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死刑判決の事件

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福島会津美里夫婦強殺事件


事件概要

 2012年7月26日午前、福島県大沼郡会津美里町穂馬字家廻乙の自宅で、病院職員の55歳男性と56歳妻の夫婦が殺害され、キャッシュカードや現金、財布、ネックレスなどが奪われた。その際、家の中から悲鳴のような声が聞こえたため、同居の母親が草取りから家に戻り、嫁の56歳女性が1階で、息子の55歳男性が2階で倒れていたのを発見した。

 福島県警捜査1課は、現場の状況などから殺人事件として、会津若松署に捜査本部を設置した。現場近くで、逃げていく男の目撃情報があり、捜査本部は関連を捜査し、夜、捜査員が会津美里町内にいた45歳男に任意同行を求めた。

 翌27日、福島県警会津若松署捜査本部は、55歳男性宅で2人を殺害し、キャッシュカードなどを奪った疑いがあるとして、任意同行を求めた住所不定、無職の45歳男を強盗殺人容疑で逮捕。また、司法解剖の結果、死因は55歳男性が頸髄離断、56歳女性は失血死と判明した。

 8月17日、福島地検郡山支部は、2人を殺害し、キャッシュカードなどを奪ったとして、強盗殺人、住居侵入、銃刀法違反罪で住所不定、無職の45歳男を福島地裁郡山支部に起訴した。

※福島県大沼郡会津美里町穂馬家廻り乙周辺の地図 - Yahoo!ロコ
更新日時:
2013年1月28日




事件経過
日付 摘要
2012 07/26 午前5時20分頃、会津美里町穂馬字家廻乙、病院職員の55歳男性方に鍵の掛かっていない勝手口から侵入。所持していたナイフで55歳男性と56歳妻の首を刺して殺害し、キャッシュカードや現金、財布、ネックレスなどを奪う
家の中から悲鳴のような声が聞こえたため、同居の母親が草取りから家に戻り、嫁の56歳女性が1階で、息子の55歳男性が2階で倒れていたのを発見
福島県警捜査1課は、現場の状況などから殺人事件として、会津若松署に捜査本部を設置
現場近くで、逃げていく男の目撃情報があり、捜査本部は関連を捜査
夜、捜査員が会津美里町内にいた45歳男に任意同行を求める
07/27 福島県警会津若松署捜査本部は、55歳男性宅で2人を殺害し、キャッシュカードなどを奪った疑いがあるとして、強盗殺人容疑で住所不定、無職の45歳男を逮捕
司法解剖の結果、死因は55歳男性が頸髄離断、56歳女性は失血死と判明
08/17 福島地検郡山支部は、強盗殺人、住居侵入、銃刀法違反罪で住所不定、無職の45歳男を起訴
更新日時:
2013年1月28日




起訴状況

刑法

(強盗致死傷)
第二百四十条  強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(住居侵入等)
第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

銃砲刀剣類所持等取締法

第三十一条の三 第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。この場合において、当該けん銃等の数が二以上であるときは、一年以上十五年以下の懲役に処する。

罪名 該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合
住居侵入罪 刑法第130条 3年以下の懲役、10万円以下の罰金
銃刀法違反罪 法第31条の3 1年以上10年以下の懲役

※ 死刑がやむを得ない場合求刑死刑に対しての判決例死刑執行方法
更新日時:
2013年1月28日




公判関係

第一審 福島地裁郡山支部(有賀貞博裁判長) 裁判員裁判

事件番号:平成24年(わ)第127号|傍聴券交付情報:福島地方裁判所
日付 摘要
2013 03/04 初公判 (冒頭陳述、罪状認否、証人尋問) 被告は「最初は、殺意はなかった」と一部否認
検察側は、被告が事件の2ヶ月前、金銭トラブルから自分の当時の妻を、自宅のあった会津若松市の山中で千枚通しで刺す事件を起こしたと指摘。元妻は証人尋問で「頭を十数発殴られ、首を刺された。脳梗塞の後遺症が出たと後に診断された」と述べる
03/05 第2回公判 (証人尋問、被告人質問) 元妻は「被告人は弁護人から被害者への謝罪文を書くよう促されたと話していたことから反省しているとは思えない」と述べ、被害者遺族は、「極刑にならないと2人に顔向けができない」「極刑は家族みんなの願いです」などと涙を流して訴える
03/06 第3回公判 (被告人質問) 被告は争点の一つ、殺意発生の時期について「初めから殺すとは考えていなかった」「ロープは家人を縛るため。脅すためにナイフで切ったり工具でたたくことも考えた。当たり所が悪ければ死なせてしまうかもしれないとは思った」と述べる
03/07 第4回公判 (被告人質問、遺族の意見陳述) 被害者の長男は意見陳述で「(被告人が)これまでの供述を否認し、反省が見られない。死刑にしてほしい」と求める
03/08 第5回公判 (論告求刑、最終弁論、被告の最終意見陳述) 検察側は「残虐極まる犯行。極刑をもって臨む他なく、それが正義にかなう」として死刑を求刑
弁護側は、「思いつきとも言える犯行。罪を認め、法廷でも反省の姿勢を見せている。更生の可能性がある」などと訴え、被告は、「一生かけて罪をつぐない、(殺害した)2人のお墓に参りたい」などと述べる
03/08
〜14
裁判官・裁判員評議
03/14 第6回公判 (判決) 「動機はあまりにも身勝手で、酌むべき事情は見当たらない」、「更生の余地が全くないとは言えないことなどを考慮しても、刑事責任は極めて重大だ」などとして、福島地裁郡山支部(有賀貞博裁判長)は、求刑通り死刑判決を言い渡し
※2013年3月14日、弁護側は量刑を不服として即日控訴

