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10  救命救急医療体制について


 救命救急医療体制について、ある掲示板でやりとりをしました。

 掲示板の場合には、いろいろな投稿がありますので、間に別の会話が入り、やりとりが分かりにくいということがあります。

 読みやすく抜粋してみました(HNが まさ となっているのが、私まさかりです)。

医療のアクセス、コスト、クオリティーの将来について考えるスレ − モトケン場外乱闘編


159斜陽:2008/11/09(日) 23:41:33 ID:m4r3/S6A
 患者搬送に関してはやはり最終的には受け入れ先医師の決断であるため
電話で必要十分だしシンプルで結局一番スピードが速いと思う。
ネットワークシステムでは結局改善の名の下に余分な作業と負担が
増え続けるだけのような気がする。

 しかし電話だけで必要十分とするにはもちろん条件があって、
救急に携わる人員の確保およびベット数の確保です。
そしてそれらが整えば後は医師の心意気の問題でしかない。
私は何らかのネットワークシステムが本当にいるとすれば
救急病院・急性期病院から次の病院あるいは施設への
患者の流れにおいてではないかと思う。

 とにかく短期的にも長期的にも救急病院の空きベッドを確保する必要がある。
そして救急病院はベットが空いていても潰れずに経営が成り立たねばならない。

160まさ:2008/11/10(月) 02:10:22 ID:Ff5HPJ0Y
>>159 斜陽さん

 どうも、はじめまして。

 >私は何らかのネットワークシステムが本当にいるとすれば 救急病院・急性期病院から次の病院あるいは施設への患者の流れにおいてではないかと思う。

 私もそう思います。

 私が別のスレで岐阜県の例を挙げたのも、最終的に頼れる病院が前もって決めてあり「周産期と救命救急が重なった場合には、そこに搬送しろ」というシステムになっていたからです。

 医師の方であれば、岐阜県の特殊性をご存知だと思いますが、簡単に書くと、病院の勤務医、開業医、県の行政官などに、岐大出身者が多くいます。県、岐大を含めた2次3次救急病院、医師会で話し合えば、母校に頼るのは自然な流れだと思いますし、岐大も卒業生達に頼られたら断りようがないと思います。

 岐大病院も決して産科医、外科医などの人員に余裕があるわけではないと思いますが、みんな(県民は勿論のこと他病院の勤務医、開業医など)を助けるために「うちがやるしかない」と岐大病院が腹をくくったから成り立ったと思います。

 最初から受け入れ先が決まっていますので、産科医も救急隊員も探す必要がありませんし、搬送中でも電話連絡が可能です。到着するまでに可能な限り詳細な内容を伝えることも出来ます。

 岐大病院のER、ICU、CCU、NICUなど、空きベットをどのようにしているのか詳細なことは分かりませんが、岐阜県としてそういうシステムにしていますので、岐大病院、県、他の2次3次救急病院、開業医院でそれぞれの役割分担が出来ているように思います。

163名無し戦隊ヘタレンジャー:2008/11/10(月) 10:20:28 ID:.TJ6svi.
>>161 まささん
それで、岐大病院の実際の診療がどんな感じなのか、興味があります
患者さんの待ち時間とか先生方の労働状況とか、どうなんでしょうか

164名無し戦隊ヘタレンジャー:2008/11/10(月) 10:41:44 ID:.TJ6svi.
アンカーミス
>>163>>160宛です

165まさ:2008/11/10(月) 17:32:39 ID:Ff5HPJ0Y
>>163 名無し戦隊ヘタレンジャーさん

 どうも、はじめまして。

 なにぶん私自身が体験したことでもありませんし、視察に行ったわけでもありませんので詳細は分かりませんが・・・ 

 これまでに脳血管障害で搬送された患者(妊婦)を数多く救命しているという実績から、到着 → 検査(CT、MRIなど) → 診断 → 緊急オペ で到着してから緊急オペを開始するまでの時間を極力短時間にしていると思います。

 今のERは、そこで完結できるように、CT室、MRI室、オペ室3つなど救命救急に必要な物をERの処置室に連結させ、医師の動きに無駄な動きが出ないように動線を配慮して作りますから、もしかしたらERがそうなっているのかな?と感じます。

 周産期と救命救急が重なるような場合ですと、脳疾患、若しくは心臓疾患ですから、書くまでもないと思いますが、1分でも1秒でも早く処置をすることによって救命の可能性が高くなります。

 患者の容態(身体の内部の状態)は刻一刻と変化していきますから、古いデータは参考程度にしかなりません。自分の所に到着してから検査し直さなければ最新の状態は分かりませんので「とにかく一刻も早く連れてこい」で「とにかく岐大病院へ搬送せよ」になったと思います。

 どの状態を待ち時間とするのか分かりませんが、救急搬送中は救急隊員や主治医の産科医が救急車内で対処してますし、病院に到着してからは適切な処置をするための検査に入りますから、しいて言うなら救急依頼して救急車が到着するまでの時間が待ち時間になるのかな?

 医師の労働状況ですか・・・ 救命救急は365日24時間いつ発生するか分かりませんから、いつ何時そういうことになろうとも対応可能なようにしてあると思います。ERである以上戦場だと思います。

 ただ、岐阜県民にとっての岐大は格別のものがありますから、リーガルリスクも限りなくゼロに近いですし、頼られ、実績も上げているので、医師の士気は上がっていると思います。

 もし、興味がおありなら、貴方の地元自治体の行政官から岐阜県の方に「視察ができないものか?」と打診してもらい、もし可能となるなら行政官と一緒に視察されてみるのも良いのじゃないかな?と思います。医師は医師や受け入れ態勢などを、行政官は行政の役割などを、それぞれの立場で見れば、それぞれが何をすれば良いのかが見えてくると思いますね。

166名無し戦隊ヘタレンジャー:2008/11/10(月) 21:20:55 ID:j9Qq.aMc
>>165 まささん

初めまして、とても丁寧な解説をありがとうございました

このスレッドの主題に照らして、そういった救急のアクセスやクオリティを追求すると、
代償として軽症の患者さんの待ち時間が相当長くなったり(軽症は来ない?)
医師が過労でへとへとになってたりするんじゃないかと心配したのですが、
少なくとも患者・医者ともに不満を抱くような状況ではないようですね

行政官の方にお話が出来るほど偉くないので、身の周りで岐大病院を知っていそうな人を探してみます
もう一度,ありがとうございました

169まさ:2008/11/10(月) 22:46:15 ID:Ff5HPJ0Y
>>166 名無し戦隊ヘタレンジャーさん

 いいえ、どういたしまして。参考になるところでもあれば幸いです。

 そういう待ち時間ですか・・・ それでしたら、たぶん、ERと一般外来を分離していると思います。ですので、一般外来の方は、大学病院なら当たり前のように長いと思いますね^^;;

 万が一の場合の救命救急医療体制を構築するというのは、市民・県民が安心安全な暮らしを送るために必要不可欠なことですが、産科医、脳外科医、外科医などが不足している現状では、都道府県レベルの自治体で体制を構築しないと難しいと思います。

