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殺人事件での量刑について

死刑がやむを得ない場合 罪による量刑の違い 被害者と加害者の関係による刑の軽重
被害死者数が刑罰に及ぼす影響 複数の被害死者で量刑が無期刑以下の場合 殺人罪で被害死者が複数の場合の判決例

死刑がやむを得ない場合



 死刑適用基準の要件について、それぞれ重くなる場合を書いていきます。

要件
1 犯罪の性質

 強盗や詐欺など、金品を得る目的や、己の性欲を満たす目的など、私利私欲を満たすための殺人が重くなります。
2 殺人の計画性

 いつの時点で殺人を計画したかによります。実際に殺害した日にちより早ければ早いほど殺人計画性は強固なものになります。
3 犯罪の主導性

 単独犯であれば、当然主導性はありますが、複数犯の場合、主犯か、従犯かで刑罰は大きく変わります。ただし、複数犯でも、共謀共同正犯の場合は、罪に大差ありません。
4 犯行の動機及び動機への情状

 殺人に至った経緯に酌むべき事情があるか。特に酌むべき事情が無ければ、減軽要素が無くなります。
5 犯行態様、特に殺害方法の執拗性、残虐性

 殺害しているので、どういう殺害方法でも残虐になります。
6 結果の重大性、特に殺害された被害者数

 被害死者数が何名なのか。被害死者が多いほど重くなりますが、他の要件次第では、被害死者が1名であっても死刑はあり得ます。
7 遺族の被害感情

 殺害されたのですから、遺族の被害感情は峻烈になります。
8 社会的影響

 被害者と加害者の関係が血縁関係の無い他人同士か。被害に遭われた方が無縁であればあるほど、誰もが被害に遭う可能性を持っていますので、公共性も高く、社会的影響も非常に大きくなります。

 同じ家族、親戚と表現をする場合であっても、血族と姻族では違います。姻族の場合は、婚姻関係を解消(離婚)すれば、元の他人同士になる為、被害者が実父母や実子の場合よりも、夫妻や義父母、養父母の場合の方が罪が重くなる傾向があります。また、血族でも、3親等の伯父、叔母などは、日常生活において接点が少なく縁が薄くなるため罪は重くなります。
9 犯人の年齢

 死刑を適用できる18歳以上であるか。
10 殺人の前科

 被害死者が1人の場合でも、被告が過去に殺人を犯して通算すると2人以上の複数になる場合がありますが、この要件は、そういう場合を想定してあります。複数殺害の場合には、初犯でも、他の要件を満たせば、死刑の可能性が高くなります。

 結果が重大な場合には、殺人前科が無いことをもって死刑を回避する理由にはなりませんし、初犯でもそういう場合には、実際に死刑判決が出ています。
11 犯行後の情状

 犯行後、どういう行動をとったか。殺害後、遺体を損壊・遺棄したり、放火するなどして犯罪事実の隠ぺいや証拠隠滅工作をしてるようでは、犯行後の情状は悪くなります。
12 犯行後の反省

 犯行後、己の犯した罪と向き合い、口先だけでなく心から真摯に反省しているか。

 真摯に反省していれば、被害者遺族に謝罪の気持ちが届き、処罰感情が和らぐ場合があります。

 遺族の処罰感情の軽減と被告の心からの真摯な反省があれば、多少は減軽要素になるため、死刑と無期懲役のボーダーにいる場合は非常に重要な要素になります。

 これらの要件を満たせば、「死刑の選択しかあり得ない」とか、「死刑がやむを得ない」となるのですが・・・ これまでに、いろいろな判決例を見てきて感じたことがありますので、以下に書いておきます。

 強盗殺人や性犯罪目的など利欲的な殺人で、殺人計画性が強固で、無縁な相手を狙った公共性の高い犯罪の場合、被害死者が複数になっていると、犯罪性傾向が強く、誰もが被害に遭い殺される可能性が高いので、「死刑がやむを得ない」と判断されています。

 利欲的で、殺人計画性が強固で、公共性が高く、社会的影響が大きい場合には、誰もが被害に遭い殺される可能性が高くなるので、被害死者が1名でも他の要件次第では死刑もあり得ます。

 ちなみに、殺人前科がある場合は、殺人罪で服役したのにも関わらず、再度、殺人行為をしたということで、いくら矯正しても無駄ということで、被害死者が1人でも、余程の酌むべき事情が無い限り、死刑がやむを得ないと判断されます。

2005年6月7日から2010年1月25日までのデータ (No.001〜1000)でのグラフです。


2005年6月7日から2010年1月25日までのデータ (No.001〜1000)でのグラフです。

更新: 2010/03/18



死刑がやむを得ない場合 罪による量刑の違い 被害者と加害者の関係による刑の軽重
被害死者数が刑罰に及ぼす影響 複数の被害死者で量刑が無期刑以下の場合 殺人罪で被害死者が複数の場合の判決例

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