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裁判員裁判の対象となる性犯罪での罪 |
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裁判員法では、対象となる事件を以下のように定めています。
第1号では、「死刑又は無期の懲役若しくは禁固に当たる罪」が、裁判員裁判の対象となっているのですが、性犯罪にも、それに該当する罪が存在します。 以下に、どの罪が該当するのか、分かりやすく条文を抜き出しました。
上から順に、強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪、強姦致死傷罪、準強姦致死傷罪、集団強姦致死傷罪、強盗強姦罪、強盗強姦致死罪になります。 危険運転致死罪や傷害致死罪などは、被害に遭われた方が亡くなられてみえても、法定刑に有期懲役刑の規定ですから、無期懲役刑はありえませんが、強制わいせつ致傷、強姦致傷、集団強姦致傷などは、法定刑に規定されてあるので、被害に遭われた方が死に至らなくても無期懲役刑がありえます。 私は、刑法改正以降に、どう量刑が変わるのかを知るために、性犯罪・判例というページを作っていますが、その中に罪名ごとだけでなく、刑罰ごとに分類したページもあります。その中には、無期懲役刑の場合のページもありますが、実際の判決でも被害死者がいなくても、無期懲役刑が選択されている事例が多くあります。 事例としては罪が一番重い強盗強姦罪での事例が多いのですが、中には、強姦致傷の場合もあります。被害者が死に至った場合には、法定刑の最高刑が死刑の殺人罪と観念的競合する場合が多く、量刑選択に死刑もありますので、全体に占める割合からすると、被害死者が出ていない場合の方が多くなっています。 裁判員裁判対象事件は、基本的に被害者が死亡しているような重大事件が対象になりますが、性犯罪行為での致死傷罪は、法定刑で無期以上が規定されてありますので、致死罪だけでなく、致傷罪も含まれます。 2009年5月21日に施行されましたので、これらの罪で、その日以降に起訴された事件が対象になります。 |
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犯罪被害者等参加制度の対象となる性犯罪での罪 |
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2008年12月1日に施行された改正刑事訴訟法の規定により、刑事裁判に犯罪被害者などが参加できるようになりました。
性犯罪行為での罪と罰のページで、刑法に規定されている罪も紹介していますので、そちらと上の条文を見比べてもらえば分かると思いますが、刑法に規定されている性犯罪では、「懲役刑以外にも罰金などの刑の規定もある罪」(住居侵入等の罪、わいせつ物頒布等の罪、公然わいせつ罪)以外の罪が、犯罪被害者等参加制度の対象の罪となります。 |
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親告罪の対象となっている性犯罪での罪 |
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性犯罪の中には、親告罪と規定され、告訴を必要とする罪もあります。
分かりやすく、該当する条文を刑法から抜粋します。
このように、これらの罪が、公訴を提議するには告訴が必要になります。 刑事訴訟法には、以下のような規定もあります。
刑事訴訟法第235条第1号の規定により、性犯罪で親告罪に該当する罪は、半年間の告訴可能期限の適用除外になっています(適用除外になっているので、これまでは、なるべく早く出すようにとだけ書いて、期限については触れてきませんでした)。 ですが、被害届と告訴状は、別物です。 強制わいせつ罪や強姦罪は、いろいろな事情から、余程でないと証拠を残しづらい面があります(特に強制わいせつ罪)が、裁判では、相手の罪に刑事罰を科すのですから、それなりの証拠が必要になります(そういう姿勢でないと冤罪を生む可能性が高くなるからです)。 いろいろな証拠から、本当に犯罪事実があったのかを合理的に説明つかなければ、裁判で無罪判決が下る可能性が高くなります(実際の裁判でも多々あります)ので、もし、被害に遭われた場合には、いくら精神的に参っていたとしても、証拠の保全をするべく病院や警察に行き事情を話すようにしてください(病院に行けば、病院から警察へ連絡してくれます)。 告訴状は後回しにしても、被害届については、他の性犯罪の場合も含めて、速やかに出すように心掛けておいてください。 |
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