 行政は、公平公正が大原則ですから、一部に対してだと動きづらい(動けない)ですが、市民・県民の安心安全、生命を守るためなら大義名分がありますから、行政は動くと思いますし、医療側が行政を巻き込み、官民一体となって動いていく必要があると思います。

 医療側から「参考になるかもしれない自治体があるから、一緒に視察に行こう」と話しがあれば、行政も動きやすいから動くような気がしますし・・・ 私は仕事柄、行政相手に話すのは、なんとも思わないのですが・・・

176まさ:2008/11/11(火) 04:19:39 ID:Ff5HPJ0Y
>>166 名無し戦隊ヘタレンジャーさん

 私が、待ち時間の受け取り方を間違えたような気がしますので、>>169 に補足しておきます。

 基本的に3次のERには、患者が重症、重体、DOA、若しくは死の危険性がある症状が見受けられる場合に搬送していると思います。

 タクシー代わりの救急搬送はしません(私が住んでいる愛知県がそうですから隣県の岐阜県も同様だと思います)し、救急搬送が必要でも軽症ならば、いくら3次が近くにあっても、2次救急の病院に搬送していると思います。2次と3次の役割分担をきっちりつけないと、3次が3次でなくなってしまいますから、軽症の方が3次のERで待つということはないと思います。

 ERでも重篤な患者ばかりを相手にするので、相当ハードだと思いますが、その役割を担う代わりに医師・看護師などのERスタッフが過労で倒れないように、他病院に派遣していた医師を引き上げてでも人員強化をしてあると思います。

 肉体的な疲れは休息でなんとかなるのでまだ良いのですが、リーガルリスクなどで精神的ストレスを受け続けるのは、とてもじゃないけど精神的にも肉体的にも悪いです。

 本丸を固めておけば、他の2次3次の負担が軽減できますので、結果的に全部が成り立つように思えます(岐大病院はよくぞ腹をくくったと思います)。

 最後に、くれぐれも、御身体、ご自愛ください。

212斜陽:2008/11/11(火) 23:41:54 ID:m4r3/S6A
>>160 まささん

>最終的に頼れる病院が前もって決めてあり「周産期と救命救急が重なった場合には、そこに搬送しろ」というシステムになっていたからです。

>最初から受け入れ先が決まっていますので、産科医も救急隊員も探す必要がありませんし、搬送中でも電話連絡が可能です。到着するまでに可能な限り詳細な内容を伝えることも出来ます。

おっしゃる通りです。結局答えは逃げも隠れもせずど真ん中ストレートです。
で、問題は何がそれをじゃましているかですね。そこにいろいろな考えがあるので混乱しているのでしょうか?

231まさ:2008/11/12(水) 21:28:24 ID:Ff5HPJ0Y
>>212 斜陽さん

 どうも。

>で、問題は何がそれをじゃましているかですね。そこにいろいろな考えがあるので混乱しているのでしょうか?

 私は、日本の外科医療レベルは、世界でも最高レベルだと思っています。そういう医師達が本丸に集結し、尚且つ、地元自治体、地域住民や地域医療機関との相互信頼関係があれば、本丸になる病院も腹をくくれます。私は愛知県民ですが、隣県の岐阜がこうなったという情報を知った時に、「岐阜ならこうなるよな。」とすんなり納得しました。

 愛知県民ですから、愛知の状況の方が分かりやすいので、愛知の例を出しても良かったのですが、医師不足になっている状況であれば、規模的に人口約800万の愛知よりも約200万の岐阜の方が参考になるかな?と思い岐阜にしました(全国的にそれくらいの規模の自治体の方が多いので)。

 腹をくくれない事情には、いろいろな要素があると思いますが、腹をくくれない場合であれば、大きく分けて「腹をくくりたいと思っているし、外部から見ても腹をくくれそうに見えるのだけど、事情があり、腹をくくれない状態になっている」、「箱はあるが、諸般の事情が多すぎて腹をくくるどころか、3次ERすら機能不全目前でそれどころではない」の2つになると思います。

 前者が東京大阪など大都市がある自治体にある病院の場合、後者が大都市を持たない地方自治体にある病院の場合と、結果の状況が同じでも、地域によって事情が違うと思いますので、自治体ごとに個別に分析して考える必要があると思います。

 ちなみに、医療行為というのは、対患者で成り立ちますから、大学が他都道府県の大学(医大)でも研修後は地元に戻るIターンが多いと思います。よって医学生(医師)が研修後、どこで医業をするかによって、医師数に地域間格差が出てきます。

 東京のように、いくら大学医学部(医大)が多くあっても、東京出身の医学生の割合が多くなければ(研修後、実家に戻って家業を継ぐなどで東京以外に流出した分より、Iターンで戻ってくる医師数の方が少なければ)医師不足に陥ります。

 地方の自治体のように、1県に1大学医学部(医大)の場合には、草刈り場になりやすいので、医学部の学生の殆どが他府県出身者で占められる場合が多いのじゃないかな? と思います。研修後、残る比率が極端に少なくなり、慢性的な医師不足になります。

 岐阜と愛知には、岐大医学部、名大医学部、名市大医学部と国公立大の医学部が3つあるのですが、医学部の学生を地元出身者(愛知・岐阜)で占める割合が非常に高いです(その他に私立の医大が2つあります)。

 地元出身者が多ければ、当然の事ながら研究医、臨床医共に、地元に残る割合が多くなります。岐大・名大・名市大の医学部は元々男性の割合が多いので、仮に女性医師が増え、結婚出産で現場を離れても、地元男性医師の絶対数が多いので要所を固めれると思います(岐阜の本丸強化によって抜けた部分を愛知の医師で補完してると思います)。

 医師や病院は厚生労働省ですが、国公立大医学部は文部科学省、私立医大は私学助成金の関係で地元自治体(県)も、救急搬送は総務省消防庁と自治体(県・市)が関係しますから、自分の所が関係する問題点をあげ、相互にすりあわせることが必要です。ですので、医療側が行政を巻き込み、官民一体となって動く必要があると書いた次第です。

 私は基本的に政治家を信用していませんのでw 動かすのなら、県・市レベルの行政だと思います。国に対して何か必要になった場合には、各都道府県の担当者から国の担当者に対して(法的根拠で)理論武装した構想(計画)を提示し、口説き落としてもらえば良いと思います。

 (231と232に分けて投稿したのですが、読みやすくするために、ここでは一つにしておきます。)

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/3910/1225511462/

 以下に北海道、東京、神奈川、大阪、福岡と愛知、岐阜の簡単な状況が分かるように抜粋してみました。

都道府県 人口・面積 人口密度 3次ER 大学病院
北海道 5,569,252

83,456.38
km2
67人/km2 10
札幌医科大学附属病院
北海道大学医学部
旭川医科大学
東京都 12,898,939

2,187.58
km2
5,900人/km2 22
日本医科大学附属病院
日本医科大学多摩永山病院
駿河台日本大学病院
日本大学医学部附属板橋病院
東京医科大学病院
東京医科大学八王子医療センター
東京女子医科大学病院
東京女子医科大学東医療センター
昭和大学病院
東邦大学医療センター大森病院
杏林大学医学部付属病院
帝京大学医学部附属病院
東京医科歯科大学医学部附属病院
東京大学医学部
慶応義塾大学医学部
東京慈恵会医科大学
順天堂大学医学部
神奈川県 8,956,804

