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死刑執行方法 |
ある死刑求刑事件において、弁護側は、死刑の違憲性を争点としたために、「刑の残虐性」を証明するため、他国(オーストリア)の法医学者を証人とするという行為をしました。同じ絞首刑という言葉を使っていても、いろいろな執行方法があり、死刑に絞首刑を採用している国によっても違います。 日本の絞首刑について裁判で争っているのに、他国の絞首刑の場合を例に挙げても意味ありません。 日本では公開されていませんので、ベールに包まれていますが、以前に刑場が公開された際に、スピード調整が可能なウインチの場所も推測でき、これまで言われてきていた、落下終点になる前にスピードを緩め、極端に首に負荷がかからないように執行されてきたのが裏付けされました。ここでは、いろいろな死刑執行方法について、簡単に書いておきます。 また、刑執行の仕方の違いが分かるように、ユーチューブの動画の中には、フィクションではなく、実際に刑が執行された動画もリンクしてあります。もしご覧になる際は、くれぐれも自己責任でお願いします。 |
刑執行時の流れ(日本の場合) |
日本の死刑は、絞首刑になっていますので、刑執行日には以下のような流れになると推測できます。
舎房から刑場までの距離、祈りや最後の食事の時間、心拍停止するまでの時間など、拘置所での刑場と舎房の配置、死刑囚が死刑を受け入れているかどうか、体格など個人差などによって、刑の執行に要する時間は変わると思いますが、このような手順を踏んでいくと、概ね、1時間前後で刑は終了すると考えられます。 人は死ぬと、通常の機能が停止するため、失禁、脱糞等、体内から出ることも予測されます。執行の言い渡しが当日にされますし、前もってオムツ等に履き替えることは考えづらいので、失禁等で刑場を汚す場合もあります。 遺体をアルコール洗浄し、死に装束に着替えさせること以外にも、刑場の清掃もあると思いますので、舎房に死刑囚を迎えに行ってから、納棺し刑場から搬出するまでには、概ね、1時間半前後はかかると思います。 一つの刑場で、複数の死刑囚を同日執行する場合は、踏み板を元のように閉じ、2人目の死刑囚に合わせて、足の位置が床上30cmくらいの所にくるように縄の位置を調整し直さなければいけません。 その作業は、刑場の清掃や遺体をアルコールで清拭している間に可能だと思いますが、縄の調整等が済んでからしか、2人目を刑場の中に入れることが出来ませんので、複数執行の場合は、ラップしている時間を考慮しても、少なくとも2時間半以上はかかると思います。 |
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絞首刑 |
日本の絞首刑の場合 大阪此花パチンコ店放火殺人事件の第一審公判で、弁護側証人としてオーストリアの法医学者が、絞首刑によって首が切断される可能性がある。と証言しましたが・・・ 言うまでもなく、人間は骨格をもっていますが、基本的に生身の身体です。相手が縄と言えども、首の一部に異常な力が加われば、縄が肉に食い込み、首自体を切断してしまうことはありますから、わざわざ証言するまでもなく、当たり前の事です。 ただし、あくまで異常な力が加わった場合のことですから、首に異常な力が加わらないような執行方法をしていれば首が切断してしまうようなことはありません。 落下前から死刑囚が暴れるなどして、自由落下だけでない、別の力が加わった際には、落下終点において想定以上の力になりますから、場合によっては、縄の一部が首に食い込み、損傷する事はありますが、あくまで死刑囚自身が自分で暴れ、結果的に余計な力を加え、自らに苦しむようにしてしまった場合においてです。 日本の場合は他国と違い、落下終点の手前から、徐々にスピードを緩め、終点に着いた時点で適度に2ヶ所の動脈を圧迫し意識を喪失させる方法を使っているのですが、その方法を可能にしたとしたら、ウインチの電子制御です。 このような執行方法を確実に可能とするとしたら、ロープの片方を単に固定したのでは不可能で、ウインチが無ければ難しいと考えましたので、刑場について・・・のページで東京拘置所の新刑場の状態を考察する際、まずウインチの格納場所を確認しました。 ロープに微妙な動きをさせるためにウインチを電子制御にするなんてことは、一昔前では考えられませんでしたが、何でも電子制御にしている今の時代なら訳も無く、簡単なことです。 ここで、ある作家が書いた小説の中での記述の一部を紹介します。
