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死刑判決の事件

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静岡女性2人殺害事件


事件概要

 2010年5月5日午前9時50分頃、静岡県御殿場市萩原の空き家の物置小屋に粘着テープを使い、青いビニールシートで包まれ た状態の遺体があるのを、片づけをしていた業者が見つけ110番通報。遺体の身元が同県伊豆の国市中の26歳女性、久松紘子さんと指紋から特定した。

 5月8日、静岡県警御殿場署捜査本部は、2月下旬から3月上旬にかけて、紘子さんの遺体を発見現場の民家の物置に遺棄したとして、前夫で、同県清水町久米田、リフォーム業の桑田一也容疑者(43歳)を死体遺棄容疑で逮捕。

 同29日、桑田容疑者が、2月23日頃、紘子さんと同居していた同県清水町久米田の自宅で紘子さんを殺害したとして、容疑者を殺人容疑で再逮捕。翌6月、静岡地検沼津支部は、容疑者(詐欺罪で起訴済み)を殺人、死体遺棄罪で静岡地裁沼津支部に追起訴した。

 日比野かおりさんの母親が久松紘子さんの事件を報道で知り、かおりさんの失跡にも桑田容疑者が関係しているのではないかと御殿場署に相談。その後の捜査により、容疑者がかおりさんを遺棄したことを自供。

 自供通り、沼津市東原の空き地に置かれたドラム缶の中に、ビニールシートに包まれ白骨化した遺体を静岡県警が発見。残っていた皮膚の指紋などから2005年頃に行方不明になった当時22歳の日比野かおりさんと判明した。

 8月13日、元交際相手のかおりさんを殺害したとして、桑田容疑者(44歳)を殺人容疑で再逮捕。捜査により、借金の返済を免れるための殺害と判明。静岡地検沼津支部は、容疑者を強盗殺人罪で追起訴した。

【衝撃事件の核心】男はなぜ、元交際相手の遺体入りドラム缶を放置したのか… - 産経新聞(2010年8月22日)
更新日時:
2011年2月8日




事件経過
日付 摘要
2005 10/〜
11/
男が沼津市西椎路の自宅アパート室内で日比野かおりさん(当時22歳)を絞殺
男はかおりさんの預金口座から数回にわたり現金計約2000万円を引き出す
12/ 日比野かおりさん(当時22歳)の家族がかおりさんと連絡が取れなくなる
2006   男が沼津市東原の空き地にかおりさんの遺体を入れたドラム缶を捨てる。その際、空き地への無断放置を管理人にとがめられると、ドラム缶を移動するでもなく「中身は堆肥を作る土だから置いといて」と言い、空き地の隅の日陰にドラム缶を置く
08/15 かおりさんの母親が捜索願を御殿場署に提出
2009 06/ 男は妻との離婚届を提出
10/ 男は久松紘子さんと再婚。婚姻届を提出
11/ 男が紘子さんと清水町内のアパートで同居開始
2010 02/03 紘子さんが静岡県東部児童相談所に夫(当時)の暴力について相談
02/23 午後以降、静岡県伊豆の国市中、紘子さん(当時26歳)が行方不明に
男が清水町久米田の自宅で紘子さんを殺害
03/03 男が清水町に久松紘子さんとの離婚届を提出
03/ 男は御殿場市萩原の住宅の倉庫に紘子さんの遺体を粘着テープを使い青いビニールシートに包んで遺棄
03/08 前妻と暮らしていた御殿場市萩原の自宅が競売に
03/26 紘子さんの母親が静岡県警大仁署に捜索願を提出
04/12 沼津署は、3月5日に振り込め詐欺で女性から約92万円を騙し取ったとして、詐欺容疑で同県清水町久米田、リフォーム業の桑田一也容疑者(43歳)を逮捕
04/25 前妻が御殿場市萩原の住宅を引き払い、空き家に
04/30 静岡地検沼津支部は、容疑者を詐欺罪で静岡地裁沼津支部に起訴
05/05 午前9時50分頃、静岡県御殿場市萩原の空き家の物置小屋に粘着テープを使い、青いビニールシートで包まれた状態の遺体があるのを、片づけをしていた業者が見つけ110番通報
静岡県警御殿場署は、遺体の身元が同県伊豆の国市中の26歳女性、久松紘子さんと指紋から特定
05/08 静岡県警御殿場署捜査本部は、2月下旬から3月上旬にかけて、紘子さんの遺体を発見現場の民家の物置に遺棄したとして、前夫で、同県清水町久米田、リフォーム業の桑田容疑者(43歳)を死体遺棄容疑で逮捕
日比野かおりさんの母親が久松紘子さんの事件を報道で知り、「この人は確かうちの娘と交際していた相手だ。もしかしたら」と、かおりさんの失跡にも桑田容疑者が関係しているのではないかと御殿場署に相談
05/29 静岡県警御殿場署捜査本部は、2月23日頃、紘子さんと同居していた同県清水町久米田の自宅で紘子さんを殺害したとして、桑田容疑者を殺人容疑で再逮捕
06/ 静岡地検沼津支部は、容疑者を殺人、死体遺棄罪で静岡地裁沼津支部に追起訴
08/12 夕方、静岡県警は、沼津市東原の空き地に放置されたドラム缶の中から、青いビニールシートにくるまれ一部白骨化した遺体を発見
残っていた皮膚の指紋などから2005年頃に行方不明になった当時22歳の日比野かおりさんと判明
08/13 静岡県警は、元交際相手のかおりさんを殺害したとして、桑田容疑者(44歳)を殺人容疑で再逮捕
静岡県警捜査1課は御殿場、沼津両署と合同捜査本部を設置
09/02 静岡地検沼津支部は、容疑者を強盗殺人罪で静岡地裁沼津支部に追起訴
2011 06/13 第一審 初公判
06/15 第一審 論告求刑公判 検察側は被告に対して死刑を求刑
06/21 第一審 判決公判 被告に対して求刑通り死刑を言い渡し
弁護側は判決を不服として即日控訴
2012 03/13 控訴審 初公判
07/10 控訴審 判決公判 一審判決を支持し、弁護側控訴を棄却
07/24 46歳被告が上告
2014 10/21 上告審 口頭弁論
12/02 上告審 判決公判 弁護側上告を棄却 
更新日時:
2014年12月3日




