原則として家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が、審判不開始、不処分、保護処分(少年院送致、保護観察)、検察官送致(逆送)などの判断をする。ただし、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人、強盗致死などの罪)の事件で、その罪を犯した時に16歳以上の少年については原則逆送(少年法第20条第2項)。

少年法

(検察官への送致)
第二十条  家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

 家庭裁判所が少年を刑事処分にする必要があると認めた場合、検察官送致(逆送)した後、地方裁判所で刑事裁判として審理される。
更新日時:
2016年7月3日




公判関係

第一審 名古屋地裁(山田耕司裁判長) 裁判員裁判
日付 摘要
2017 1/16 初公判 (冒頭陳述、罪状認否)殺人の起訴内容について「特に言うことはない」と述べ、劇物投与の殺意は否認した。弁護側は「犯行時、発達障害で善悪の判断能力がなかった」と無罪主張
 劇物投与について「死んでもいいと思わなかった」と伏し目がちだが、はっきりとした声で答えた。裁判長から起訴状の内容を問われると、一つ一つの事件についてしっかりと答えた。
1/19 第2回公判 (被告人質問) 検察側の質問に元学生は「高校生の時から『殺さずにはいられない』という強い気持ちが湧いたり無くなったりしていました」と述べた
1/20 第3回公判 放火未遂・殺人未遂事件の審理(冒頭陳述)
 検察側は、元少女が高校時代、焼死体について触れた本を読んで興味を持ち、「事前に準備をしてその通りに犯行をおこなった」と主張。弁護側は「通常の人の思考からは動機が理解できない」「元少女は当時、躁状態にあった。責任能力がない」と反論
  第4回公判  
1/30 第5回公判 (被告人質問) 21歳被告は、逮捕後の調べに「(帰省は)仙台で豪遊するため」と、うその説明をしたことを明かす 被告人質問要旨
2/2 第6回公判 (被告人質問、証拠調べ) 2012年の劇物混入事件の審理中、証拠物の硫酸タリウムを示された被告は「持っていれば、また使う気がする」と供述
2/3 第7回公判 (証人尋問) 劇物混入事件の被害者を診察した東北大病院の男性医師が出廷し、「2人とも生命に関わる危険性があった」と証言
2/6 第8回公判 (証人尋問) タリウム混入事件で鑑定人を務めた順天堂大医学部の千葉百子客員教授が出廷し、「体内に入ったタリウムの量はもっと多かった可能性がある」と証言
2/7 第9回公判 (被告人質問) 検察側は当時19歳だった被告が妹に送ったメールの内容を明らかにした
2/9 第10回公判 (証人尋問) 高校時代に劇物を投与されたとされる元同級生の男性(20)が出廷し、体の自由や将来の夢を奪われた苦悩を語る
2/14 第11回公判 (証拠調べ) 検察側は、元名大生が逮捕後の調べに「投与量と致死率は何度も計算した。2人が一定確率で死亡すると思い、投与したのは間違いない」と供述していたことを明かに
2/15 第12回公判 (証人尋問) 被告の妹の録画映像を流す 妹が「姉は普段から『人を殺したい』と話していた。事件を意外だとは思わない」と証言
2/16 第13回公判 (証人尋問) 被告の母親が証人出廷 森さん殺害事件の翌日、元学生から「『夢か現実か分からないが人を殺したかも』と聞いた」と証言
2/17 第14回公判 (証人尋問) 
2/20 第15回公判 (証拠調べ) 責任能力について審理。検察側は「完全に認められる」と主張し、弁護側は「なかった」と反論
2/22 第16回公判 (証人尋問) 精神鑑定を担当した医師2人の証人尋問
2/23 第17回公判  
2/27 第18回公判  
3/7 第19回公判  
3/10 第20回公判 (論告求刑、最終弁論) 検察側は「自己中心的で身勝手な動機で実行した。卑劣で強い非難に値する」と述べ、21歳被告に対して無期懲役を求刑
3/24 第21回公判 (判決) 名古屋地裁(山田耕司裁判長)は、21歳被告に対して求刑通り無期懲役の判決を言い渡し
2017年4月5日、21歳被告の弁護側は判決を不服として名古屋高裁に控訴

控訴審 名古屋高裁(高橋徹裁判長←村山浩昭裁判長)
日付 摘要
2017 8/24 初公判 (冒頭陳述) 弁護側は「元学生は各事件時に責任能力がなく心神喪失で無罪」と改めて主張し、1審判決を「障害を理解せず、公平、公正さを欠く誤った事実認定と責任能力に関する判断を重ねた」と批判
10/27 第2回公判 (被告人質問) 
2018 1/15 弁論公判 (弁論) 
3/23 判決公判 (判決) 名古屋高裁(高橋徹裁判長)は、「冷静に状況判断しており、障害の影響は限定的」として一審同様、全ての起訴事実について完全責任能力を認め、1審判決を支持し、22歳元学生側の控訴を棄却
2018年4月5日、22歳被告の弁護側は名古屋高裁判決を不服として、最高裁に上告

上告審 最高裁
更新日時:
2019年3月8日




被告の判決状況

仮称 主罪 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
女子学生 殺人 求刑無期懲役 無期懲役 名古屋地裁
2017/3/24
控訴棄却 名古屋高裁
2018/3/23
  最高裁
更新日時:
2019年3月8日



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