この小説では刑場のことなどがかなり詳しく書かれていましたので、(元)刑務官からの情報提供や情報収集をして、書かれたものだと思います。その文章の中に「小判の形をした鉄の板」とあります。 普通の絞縄は、イランやイラクのような形になり、「小判の形をした鉄の板」は使いません。が、「小判の形をした鉄の板」だからこそ、首との隙間もできにくく密着し、尚且つ、骨にガードされている椎骨動脈の圧迫も可能になります。 落下終点に辿り着く前にロープのスピードを緩めると、言うまでもなく、重力に沿って落下している死刑囚よりロープの方が遅くなりますので、その時点から縄と首の密着度が高まっていきます。で、終点に到達し、絞縄が確実に絞まり、「小判の形をした鉄の板」部分が後頚部の椎骨の中を通っている動脈を圧迫し、脳への血流を止め、意識を喪失させるわけです。 前頚部にある頸動脈は骨にガードされているわけではありませんので、ここまでしなくても血流は止まるのですが、頸動脈は脳以外の部分への血液供給です。脳への血液供給を担っている椎骨動脈の血流も一緒に止めないことには瞬時に意識喪失しませんが、椎骨動脈が骨にガードされている分、動脈を圧迫するにはそれなりの力を必要とします。 ただ単に絞首するのでは頸動脈は圧迫できても、椎骨動脈を圧迫できませんので、落下によって生まれる力を利用して椎骨動脈を圧迫しているわけです。その際、死刑囚の落下によって椎骨動脈を圧迫できる力量以上の力量が生み出されますので、落下終点の手前で速度を緩めても何ら問題ありませんし、必要以上に強い衝撃が加わるように落下させる必要もありません。 このようにして頸動脈、椎骨動脈の2ヶ所の動脈を圧迫し、脳への血流を止めることが出来れば、後は、意識が喪失(脳への血流が止まり、脳死)した状態で、呼吸停止、心臓停止に至っていきます。 日本の絞首刑は、即死させるために頸椎を強制骨折させる方法でもなく、窒息死するまで意識がある絞首方法でもなく、首に異常の負荷がかかり首が切断してしまう可能性がある絞首方法でもない、2ヶ所の動脈を適度に圧迫することで血流を止め、意識喪失させてから死に至らしめる日本独自の絞首刑の執行方法です。 よって、日本の今の絞首刑では、死刑囚が暴れるなどして余計な力を加えてしまった場合など、場合によっては、首に食い込むことはあっても、首が切断してしまうことは無いのです。(死刑に相当する罪を犯した死刑囚に対してここまでしてあげている国って・・・ 日本くらいじゃないのかな?) 他国の絞首刑の場合 過去に絞首刑を採用していたイギリスやアメリカなどの国では、体重に対して落下距離が長いとかで首が切断されてしまった事例があったため、絞首によって窒息させるのではなく、頸椎を骨折させて死に至らしめる方法に変わっていきました(アメリカでは絞首刑から電気椅子へと刑の執行方法自体が変わっていきました)。 体重が軽い人なら落下の高さが必要ですし、体重が重い人ならさほど高さが無くても自重で相当な力になります。頸椎を骨折させるためには、どの程度の力が必要なのか、過去に体重による落下距離が調査されました。体重と落下距離の関係を分かりやすくするためグラフにしてみました。
体重に対して必要な落下距離なら、首が切断されることはありませんが、体重が重いのに長い距離を落下させれば、当然の事ながら首に大きな負荷がかかりますから損傷を与えます。
イラクのフセイン元大統領が執行された際、絞縄の結び目が異常に大きく、尚且つ首の後ろでなく、横にもってきています。この方法が頸椎を強制骨折させる絞首刑の執行方法になります。
イランの場合は、一度に多人数執行されることがありますが、クレーンによる吊り上げならば、クレーン車とロープを用意すればいいだけなので何人でも可能です。 日本、イラク、イラン3ヶ国の執行方法を挙げたのですが、このように、同じ絞首刑なのに違っています。 ちなみに、絞首刑の場合は、車の荷台の上に乗せ、車を発進させることで宙吊りにする方法や、椅子などの上に立たせ、その椅子をはずし宙吊りにする方法もあります。これらは落下距離が短いため、首が切断されることはありませんが、距離が短い故に2ヶ所の動脈を圧迫することが出来ませんので、落下による意識喪失をすることも無く、窒息死するまで苦しむことになります。 麻薬犯罪で死刑に・・・ ただ・・・ イランについては、そんなに多くの死刑相当の罪を犯した死刑囚が居るのか疑問でしたので調べてみました。 