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性犯罪が起訴事実に含まれている殺人事件

殺人事件、裁判員裁判、性犯罪のコンテンツで扱っている事件の一覧

千葉流山女性殺害事件


事件概要

 1997年5月18日、流山市鰭ケ崎のマンションで24歳女性がキャッシュカードを奪われ、乱暴され、殺害される。

 同年6月、千葉県警は女性の祖母と姉夫婦を殺人容疑で逮捕。同年12月、千葉地検は、3人を証拠不十分で不起訴処分にした。

 2011年4月、千葉県警は、未解決重要事件の再捜査のため、数十人体制の専従捜査班を設置。DNA型鑑定の精度が向上したことから、流山市の事件で残された物証を再鑑定したところH受刑者とDNA型が一致。現場近くのATMで現金を引き出す不審な男とH受刑者の身体的特徴が一致した。

 千葉県警は、宮城刑務所から男の身柄を移送。男は当時24歳の女性殺害を認める供述。2012年1月18日、千葉県警は、強盗殺人容疑で、別の強盗致傷事件で服役中の当時17歳の32歳男を逮捕した。


 本件では当時誤認逮捕をしているため、逮捕会見で県警捜査1課長は「誤って逮捕された方々や関係者の皆さまに心よりおわび申し上げる」と陳謝した。県警は今後、当時の捜査の問題点について検証する方針。

 2012年2月8日、千葉地検は、当時17歳の32歳男を強盗殺人、強盗強姦、住居侵入罪で起訴した。
更新日時:
2012年2月11日




事件経過
日付 摘要
1997 05/18 流山市鰭ケ崎のマンションで24歳女性がキャッシュカードを奪われ、乱暴され、殺害される
午前、田島さんの口座から、同時間に複数回にわたり、預金のほぼ全額に当たる約20万円が引き出される。帽子とサングラス姿の長身の男が、現金自動預払機を操作する様子が写る
05/19 午前8時半頃、女性が自宅の居間で背中を刃物で刺され死亡しているのを、同居の祖母が発見
05/ 千葉県警は、流山署に捜査本部を設置
06/ 千葉県警は女性の祖母と姉夫婦を殺人容疑で逮捕
12/ 千葉地検は、3人を証拠不十分で不起訴処分
1999 08/27 柏市東のマンション8階の会社員宅に2人組がベランダから侵入、帰宅した会社員の妻の手足などを麻ひもで縛り、タオルで目隠しして現金48000円とキャッシュカード2枚を奪う
犯人の1人は、「俺は1人殺しているから、殺すことはなんとも思っていない」などと被害者を脅迫
09/09 柏市のマンションで起きた強盗傷害・放火事件で、柏署は、住所不定、無職の20歳男Hを強盗致傷、現住建造物等放火、殺人未遂などの容疑で、松戸市常盤平陣屋前、無職の21歳男Nを強盗致傷、窃盗などの容疑で逮捕
09/29 千葉地検松戸支部は20歳男を強盗殺人未遂などの罪で千葉地裁松戸支部に起訴
11/22 千葉地裁松戸支部で初公判
2000   被告Hは強盗殺人未遂などの罪で懲役15年が確定。服役
2011 04/ 千葉県警は、捜査1課内に長期未解決重要事件を専門に捜査する「強行特命捜査班」を設置
  「強行特命捜査班」を流山署捜査本部に投入
2012 01/ 流山市の事件で残された物証を再鑑定したところH受刑者とDNA型が一致
現場近くのATMで現金を引き出す不審な男と身体的特徴が一致(防犯カメラの映像)
01/ 宮城刑務所から男の身柄を移送。男は殺害を認める供述
01/18 千葉県警は、強盗殺人容疑で、別の強盗致傷事件で服役中の当時17歳の32歳男Hを逮捕
逮捕会見で県警捜査1課長は「誤って逮捕された方々や関係者の皆さまに心よりおわび申し上げる」と陳謝
  凶器とみられる包丁が当時17歳の32歳容疑者の供述通り現場近くで発見
02/08 千葉地検は、強盗殺人、強盗強姦、住居侵入罪で、当時17歳の32歳容疑者Hを起訴
1997年6月に殺人容疑で県警に誤認逮捕された3人を「嫌疑なし」として改めて不起訴
更新日時:
2012年2月11日