2,415.84
km2
3,710人/km2 12
日本医科大学武蔵小杉病院
昭和大学藤が丘病院
聖マリアンナ医科大学病院
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
北里大学病院
東海大学医学部付属病院
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター
愛知県 7,396,168

5,164.57
km2
1,430人/km2 12
愛知医科大学附属病院
藤田保健衛生大学病院
名古屋大学医学部
名古屋市立大学医学部
岐阜県 2,098,131

10,621.17
km2
198人/km2 6
岐阜大学医学部附属病院
大阪府 8,832,949

1,897.72
km2
4,650人/km2 10
関西医科大学附属滝井病院
近畿大学医学部附属病院
大阪大学医学部附属病院
大阪市立大学医学部
福岡県 5,060,711

4,976.59
km2
1,020人/km2 8
久留米大学病院
福岡大学病院
九州大学病院
大学名の太字は、国公立大学 背景が色なしセルは3次ERに非ず
救命救急センター
http://www.kenporen-hios.com/reference/list/life_saving_list.do;jsessionid=CBAF4B4112675016EDBD6F2F7E4CBC0B

 東京都は3次ERも大学も多いのですが、3次ERになっていない大学とか、3次ERを都内だけで2箇所持っている大学もあります。3次ERになっているのは、国立1校、私立8校になり、非3次ERが国立1校、私立3校になります。

 神奈川県の日本医科大学武蔵小杉病院と昭和大学藤が丘病院は、大学が東京にありますから、大学所在地に大学病院がないので、神奈川県所在の大学は、市立1校、私立3校になります。

 私立の医大の学生は、全国から集まりやすく、元々地元出身者の比率が低いのですが、東大・京大・阪大など全国的に有名な国公立大医学部も全国から学生が集まりますので、地元出身者が少なくなります。

 東京都、神奈川県、大阪府は、人口も多いので、その人数をこなすための医師数も多く必要なのですが、これらの事情で医師不足になりやすいということがあります。

 東京都の場合には、大学、区、市など、いろいろな願望や目標があるかもしれないですが、こういう状況では、医師が不足し、現場にいる医師が疲弊するのも当たり前ですから、個人的には、救急搬送の仕方もそうですが、3次ERの設置数も含めて配置も、根本的に考え直した方が良いように感じますね。
更新日時:
2008年11月12日

 今日、「東海地方 119番の裏側」という番組があったのですが、先だって紹介した岐阜県の3次ERの1つでである県立多治見病院のドキュメントをやっていました。

 こんなこと書いて、他都道府県の医師の方達に信じてもらえるかな? という内容になるのですが・・・

 ドクターカーがあるのですが、救急の場合は、医師が自分でドクターカーを運転し、覆面パトカーの様に赤色灯を点け、渋滞ならば、対向車線を逆走もありーのw で、急患の所へ向かうのです。

 道路交通法改正で、普通免許3年以上の医師なら 緊急搬送運転可能になったので、緊急搬送の訓練受ければ医師も運転できるようになったからなのですが・・・初期治療をするためですから、例えば大動脈解離用の薬など医師でないと使えない薬(いわゆる処方箋薬)も車に積み込んであります。

 このドクターカーは、日本で1台目の車ですので・・・ もし、医師の方で岐阜県に行かれることがあるようでしたら、なによりご自身の目で実際に確認されることが良いと思いますので、時間を作られて県立多治見病院に寄られてみるのも良いと思います。

 ただ、ドクターカーは24時間体制のために、医師が自宅までドクターカーで帰宅し、自宅の駐車場に入れて自宅で待機しているようですので、突然の訪問だと、実際の車を見ることができないかもしれません。もし、行かれる場合には、前もって確認された方が良いような感じがします。

 ちなみに、岐阜県にもドクターヘリはあるのですが、自分の県だけでなく、愛知県のドクターヘリと一緒に共同訓練している様子も流れましたが、どんな時にでも対応できるように日々備えているのだと思いますね。
更新日時:
2008年11月16日



11  東京都の救命救急医療体制について・・・


 私は、リーガルリスクやモンスターの出現で確かに医療現場が萎縮してるのは感じていたのですが、愛知県に住んでいますので、医師不足とか、医療崩壊というのにほとんど実感がありませんでした。

 10 救命救急医療体制について で、「東京都の場合には、大学、区、市など、いろいろな願望や目標があるかもしれないですが、こういう状況では、医師が不足し、現場にいる医師が疲弊するのも当たり前ですから、個人的には、救急搬送の仕方もそうですが、3次ERの設置数も含めて配置も、根本的に考え直した方が良いように感じますね。」と書いたのですが、それをもう少し分かりやすく書いておきます。

 国から見たら、同様な救命救急体制にしているのにも関わらず、先に例を出したように、愛知・岐阜では、やり方は微妙に違いますが、受け入れ拒否もなく、救命救急医療体制が成り立っているので、救命救急医療体制の 1次 2次ER 3次ER 高度ER という考え方は問題ないです。

 東京と愛知は、人口に対しての3次ERの数が、愛知(約740万に対して12=約62万人に1つ)、東京(約1300万に対して22=59万人に1つ)と 数字上では大差ないです。同様な体制で成り立っている自治体があるのに、東京では問題が起きましたから、運用の仕方のどこかに問題があることになります。

 今回のやりとりで、他都道府県の3次救命救急医療センターの配置状況を調べてみたのですが・・・ 10の表で分かるように 複数の医大が複数の3次ERを持っています。

 これでは、東京の3次ERは医師不足で綱渡り状態になってしまう・・・ と愕然としました。

 私立大学(医大)医学部は、基本的に実家が医師若しくは開業医でIターンが多く発生します。ましてや有名私立医大は、全国から集まりますので、大学(病院)に残る割合が少ないのに、同じ大学(医大)で2つも(他県を入れたら3つも)3次ERがある大学(医大)があります。

 医大の定数は、どこも似たり寄ったりで、だいたい100前後です。病院が1つなら残った人数をそこに配分できますが、2つあれば2分の1、3つあれば3分の1と、ただでさえ少ないのをさらに少なくしなければなりません。場合によっては、派遣医を大学病院以外にも派遣している場合がありますので、そうなると1病院あたりに配分できる医師数がもっと少なくなります。

 東京の場合には、東大、慶大以外にも、伝統がある有名私立医大が多くあります。大学病院以外にも医師を派遣している場合がありますから、どの病院をどの学閥(人脈)の医師で維持運営しているのかを調査する必要があると思います。