控訴審 仙台高裁(飯渕進裁判長)
日付 摘要
2013 10/17   期日取り消し
11/28 初公判 (冒頭陳述) 弁護側は一審判決の破棄を、検察側は控訴棄却を求める
12/25 第2回公判 (証人尋問)
2014 02/13 第3回公判 (被告人質問)
03/18 第4回公判 (弁論) 弁護側は、被告が夫婦のために毎日お経を唱え、死刑になった場合は献体や臓器提供を希望していると述べ、「反省は相当に深まっている」と強調した。検察側は「利欲的で身勝手な犯行。真摯な反省は見られない」と改めて指摘し、控訴棄却を求め、結審
06/03 第5回公判 (判決) 仙台高裁は、死刑とした一審の裁判員裁判判決を支持し、弁護側控訴を棄却
※2014年6月13日、被告の弁護人は仙台高裁判決を不服として最高裁に上告

上告審 最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)
日付 摘要
2016 01/26 口頭弁論  弁護側は「計画性はほとんどなく、死刑にすべきではない」と主張。裁判員の女性は正常な判断ができない状態なのに、解任しなかったことも憲法違反と訴えた。検察側は上告棄却を求めた
03/08 判決  最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は、被告の上告を棄却
更新日時:
2016年3月10日




死刑判決を受けた被告の心境

◎被告/死が現実味帯びた/受容一転「生きたい」

 高橋被告は「死刑判決は覚悟していたが、宣告された瞬間、頭が真っ白になり、死が現実味を帯びた。遺族には申し訳ないが、生きたい気持ちは変わらない」と述べた。
 「死刑を受け入れて早く楽になりたい気持ちがあったが、弁護人に『逃げずに罪に向き合いなさい』と言われ、生きて償おうと考えを改めた」と語った。
 判決で被害者を刃物で十数回刺した残虐性が指摘されたことについては「ひどいことをした。そんなに刺した認識はなかった」と話した。遺族には「謝罪の言葉しか出てこない。極刑を望むのは当然だ」と語った。
 高橋被告は公判前の2月、河北新報宛に手紙を出した。「死刑判決が出たら受け入れる。小さいころ、人の命を奪った者は自分の命で償わなければならないと親に教わった」と記し、この時点では死刑判決を受容する考えを示していた。
 審理は裁判員裁判で行われ、高橋被告は「死刑判決は重すぎる」と即日控訴した。
獄中で死刑判決の心境語る (河北新報)

 本件の場合、仮に無期になったとしても、求刑死刑だから同じ無期刑でもマル特無期(死刑に近い無期刑)に分類され、基本的に仮釈放はされない獄死コースの無期懲役。求刑死刑で無期懲役の場合の運用の仕方を知らないだろうから、生きていれば、いつかシャバに出て、と今は考えているかもしれないが、実際に服役すると、仮釈放の審査が通らなく長期に渡って服役している無期囚がいるだろうからいずれ分かる。獄死コースの無期懲役は、仮釈放が無い絶対的終身刑と同じで、生きる希望が無くなり、精神に異常をきたし廃人になる可能性も出てくる。

 本件の場合は罪責が重いため、病死や寿命までは生きられるが、緩慢な死刑となる無期懲役と、いつ執行されるか分からないが、死に場所を与えてくれる死刑のどちらかにしかならない。

 精神的にも肉体的にもきついのは前者の無期懲役になるから、結果的に無期懲役の方が重くなるのだけど、「死刑判決は重すぎる」と控訴しているようでは、それを分かって言っているとは思えないのだが・・・
更新日時:
2013年3月19日




被告の判決状況

氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
高橋(横倉)明彦 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 福島地裁郡山支部
2013/3/14
控訴棄却 仙台高裁
2014/6/3
上告棄却 最高裁第3小法廷
2016/3/8
※氏名:事件当時は横倉
更新日時:
2016年3月10日



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