起訴状況

 本件(1997年5月18日)の事件後に刑法、少年法などが改正されました。基本的に事件時の法が適用されますが、改正後の法の方が軽くなっていれば、改正後の法の規定が適用されます。改正後の方が厳しく(重く)なっていますので、改正前である事件当時の関連法を挙げておきます。

 刑法第240条の強盗致傷は無期又は7年以上の懲役と、現行法の無期又は6年以上の懲役の方が軽いのですが、強盗殺人の死刑又は無期懲役の法定刑に変更ありませんので、以下の刑法第240条にも改正前の条文が入れてあります。

刑法 (1997年当時)

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は七年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(強盗強姦及び同致死)
第二百四十一条 強盗が女子を強姦したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上十五年以下とする。
2  懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。

(有期の懲役及び禁錮の加減の限度)
第十四条 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては二十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。

少年法 (1997年当時)

(死刑と無期刑の緩和)
第五十一条 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科し、無期刑をもつて処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する

(不定期刑)
第五十二条 少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する。
2 前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない。
3 刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。

刑法

(併合罪)
第四十五条  確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

(余罪の処理)
第五十条  併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。

該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合

性犯罪と殺人などの罪の場合
強盗強姦罪 刑法第241条 無期、7年以上の懲役
住居侵入罪 刑法第130条 3年以下の懲役、10万円以下の罰金


 参考までに、現行法では、以下のようになっています。

刑法 (2005年1月1日以降)

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。

(有期の懲役及び禁錮の加減の限度)
第十四条 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする
2 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。

少年法 (2001年4月1日以降)

(死刑と無期刑の緩和)
第五十一条 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。

更新日時:
2012年02月11日




公判関係

第一審 千葉地裁(斉藤啓昭裁判長) 裁判員裁判


事件番号:            |傍聴券交付情報:千葉地方裁判所
日付 摘要
2012 11/12 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 33歳被告は強盗強姦への関与は認め、殺害行為そのものへのかかわりは否認。弁護側は「被告は被害者の殺害や死に関与していない」として、供述調書の信用性についても争う
11/13 第2回公判 (被告人質問、証拠調べ) 弁護側、検察側双方が殺害行為を巡り、質問を繰り返す
11/15 第3回公判 (遺族の意見陳述) 誤認逮捕された姉が出廷
11/16 第4回公判 (論告求刑、最終弁論) 検察側は「結果は重大で取り返しがつかず、十分な反省はない」として、被告が当時少年だったことから少年法の上限にあたる懲役15年を求刑して結審
11/21 第5回公判 (判決) 千葉地裁は、「殺害していないと弁解するなど、自分の問題点に向き合う姿勢が不十分」として、求刑通り懲役15年を言い渡し
2012年11月27日、33歳被告は、判決を不服として、東京高裁に控訴

控訴審 東京高裁(村瀬均裁判長)

 2013年7月18日、強盗殺人などの罪に問われた元少年の34歳被告に対して、東京高裁(村瀬均裁判長)は、懲役15年とした一審千葉地裁判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。

上告審 最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)

 2014年2月13日、12日付けで、強盗殺人などの罪に問われた元少年の34歳被告に対して、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は、上告を棄却する決定をした。
更新日時:
2014年2月14日




被告の判決状況

仮称 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
強盗殺人などの罪 求刑懲役15年 懲役15年 千葉地裁
2012/11/21
控訴棄却 東京高裁
2013/7/18
上告棄却 最高裁第3小法廷
2014/2/12
更新日時:
2014年2月14日



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