 3次ERがない大学(東大、慶大など)系なら、影響がないのですが、3次ERを持っている大学(医大)だと、その分も医師が分散していることになりますから、それらを含めて考慮しないと先に進めないように思います。


 東京の現状から、私案ですが参考までに・・・

 東京は、確かに人口が多いのですが、人口密度が高い反面、愛知県の半分以下の面積で広くありません。3次ERは人口100万人を目安に設置すれば機能しますから、1300万人の東京なら3次ERを13くらいまで減らすことが可能だと思います。

 まず大学病院系は、1大学(医大)1つの3次ERにすること。3次をはずした方は2次対応にとどめ負担を軽減し、本丸になる3次の方へ人材を戻しERスタッフの強化をする。

 救急搬送は、救急隊員が見て、軽症がはっきりしているのなら、いくら3次が近くにあっても、2次に搬送。重症、重体がはっきりしてるのなら、直接3次へ搬送。どちらか分からない場合は、2次に搬送し、2次の医師に判断してもらう。と救急隊員への周知徹底。

 医師が診て、3次が相当だと感じたら、即3次へ転送し、その必要がなければ、自分の所の2次ERで処置をする。

 3次ERは、同時に2つ以上のオペが可能なように、ERの処置室に検査用のCT、MRIは勿論のこと3つのオペ室を連結させ、同時に、ICU、CCU、NICU各4〜6床の病室を隣接させたものにする。

 3次ERは、365日24時間対応になるので、同じ病院であっても一般外来や病棟とは分離して考え、医師も看護師も24時間対応可能なようにシフトを組む。

 ERの病室の患者は、病棟の病室(ICU、CCU、NICUも含む)に空きがある場合に病棟の職員(看護師)が平日の日勤で出勤以降に移動させる。

 そして・・・

 3次ERの人的強化が済み、2次ERの適正配置も見通しが立ったら、2次ERと3次ERのネットワークをどうするかのブロック分けになりますが・・・ 東京の場合には、これが一番難しいのですよね。。。

 愛知や岐阜の救命救急医療体制が機能してるのも、3次ER−2次ER−開業医のラインが、愛知は名大を主とした学閥(人脈)、岐阜は岐大を主とした学閥(人脈)で繋がっているので、医療機関同士や医師同士の相互信頼関係が普通に出来上がっているという面があります。

 東京の場合は、東大、慶大という日本全体に影響力を持つ学閥(人脈)を初めとして、私立でも日大、日医大、東京医大、東京女子医大、順天堂大、慈恵会医大など・・・伝統がある有名私立医大が多い分、それらの大学の学閥(人脈)も存在します。

 ネットワークが同系列なら、すんなり機能すると思いますが、開業医、2次、3次の系列が違った場合に、どうなるのか・・・ なんせ、人の命が掛かっていますので、今のようにリーガルリスクが高いと、責任の所在云々とかになり、問題が起きやすいのですよね。

 これがクリアできないと、医療機関同士や医師同士の相互信頼関係が構築できませんから、3次ERも腹をくくれなくなります。

 私は、大野病院事件裁判での無罪判決確定によって、格段にリーガルリスクは下がったと思っていますし、管轄も警視庁ですから、余程のトンデモでない限り起訴はありえないと思います。

 本丸の3次ERの人的強化によって、余裕でERが機能するようになれば、医師の士気も上がり、本来持っている力(技量)を出せるようになるので、リーガルリスクを気にしなくなると思うのですが・・・

 リーガルリスクについては、そなえあれば憂いなし(ボーイスカウト流で言うならw そなえよつねに)にしておくのも良いと思います。

 司法試験制度が変わり、これから大量に弁護士が生まれますので、医大(単科大学)の場合には、民事訴訟用に法務担当セクションを大学に設け、1人か2人専属で採用し、自分の所で医事専門の弁護士を育てていくというのも1つの方法かもしれないと思います

 新人弁護士から育てていくことになりますので、育て上げるまでには、顧問弁護士などに教育担当をしてもらうことが必要かもしれませんが・・・ 弁護士が法務担当として常駐していれば、何も訴訟だけでなく、通常時のモンスターペイシェント対策にもなります。系列の病院も一緒にみることにすれば、採用しておくメリットも大きいように思います。

 東京の3次ERは、大学病院だけでなく、国公立設置病院もありますから、無理にブロック割をするのではなく、大学の学閥系で作った2次3次のネットワークと大学病院以外の国公立設置病院を本丸とした作った2次、3次のネットワークの両輪でいっても良いような気もしますね。
更新日時:
2008年11月14日

 ここに 書きました救急搬送の仕方について、追記しておきます。

 救急搬送は、救急隊員が見て、軽症がはっきりしているのなら、いくら3次が近くにあっても、2次に搬送。重症、重体がはっきりしてるのなら、直接3次へ搬送。どちらか分からない場合は、2次に搬送し、2次の医師に判断してもらう。と救急隊員への周知徹底。

 医師が診て、3次が相当だと感じたら、即3次へ転送し、その必要がなければ、自分の所の2次ERで処置をする。

 実は、この救急搬送の仕方は、愛知県のやり方です。私も昨年、実際に心臓疾患(既往症なし)で、後者のパターンで救急搬送されました^^;;

 2次ERに着いてすぐにCT検査をしたのですが、検査が済み、ICUに入ったと思ったら、大動脈解離の疑いがあるということで、すぐに3次ERに転送され、着いて即検査でした。しかも、近くに3次ERがあるのに、離れた3次ERに転送です。私の家に一番近い3次ERは脳外科では有名ですが、心臓外科はあまり聞いたことがありませんでしたので、たぶん優秀な心臓外科医がいる3次ERの方に転送されたと思います。

 驚くほど、救急隊員も2次ER、3次ERの心臓外科の医師達も手際が良かったです。

 おふくろが「もう戻ってこないかもしれない」と思ったくらい、顔色も変わり、意識も薄れていたのですが・・・ あまりに手際が良かったので、そんな状況下でも、しっかり記憶に残っています。
更新日時:
2008年11月16日



12  東京都での医師(究極の執刀医)不足について・・・


 今回の東京の件で、岐阜、愛知の場合と比較したりして、いろいろと検証しながら考えたのですが、やはり決定的なのは、究極のオペの執刀ができる医師が不足しているのだろうと感じたことです。

 いくら、受付事務がいようが、研修医がいようが、見習い医師がいようが、肝心の「生か死の瀬戸際」に臨める医師(執刀医)が居ないことには、対応不可能です。

 ですので、患者を受けるかどうかを判断するのは、執刀医の存在次第になります。

 ちなみに、救命救急の現場で「生か死の瀬戸際」に臨める医師(執刀医)には、大学を卒業し、研修を修了し、現場に入り、優秀な執刀医の元で何度もオペに立会い、徐々に修練し、本人がそれに耐えうる知識、技術、精神力を身につけたと自覚し、尚且つ執刀医(師匠)が客観的に大丈夫と認めて、はじめてなれるのです。

 外科医、脳神経外科医は、職人と同じで、多くの症例で、何度も何度も実戦のオペで修練していかないと、腕は上がりません。

 救命救急医療ですから、突然発生します。いきなり待ったなしの状態で、「生か死の瀬戸際」に臨める医師ですから、究極のオペの執刀ができる医師になります。

 私から見たら、究極の外科医であり、究極の脳外科医と思います。

 産科医、心臓外科医、脳神経外科医でそんな状況に対峙する執刀医だと、仮に18歳で入学、24歳で卒業、研修2年以上だから、2年としても26歳、それから徐々に修練し、簡単なオペから始めても、なにしろ、待ったなしの究極のオペになるから、どうだろう?早くても30歳代中盤から後半くらいの医師が対象になるかな?

