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性犯罪での事件裁判について


裁判員裁判の対象となる性犯罪での罪

 裁判員法では、対象となる事件を以下のように定めています。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
(平成十六年五月二十八日法律第六十三号)

(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)


裁判所法
(昭和二十二年四月十六日法律第五十九号)

(一人制・合議制)
第二十六条  地方裁判所は、第二項に規定する場合を除いて、一人の裁判官でその事件を取り扱う。
2  左の事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。但し、法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定があるときは、その定に従う。
 死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪(刑法第二百三十六条 、第二百三十八条又は第二百三十九条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条ノ二第一項若しくは第二項又は第一条ノ三の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第二条又は第三条の罪を除く。)に係る事件

 第1号では、「死刑又は無期の懲役若しくは禁固に当たる罪」が、裁判員裁判の対象となっているのですが、性犯罪にも、それに該当する罪が存在します。

 以下に、どの罪が該当するのか、分かりやすく条文を抜き出しました。

刑法
(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条  第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
 第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

(強盗強姦及び同致死)
第二百四十一条  強盗が女子を強姦したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

 上から順に、強制わいせつ致死傷罪準強制わいせつ致死傷罪強姦致死傷罪準強姦致死傷罪集団強姦致死傷罪強盗強姦罪強盗強姦致死罪になります。

 危険運転致死罪や傷害致死罪などは、被害に遭われた方が亡くなられてみえても、法定刑に有期懲役刑の規定ですから、無期懲役刑はありえませんが、強制わいせつ致傷、強姦致傷、集団強姦致傷などは、法定刑に規定されてあるので、被害に遭われた方が死に至らなくても無期懲役刑がありえます。

 私は、刑法改正以降に、どう量刑が変わるのかを知るために、性犯罪・判例というページを作っていますが、その中に罪名ごとだけでなく、刑罰ごとに分類したページもあります。その中には、無期懲役刑の場合のページもありますが、実際の判決でも被害死者がいなくても、無期懲役刑が選択されている事例が多くあります。

 事例としては罪が一番重い強盗強姦罪での事例が多いのですが、中には、強姦致傷の場合もあります。被害者が死に至った場合には、法定刑の最高刑が死刑の殺人罪と観念的競合する場合が多く、量刑選択に死刑もありますので、全体に占める割合からすると、被害死者が出ていない場合の方が多くなっています。

 裁判員裁判対象事件は、基本的に被害者が死亡しているような重大事件が対象になりますが、性犯罪行為での致死傷罪は、法定刑で無期以上が規定されてありますので、致死罪だけでなく、致傷罪も含まれます。

 2009年5月21日に施行されましたので、これらの罪で、その日以降に起訴された事件が対象になります。
更新日時:
2009/06/25




犯罪被害者等参加制度の対象となる性犯罪での罪

 2008年12月1日に施行された改正刑事訴訟法の規定により、刑事裁判に犯罪被害者などが参加できるようになりました。

刑事訴訟法
(昭和二十三年七月十日法律第百三十一号)

第三百十六条の三十三  裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、決定で、当該被害者等又は当該被害者の法定代理人の被告事件の手続への参加を許すものとする。
一  故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
二  刑法第百七十六条 から第百七十八条 まで、第二百十一条、第二百二十条又は第二百二十四条から第二百二十七条までの罪
三  前号に掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(第一号に掲げる罪を除く。)
四  前三号に掲げる罪の未遂罪

 性犯罪行為での罪と罰のページで、刑法に規定されている罪も紹介していますので、そちらと上の条文を見比べてもらえば分かると思いますが、刑法に規定されている性犯罪では、「懲役刑以外にも罰金などの刑の規定もある罪」(住居侵入等の罪、わいせつ物頒布等の罪、公然わいせつ罪)以外の罪が、犯罪被害者等参加制度の対象の罪となります。
更新日時:
2009/06/26




親告罪の対象となっている性犯罪での罪

 性犯罪の中には、親告罪と規定され、告訴を必要とする罪もあります。

刑法
(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

(親告罪)
第百八十条  第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
 前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

第二百二十九条  第二百二十四条の罪、第二百二十五条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びに同条第三項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。

 分かりやすく、該当する条文を刑法から抜粋します。

刑法
(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

(強制わいせつ)
第百七十六条  十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(強姦)
第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

(準強制わいせつ及び準強姦)
第百七十八条  人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2  女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

(未遂罪)
第百七十九条  第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。


(営利目的等略取及び誘拐)
第二百二十五条  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(未遂罪)
第二百二十八条  第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十五条の二第一項、第二百二十六条から第二百二十六条の三まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。

 このように、これらの罪が、公訴を提議するには告訴が必要になります。

 刑事訴訟法には、以下のような規定もあります。

刑事訴訟法
(昭和二十三年七月十日法律第百三十一号)

第二百三十五条  親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。
 刑法第百七十六条 から第百七十八条 まで、第二百二十五条若しくは第二百二十七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につき行う告訴

 刑事訴訟法第235条第1号の規定により、性犯罪で親告罪に該当する罪は、半年間の告訴可能期限の適用除外になっています(適用除外になっているので、これまでは、なるべく早く出すようにとだけ書いて、期限については触れてきませんでした)。

 ですが、被害届と告訴状は、別物です。

 強制わいせつ罪や強姦罪は、いろいろな事情から、余程でないと証拠を残しづらい面があります(特に強制わいせつ罪)が、裁判では、相手の罪に刑事罰を科すのですから、それなりの証拠が必要になります(そういう姿勢でないと冤罪を生む可能性が高くなるからです)。

 いろいろな証拠から、本当に犯罪事実があったのかを合理的に説明つかなければ、裁判で無罪判決が下る可能性が高くなります(実際の裁判でも多々あります)ので、もし、被害に遭われた場合には、いくら精神的に参っていたとしても、証拠の保全をするべく病院や警察に行き事情を話すようにしてください(病院に行けば、病院から警察へ連絡してくれます)。

 告訴状は後回しにしても、被害届については、他の性犯罪の場合も含めて、速やかに出すように心掛けておいてください。
更新日時:
2009/06/29



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