Interview with death row inmate before being hanged(You Tube) このリンクは、執行される前のインタビューを録画した動画です。中に出ているペルシア語は分かりませんが、英語で吹き出しが付けてあります。日本では無期が法定最高刑ですので死刑には絶対にならないのですが、無期にもなりにくく殆どが有期懲役刑の麻薬・覚せい剤密輸犯罪です。 日本では基本的に複数被害死者がある(死刑適用基準の要件を満たした)場合の殺人行為に対して適用される死刑ですが、イラン(この動画)の死刑囚の犯罪行為には、殺人(murder)よりも 麻薬・覚せい剤(drug)の文字が多いことか。 アラブ諸国は、中国やシンガポール、マレーシアなどと同様に、麻薬や覚せい剤犯罪について、厳刑(死刑)で臨んでいる国が多いのですが、一定量を超えれば、実際に死刑になるのがこの動画によって分かった次第です。日本でも麻薬犯罪は多いので、イランでの死刑囚が多いのも頷けます。
確かに麻薬は濡れ手に粟で大儲けが出来るのかも知れませんが、ひとたび麻薬密輸に失敗すれば、確実に死刑になる国に命を懸けてまで運び屋などをする神経が私には分かりません。裁判という制度があったとしても、大量に物があれば言い訳は通用せず、罪を立証できてしまいゲームセット。後は、執行までにどれくらいの時間を要するかだけのことで、死刑に一直線なのにね。。。 |
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薬物注射 |
アメリカや中国の一部の省で採用されている薬物注射による死刑
麻酔薬で眠らせ、筋肉弛緩剤で呼吸を停止をさせ、塩化カリウムで急性高カリウム血症を引き起こし心停止に至らせる執行方法です。 眠らせてから死に至らしめるので苦しみが少ないとは言われていますが、あくまで3種類の薬物が順序通りに体内に入り、それぞれの場所で薬が効いた場合の話しです。 薬物注射の場合は、血管に大量の薬物を注入しますので、人によっては、元々血管が弱っていたため、薬物量に血管が耐えられず、血管自体が破裂してしまう場合があります。また、(麻薬や覚せい剤を常用していた人など)人によっては、麻酔薬が効かない人もいます。これらの場合には、当然の事ながら薬が効かないので、死に至るまで死刑囚は相当に苦しみます。 |
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電気椅子 |
アメリカの死刑執行で薬物注射が採用されるようになるまで、この方法が主となっていました。
電気椅子による死刑執行のシーンが出てくる映画「グリーンマイル」 死刑囚が収容されている刑務所を舞台とする小説を映画化。トム・ハンクス主演 The Green Mile 1 グリーンマイルについては全部見られることを勧めますが、全編を見ると約3時間程かかりますので参考までに。電気椅子による執行シーンは、The Green Mile 10〜11、The Green Mile 17 に2回あります。 |
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ギロチン |
日本でも過去に斬首刑がありましたが、人の手によるものなので失敗する場合も当然の事ながらでてきます。フランスでも同様なことが起こっていたため、死刑執行人が誰であろうと、確実に斬首できる装置として開発されたのがギロチンです。
フランスやドイツ、ベルギーなどで使われてきましたが、現在では、それらの国は死刑を廃止しています。 |
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その他の死刑 |
上記以外にも、銃殺刑、石打刑、斬首刑などがあります。また、アメリカでは過去に州によってはガス室での処刑も行われていました。 銃殺刑 ・sos (この動画には、コミュニティ ガイドラインに基づき、年齢制限が適用されています) ・execution Marshal Ion Antonescu 石打刑 ・Iran Infuriated By Film Of Woman's Stoning ガス室 ・The Gas Chamber ・wanttolive50s |
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