 東京では、全国区型の大学(医大)病院の多くが3次ERになっていますが、大学の病院は、基本的に、教育、研究のための施設です。病院が多くあっても、それは医学生を実地研修させるために設置してあるのであって、臨床現場の最前線の3次ERを担うためのものではありません。

 そして、究極のオペの執刀医ができる医師というのは、いわゆる一人前です。

 私立医大の場合には、一人前になったらIターンをする場合が多いので、東京のような全国区型の私立医大の大学病院だと、本当に限られた人数で対応していると思いますし、東京の他の3次ERでも同様に不足していると思います。

 研修医も医師、研修を修了した見習い医師も医師、究極のオペの執刀ができる医師も医師で、医師免許を持っている医師という点で見たら同じですから・・・

 東京の場合は、医大も多くある。医療機関も多くある。医師も多くいる。

 確かにそうだが・・・

 究極のオペの執刀ができる医師(究極の執刀医)は不足している。

 ですので、第三者は、状況認識で錯覚を起こしやすいと感じましたね。
更新日時:
2008年11月16日



13  「医療従事者のモラル」発言について・・・


 大臣の「受け入れ拒否は医療従事者のモラルの欠如に起因する」というコメントが出たのですが・・・

 私は、このニュースを聞いた時に、「モラル」と「モラール」を間違えたかな?と感じました。

 「モラル」は倫理ですが、「モラール」は士気です。言葉の意味が全く違いますので、文章の意味合いが変わってしまいます。

 ちょうど、救命救急医療体制について、斜陽さんとのやりとりを掲示板でしていた時に、同じスレッドに投稿がありましたので、「この件ですが、私は、最初 モラルとモラールを間違えたのかな? って思いましたよ。」と投稿しました。

 モラルとモラールに何回かやりとりをしたのですが、斜陽さんへの最後のレスも入れましたので、それをもって掲示板への投稿を最後にしました。

 そしたら・・・ 最後のを入れた後に、また、「おっしゃりたいこと(そして私の話が伝わっていないこと)は理解しました。」と入りました。

 「私の話が伝わっていない」??

 俺に?

 /( .― .)\ はて?

 「仮にモラール(士気)と言ったのだとしても、本件での意味は大差なく、同じように批判に晒されたでしょうね。 」 と決め付けましたので、はたして、決め付けが出来るかどうかを、長文で説明しながら書いたつもりなのですがね。。。

 もうその掲示板に投稿するつもりはありませんし、掲示板は、間に別の投稿が入りますので、関係している投稿を抜粋して、こちらに書いておきます。

 以下が、関連した投稿です(HNが まさ となっているのが、私まさかりです)。

医療のアクセス、コスト、クオリティーの将来について考えるスレ − モトケン場外乱闘編


235fuka^2 ◆CT.h0ZR/xc:2008/11/13(木) 20:08:47 ID:cIXPgw.k
>>233
> 「発言が医療に携わるみなさまに誤解を与えたことをおわび申し上げ、発言を撤回する」

これ、一般的な「政治家の謝罪の文脈」として読むと、

「受け入れ拒否は医療従事者のモラルの欠如に起因する」という誤ったイメージを医療従事者について植え付ける発言について謝罪・撤回

ではなく、

「自分の発言の真意が伝わらず、医療従事者に対して誤解を招く表現だったこと」による謝罪・撤回

のように読めてしまうんですが、どうでしょう。

# いえ、早々に謝罪・撤回をさせたことの意義は大きいと思うのですが、この期に及んで姑息な言い逃れの余地を残そうとしているのが感じられてピキッと

236まさ:2008/11/13(木) 20:21:36 ID:Ff5HPJ0Y
>>235 fuka^2 ◆CT.h0ZR/xcさん

 どうも、お久しぶりです。

 この件ですが、私は、最初 モラルとモラールを間違えたのかな? って思いましたよ。

240fuka^2 ◆CT.h0ZR/xc:2008/11/13(木) 21:48:55 ID:cIXPgw.k
>>236
仮にモラール(士気)と言ったのだとしても、本件での意味は大差なく、同じように批判に晒されたでしょうね。

>>235自己レス
やはり後者の意味だったようで

-------------
「私の発言の趣旨は、あくまでも今回のような悲しい出来事を二度と起こしてはならない、そのためには厚生労働省と経済産業省挙げて、IT技術などを活用して情報システムを構築するので、医師の方々に専門的立場から全面的に協力していただきたいというものであります。私の発言が医療に携わる皆様に誤解を与えたことにお詫び申し上げ、発言を撤回いたします」

262まさ:2008/11/13(木) 23:54:20 ID:Ff5HPJ0Y
>>240 名前:fuka^2 ◆CT.h0ZR/xcさん

>仮にモラール(士気)と言ったのだとしても、本件での意味は大差なく、同じように批判に晒されたでしょうね。

 はたして そうでしょうか?

 「受け入れ拒否は医療従事者のモラルの欠如に起因する」であるなら、モラル(倫理)の欠如によって受け入れ拒否ですが、「受け入れ拒否は医療従事者のモラールの欠如に起因する」の場合には、モラール(士気)の欠如によって受け入れ拒否になります。

 モラルの欠如は簡単に言って個人的なことですから、個々人のモラル(倫理)が改善されないと無理ですが、モラール(士気)の場合には、何か原因があるからそうなります。

 国から見たら、同様な救命救急体制にしているのにも関わらず、先に例を出したように、愛知・岐阜では、やり方は微妙に違いますが、受け入れ拒否もなく、救命救急医療体制が成り立っているので、救命救急医療体制の 1次 2次ER 3次ER 高度ER という考え方は問題ないです。

 東京と愛知は、人口に対しての3次ERの数が、愛知(約740万に対して12=約62万人に1つ)、東京(約1300万に対して22=59万人に1つ)と 数字上では大差ないです。

 同様な体制で成り立っている自治体があるのに、東京では問題が起きましたから、運用の仕方のどこかに問題があることになります。救命救急医療体制の運用主体は、東京都になりますから、東京都の運用体制のどこかに原因(起因)があることになり、医療従事者が起因ではなくなります。

 自分達を批判していない相手に対して、批判をしたら失当になります。

 東京都の場合には、大学、区、市など、いろいろな願望や目標があるかもしれないですが、あれでは、医師が疲弊するのも当たり前ですから、個人的には、救急搬送の仕方もそうですが、3次ERの設置数も含めて配置も、根本的に考え直した方が良いように感じましたね。

 モラルとモラールは、ーだけの違いですが、意味も違いますし、使い方によっては、文章の中身(言っている内容)が大きく変わります。

 政治家なら、紛らわしい横文字は使うべきではないと思ったので、誤解を招く表現だったことによる謝罪・撤回で妥当だと思いますね。

263fuka^2 ◆CT.h0ZR/xc:2008/11/14(金) 05:54:09 ID:cIXPgw.k
>>262
えええええと、本気で、「モラール」と言った/言おうとした可能性があるとお考えなのでしょうか?