起訴状況

刑法

(強盗致死傷)
第二百四十条  強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(強盗)
第二百三十六条  暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(詐欺)
第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(死体損壊等)
第百九十条  死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

罪名 該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合
殺人罪 刑法第199条 死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役
詐欺罪 刑法第130条 10年以下の懲役
死体遺棄罪 刑法第261条 3年以下の懲役

※ 夫婦、恋人等、交際関係にあった仲での殺人事件・判例
※ 死刑がやむを得ない場合死刑執行方法
更新日時:
2011年2月8日




公判関係

第一審 静岡地裁沼津支部(片山隆夫裁判長) 裁判員裁判


事件番号:平成22年(わ)第275号等

 震災の影響で初公判延期(当初は3月14日初公判)
日付 摘要
2011 6/13 初公判 強盗殺人事件について審理(冒頭陳述、検察側の証拠調べ、被害者の母親への証人尋問)
 被告は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴事実をほぼ認める
 検察側は、冒頭陳述で「被告は不倫相手だった日比野さんの口座から無断で現金990万円を引き出し、返済を迫られると、『殺せば借金を返済せずに済む』などと考えた」と指摘
 弁護側は、冒頭陳述で「被告は『警察に行く』と言い出した日比野さんを止めなければ、家族に迷惑がかかると考えた」と主張
 日比野さんの母親が証人尋問で証人として出廷し、検察官からどのような刑罰を望むか問われると「死刑を望みます」と答える
6/14 第2回公判 強盗殺人事件について審理(弁護側の証拠調べ、被告人質問)
 被害者遺族に対してあてた「本当に申し訳ありません。許してください」とつづった被告による謝罪の手紙を朗読
殺人、死体遺棄事件について審理(冒頭陳述、被告人質問、被害者の母親への証人尋問)
 被告は、「妻さえいなければ自分は楽になると考えた」と動機を打ち明ける
 紘子さんの母親が証人尋問で証人として出廷し、「若い娘をこれ以上犠牲にしないためにも、社会に二度と出てこないよう極刑を望みます」などと訴える
 被告は「どんな裁判の処分(判決)でも従う」と反省を強調
6/15 第3回公判 (検察側:論告求刑、弁護側:最終弁論)
 検察側は「凶悪極まりない、重大悪質な事案」として死刑を求刑
 弁護側は「動機は身勝手ではなく、計画性もない」として無期懲役を求め、結審
6/21 第4回公判 (判決) 静岡地裁沼津支部は、「身勝手で酌量の余地はなく、生命軽視の態度は根深い。一般予防の見地からも極刑をもって臨むほかない」などとして、被告に対して求刑通り死刑を言い渡し
2011年6月21日、弁護側は判決を不服として即日控訴

控訴審 東京高裁(山崎学裁判長 ← 出田孝一裁判長)

事件番号:平成23年(う)第1272号
日付 摘要
2012 03/13 初公判 (冒頭陳述、証拠調べ) 検察側は「控訴を棄却するのが相当である」として改めて死刑を求め、弁護側は「一審の量刑は重すぎる」として死刑判決が不当だと訴える
04/24 第2回公判 (被告人質問)被告は、日比野さんの殺害について、「990万円の返済を免れるためではなかった」とし、一審で認めた強盗目的を否定
06/07 第3回公判 (最終弁論) 弁護側は最終弁論で「殺害したのは、990万円の返済を免れる目的ではない。殺人罪にとどまり、強盗殺人罪で処罰はできない」として死刑判決は破棄されるべきだと訴えた
07/10 第4回公判 (判決) 裁判長は「いずれも被害者とけんかをした際に激高し、疎ましくなって犯行に及んでおり、動機は身勝手かつ短絡的。大金の返済を免れるという利欲的な面もある」と指摘し、弁護側控訴を棄却
2012年7月24日、判決を不服として46歳被告が上告

上告審 最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)
日付 摘要
2014 10/21 (口頭弁論) 弁護側は「計画性がなく衝動的に手にかけた」などと死刑回避を主張。検察側は「金銭トラブルの末に殺害するなど冷酷かつ残虐」と上告棄却を求めて結審
12/03 (判決) 第3小法廷は「殺害が計画的でないことや、反省を示している点などを考慮しても、刑事責任は重大で死刑を認めざるを得ない」と判断し、被告の上告を棄却
更新日時:
2014年12月3日



被告の判決状況

氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
桑田一也 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 静岡地裁沼津支部
2011/6/21
控訴棄却 東京高裁
2012/7/10
上告棄却 最高裁第3小法廷
2014/12/2
更新日時:
2014年12月3日



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