「士気の問題」と言ったとしても、結局それは「気合いが足りない」という趣旨だという受け取られ方をした可能性についての考察は?

まあ、見方はそれぞれということかもしれませんね。別の視点をご提示いただいたことには感謝申し上げます。

267まさ:2008/11/14(金) 08:14:32 ID:Ff5HPJ0Y
>>263 fuka^2 ◆CT.h0ZR/xcさん

>本気で、「モラール」と言った/言おうとした可能性があるとお考えなのでしょうか?

 言葉が横文字の場合発音も関係してきますから、言った側だけでなく、聞いた側も関係します。

 私は、斜陽さんとのやりとりで、東京の状況を調べてあったので、現状から可能性として考えました。簡単に言って、決め付けないで、可能性として考えられるかな? ですね。

>「士気の問題」と言ったとしても、結局それは「気合いが足りない」という趣旨だという受け取られ方をした可能性についての考察は?

 医師の場合、特に外科医や脳外科医の場合には、重体やDOAの患者を目の前にして「気合」だけでは対峙できません。冷静沈着に最善の方法を随時選択しながら対処していく姿勢が必要です。

 外科医や脳外科医としての「士気」を、どう言ったらいいのかなぁ・・・ 「患者を何としてでも助けるんだ!という秘めた意気込み」とでも言ったらいいのかな?

 これがなければ、とてもじゃないけど、重体、DOAの患者には対峙できないですから、医師(外科医、脳外科医)の方であれば、「士気の問題」なら、「気合いが足りない」という趣旨だという受け取る人は少ないと私は思います。

268fuka^2 ◆CT.h0ZR/xc:2008/11/14(金) 08:49:58 ID:cIXPgw.k
>>267
> 「患者を何としてでも助けるんだ!という秘めた意気込み」

がない、お前らたるんどるからこういうことになるんじゃ、と言われたに等しい発言でしょ。「モラール」と言ったんだとしたら。

287まさ:2008/11/16(日) 03:13:41 ID:Ff5HPJ0Y
>>268 fuka^2 ◆CT.h0ZR/xcさん

 >「患者を何としてでも助けるんだ!という秘めた意気込み」がない、お前らたるんどるからこういうことになるんじゃ、と言われたに等しい発言でしょ。「モラール」と言ったんだとしたら。

 あのね。。。 なんで、そうなるかなぁ・・・?

 言葉が違う以上 等しいにはなりません。

 一部分だけでとらえるのではなく、今までに書いてきた文章全体で考えてもらえないかな?

 >「モラール」と言ったんだとしたら

 ということは、可能性です。

 可能性があり、その可能性を否定できなければ、断定できない。

 私の書き方を見て、法曹関係者なら ピンとくると思ったのですがね。

 大原則「推定無罪」での思考パターンです。

 一応、再度まとめて書いておきます。

 ちなみに、私は >>236 で、「この件ですが、私は、最初 モラルとモラールを間違えたのかな? って思いましたよ。」と書きました。そして、貴方は、>>240 で「仮にモラール(士気)と言ったのだとしても、本件での意味は大差なく、同じように批判に晒されたでしょうね。」と書かれました。

 ですので、>>262で 東京の救命救急医療体制の場合には、「士気」を下げる要因が医療従事者(外科・脳外科医)が別にあり、そうなっている起因は東京都にあると書きましたし、「モラルとモラールは、ーだけの違いですが、意味も違いますし、使い方によっては、文章の中身(言っている内容)が大きく変わります。」、「政治家なら、紛らわしい横文字は使うべきではないと思ったので、誤解を招く表現だったことによる謝罪・撤回で妥当だと思いますね。」と書きました。

 政治家なら、紛らわしい横文字は使うべきではない=政治家なら誤解を受けるような横文字(言葉)を使うな! です。

 それに謝罪・撤回をしたので、妥当ということです。

 で、>>263 で貴方が、「えええええと、本気で、「モラール」と言った/言おうとした可能性があるとお考えなのでしょうか?」と書かれたので、 >>267で 「私は、斜陽さんとのやりとりで、東京の状況を調べてあったので、現状から可能性として考えました。簡単に言って、決め付けないで、可能性として考えられるかな? ですね。」と書いたわけです。

 相手が政治家で公共の利害の特例対象であっても、普段から物事を客観的に判断するべきであると思っています(政治家は信用していませんが、メディアも同様に信用していませんから、自分の持っている知識とすり合わせて吟味します)から、推定無罪の思考回路が身についてしまいました。

 「言った言葉(事実)」とそれを指している内容に関係する事実(受け入れ拒否が起きるとしたら、重体・DOAの場合に発生しやすいですから、指している医療従事者で大きく関係するのは、執刀医の産科医、脳外科医などになります。)で東京の現状と照らし合わせて判断しただけのことです。

 ちなみに、救命救急の現場で「生か死の瀬戸際」に臨める医師(執刀医)には、大学を卒業し、研修を修了し、現場に入り、優秀な執刀医の元で何度もオペに立会い、徐々に修練し、本人がそれに耐えうる知識、技術、精神力を身につけたと自覚し、尚且つ執刀医(師匠)が客観的に大丈夫と認めて、はじめてなれるのです。

 外科医、脳神経外科医は、職人と同じで、多くの症例で、何度も何度も実戦のオペで修練していかないと、腕は上がらないのですよ。

 心臓外科医、脳神経外科医でそんな状況に対峙する執刀医だと、仮に18歳で入学、24歳で卒業、研修2年以上だから、2年としても26歳、それから徐々に修練し、簡単なオペから始めても、なにしろ、待ったなしの究極のオペになるから、どうだろう?早くても30歳代中盤から後半くらいからじゃないかな?

 ですので、その立場になる医師数は、医師免許を持っている医師全体からみたらほんのわずかですし、拒否をして問題になったのは東京のことですから、その医師達(外科医、脳外科医)に対しての発言になります。

 救命救急医療現場の第一線に立っている医師達(外科医、脳外科医など)は頭脳明晰集団ですし、世の中には、私のように、大原則「推定無罪」での思考をする人間もいます。「モラール」と分かれば、文章の内容の受け取り方が変わります。当然の事ながら、反応は変わりますから、等しいにはなりません。

 thx-1138さんも >>274 で書かれているように、「モラル、モラール」は、非常に誤解されやすい言葉ですから、>>262 で書いたように 「政治家なら、紛らわしい横文字(言葉)は使うべきではない」 に尽きます。「モラール」ならば、東京都に対して体制見直しを迫るのに、大臣の言葉を利用すると私は思いますね。
(長文でしたので、投稿の際には3分割してありますが、ここでは読みやすく1つにしてあります。)

295fuka^2 ◆CT.h0ZR/xc:2008/11/16(日) 10:31:57 ID:cIXPgw.k
>>287
おっしゃりたいこと(そして私の話が伝わっていないこと)は理解しました。

 分割して投稿したのは、読みづらいので1つにしてありますし、一応 誤解が無いように、全部抜き出したのですが・・・

 「私の話が伝わっていない」って?

 /( .― .)\ はて?

>>240

 仮にモラール(士気)と言ったのだとしても、本件での意味は大差なく、同じように批判に晒されたでしょうね。

 「モラル」が「モラール」になっても意味に大差ないということでしょ?

 で、どっちでも、同様に批判に晒されたと言いたいのでしょ?

 相手は、短いセンテンスばかりだから、言いたいことと言えば、これくらいなんだけどな。

 だから、「モラル」と「モラール」では、文章自体の意味合いが変わるので、救命救急医療現場の第一線に立っている医師達(外科医、脳外科医など)は頭脳明晰集団で頭がいいから、文章の意味合いを考え、「モラール」ならば、東京都に対して体制見直しを迫るのに、大臣の言葉を利用すると私は思いますね。 と書きました。

 つまり、同じような批判にはならないでしょ。 と書いたのですがね。

 こと細かく、全部書かないと分からないのかな?

 「モラル」と「モラール」の違いが分からず、「医療現場の実情」も分からず、「執刀医の立場になれる医師」がどういう医師なのか分からず、脊髄反射する人は確かにいると思いますが、肝心要の当事者の反応が変わる可能性があります。

 ですので、同様になるとは言い切れないのですがね。

 一応 時系列で全部貼り付けたのだが・・・

 「私の話が伝わっていない」って・・・

 他に何を話した(書いた)の?

 さすがに、書いてない内容からは、俺でも推測できないのだけどな^^;;


 とにかく、政治家にクレームを入れたところで、それだけのこと。

 でも、東京都行政に対してなら、救命救急医療体制見直しを迫るための材料(武器)になる。

 どちらにメリットがあるかは歴然。

 頭脳明晰集団なら、メリットがある方を選択し、大臣の発言を利用すると思うけどね。
更新日時:
2008年11月16日

 気になったコメントがありましたので追記しておきます。

 投稿されていたHNは微妙に違いますが、たぶん同一のHNと判断しても差し支えないと思います。

fuak_fuka |2008年11月18日 22:06

(中略)

あと、どの事件報道でも思っていることですが、警察発表の「被疑者/被告人はこのように供述している」報道は、「ほんとうにそのように言葉どおり供述しており、かつ、自分が想像する(その報道からはそう読める)文脈で発言していたとしたら」という留保つきで受け止めるという意識を常にもつべきだなあ、と。

 私が伝えたかったのは、(事件報道に限らず)こういうことなんですよね。

 どんな場合でもそうですが、内容の受け取り方というのは、個々人によって変わります。

 正確に伝えようとすればするほど、噛み砕き分かりやすい文章にして伝える必要がありますから、長くなってしまいます(私のサイトの文章が長いのも、そのせいです^^;;)。

 政治家も人だから失言もあるし、マスメディアも恣意的な報道で煽りもあります。

 どっちもどっちなんだけど・・・

 何らかの可能性があり、その可能性から成り立つような謝罪内容であれば、辻褄が合い、結果その可能性の方が妥当ということになってしまいます。

 刑事事件で言うなら、無罪と同じことになってしまいます。

 医療問題でも、大麻問題でも、死刑問題でも感じたのですが、メディアの恣意的な報道によって、いろいろな情報が錯綜しているのですよね。

 その情報を受け取る側の人にも様々な人がいます。

 せめて、法曹関係者くらいには、いつも、冷静、公平、公正に判断していてもらいたいものだと思いますから、「法曹を名乗って投稿している以上、その書き込みはちょっとまずいのじゃない?可能性があるのじゃない?」という意味合いを含んで投稿をしました。

 12月1日からは、犯罪被害者参加制度が始まります。

 今までは、刑事被告人の弁護人としての立場しかありませんでしたが、12月1日以降の適用事件では、被害者側の代理人として検察側での立場で法廷に臨む場合も場合によっては出てきます。

 弁護人は依頼人の利益を守るのが使命です。民事訴訟では、原告被告双方につきますが、弁護士が刑事事件で検察側につくことはありませんでした。

 これからは、全く逆の立場を日常的にしなければならなくなるので、絶えず公平公正の考え(裁判官の考え)を見抜くことが必要になってくると思います。

 被害者側にしても被告にしても裁判で頼りになるのは、代理人である弁護人(弁護士)ですからね。良い法曹関係者(法律家)になってもらえたら嬉しいですね。


 ちょっと、横道にそれてしまいましたが、関連する場所に追記しておくのが一番良いと思い、ここに書いておきました。

 ネットを始めてからつくづく感じたのですが・・・ メディアの恣意的な報道の中には、事実とは違う部分もありますし、時には印象操作もありますから、くれぐれもご注意ください。

 産科医療を崩壊に導いたのは、他でもないメディアの暴走が事の発端なんですから、自分達で壊しておいて「今更何を言ってるの?」という感じです。
更新日時:
2008年11月21日



14  愛知県が特殊なのかな・・・?


 私は、愛知で医師不足を感じたことが無いと書きましたが、下のランキングを見ていただければ、何故そう感じるのかが伝わるのじゃないかな? と思います。


2008年度国公立大医学部合格ランキング
順位 高校名 所在地 卒業生 医学部 合格した主な国公立大医学部
1 東海 愛 知 388 82 名古屋:23、名古屋市立:14、岐阜:10
2 兵 庫 216 72 東京:19、京都:14、、大阪:15
3 ラ・サール 鹿児島 223 67 九州:10、鹿児島:9、熊本::6
4 東大寺学園 奈 良 225 53 京都:13、奈良県立:12、大阪:11
4 愛光 愛 媛 219 53 愛媛:10、岡山:6、広島:4
6 甲陽学園 兵 庫 206 51 京都:8、大阪:7、京都府立:7、
7 久留米大付設 福 岡 205 49 九州:16、熊本:7、 長崎・佐賀:各6
8 洛星 京 都 218 48 京都府立医大:21、滋賀:6、京都:5
9 旭丘 愛 知 311 46 名古屋:8、名古屋市立:8、三重:7
10 智弁和歌山 和歌山 296 45 和歌山県立医大:16、大阪:4
10 青雲 長 崎 239 45 長崎:17、 九州:6、佐賀:6
12 南山 愛 知 387 39 名古屋:10、名古屋市立:5、岐阜:4
13 四天王寺 大 阪 503 37 滋賀:5、大阪市立・奈良県立: 各4
14 桜蔭 東 京 237 36 東京医科歯科:11、千葉:6
15 広島学院 広 島 184 35 広島:13、山口:3
教育改革かわら版

 愛知県は、15位の中に3校入っています。

 愛知県の高校でランキングに入っているのを抜粋します。

順位 高校名 所在地 卒業生 医学部 合格した主な国公立大医学部
1 東海 愛 知 388 82 名古屋:23、名古屋市立:14、岐阜:10
9 旭丘 愛 知 311 46 名古屋:8、名古屋市立:8、三重:7
12 南山 愛 知 387 39 名古屋:10、名古屋市立:5、岐阜:4
合計 167 名古屋:41、名古屋市立:27、岐阜:14、三重:7

 3校合計で、名大、名市大、岐大の合格者が82人になります。東海と南山で三重大合格者、旭丘で岐大合格者が、3番目の大学合格者数よりも少ないというだけで存在しますので、実際には82人より多くなります。

 合計が167人になので約半数が愛知、岐阜の大学医学部になっていますし、医学部の定員は100人前後ですから、この3校だけで、3大学の定員(約300人)の約4分の1強を占めています。

 1位の東海高校は男子校ですから、将来は男性医師になります。旭丘高校は共学ですし、南山高校は、男子部女子部と分かれているのですが、卒業生の数からして両方を足した数ですので、旭丘高校と南山高校の数字の中には女性も含まれていると思います。

 15位内に入っていた高校を都府県別にし、グラフにしてみました。


 15位内での数値ですから、全体でどういう状態になるのか分かりませんが、これだけでも愛知県内の高校の医学部進学傾向が分かるかな?

 愛知の高校は、公立では旭丘高校、私立では東海高校がトップの高校ですが、南山高校以外にも、30人の滝高校など、10〜20人の医学部医学科合格者数を出す高校であれば数校(もしかすると10校超えるかもしれないくらい)存在します。

 しかも、これらの数字は、国公立大学の医学部医学科の合格者数であって、慶応大医学部や日医大、慈恵医大など私立医大医学部の合格者数は入っていません。ちなみに私立大学医学部合格者数は同じ20年度で、東海高校で83人、滝学園で39人いますが、2校だけで121人と1つの医大の定員(100人)を超えています。

 国公立、私立高校合わせて222校ありますし、それらの中には進学校が多く存在します。一桁の数字まで入れたら、国公私立関係なく大学医学部医学科合格者数となると、はたして何人になるのか・・・ 見当もつきません。

 地元の国公立大学の医学部医学科は、殆ど地元出身者で占めてしまいますし、他都道府県の医学部医学科にも多く受験しますので、相当数合格者がでます。

 例え県外の大学医学部医学科に合格し進学しても、元々愛知県民ですから、いずれIターンで戻ってきます。

 愛知県は、今にはじまったことではなく、ずっと以前からこういう状態が続いています。

 愛知県はこういう県ですし、これが普通だと思ってきましたから・・・

 医師不足については、本当に、ピンと来なかったのですよね。。。
更新日時:
2008年11月18日



15  対応可能な究極の執刀医が居なければ、3次ERは受け入れ不能状態に・・・


 次に公立高校からの医学部医学科合格者数のベスト15を紹介します。

2008年度公立高校の医学部合格者数ベスト15
順位 高校名 所在地 卒業生 医学部 合格した主な大学医学部
1 旭丘 愛 知 311 46 名古屋:8、名古屋市立:8、三重:7
2 札幌南 北海道 317 34 北海道:12、札幌医科:10
2 高松 香 川 317 34 香川:13、岡山:6、徳島:5
4 熊本 熊 本 400 31 熊本:19、九州:3
5 岐阜 岐 阜 357 28 岐阜:10、名古屋:4
6 仙台第二 宮 城 314 26 東北:8、山形:4、秋田・旭川医科:3
7 札幌北 北海道 359 25 北海道:9、札幌医科:6、旭川医科:5
7 浜松北 静 岡 408 25 浜松医科:10、山形:3、宮崎:2
7 岡山朝日 岡 山 314 25 岡山:13、香川:6、広島:2
7 徳島市立 徳 島 352 25 徳島:10、島根・愛媛:各3
11 前橋 群 馬 308 24 群馬:9、山形:4、東北:3
12 鶴丸 鹿児島 312 22 鹿児島:15、九州:3
13 新潟 新 潟 391 21 新潟:11、富山:3、東北:2
13 富山中部 富 山 276 21 富山:10、金沢:5
13 宮崎西 宮 崎 423 21 宮崎:11、鹿児島:4、熊本:3
教育改革かわら版

 愛知の旭丘高校がトップになり、岐阜の岐阜高校が5位に入っています。

 こちらも15位内に入っていた高校を都府県別にし、グラフにしてみました。


 道県別にすると、ランキングに2校入っている北海道がトップになりましたが・・・ 首都圏の都県の名前が見当たりません。

 都道府県別で人口で多い順に並べると、1位の東京から神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉の順になります。

都府県 東京都 神奈川県 大阪府 愛知県 埼玉県 千葉県
人口 12,898,939人 8,956,804人 8,832,949人 7,396,168人 7,137,434人 6,147,347人

 こちらは、首都圏で、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県が入っていますが・・・

 それらの自治体の名前は、2008年度国公立大医学部合格ランキングの14位に東京都の桜蔭高校が1校入っていましたが、神奈川県、埼玉県、千葉県の名前は、2008年度公立高校の医学部合格者数ベスト15を含めても、どこにもありません。

 これを見ていると・・・ なんか、いや〜な予感がしてきます。

 東京、大阪だけでなく、神奈川、千葉、埼玉の状況も・・・ いったい、どうなっているのだろう?

 東京の3次ERを機能するようにしようとすると、東京の私立医大の大学病院が隣県にも設置してありますから、どうしても、影響が出てしまいますし・・・

 なにより首都圏の大学医学部は、東大を初めとして、受験者は全国からですから、地元出身者がどうしても少なくなってしまうので、東京、神奈川、千葉、埼玉は、大差ないように思えるのですよね。

 愛知の救命救急医療体制は、しっかり構築されていますので、気にもしていなかったのですが・・・

 受け入れ拒否は、シグナルだ!

 現場の医師達が倒れても、Iターン(逃散)が増加しても、3次ERは機能不全になってしまう。いつ機能不全が起きてもおかしくない状況で、危機的状況じゃないのか?

 病院もあり、設備も整っていて、医師免許を持った医師も多くいるけど、3次ERに必要な究極のオペに対応出来る医師が不足していて対応できないから、受け入れ拒否という事態を引き起こしているのじゃないのか?

 3次ERの患者は、365日24時間、時間に関係なく発生する。

 日勤時間帯ならば、日勤の医師もいるから対応可能だけど・・・ 深夜、早朝、土日祝日は、日勤がいない分医師の絶対数が少なくなる。

 そういう場合に、重体、DOAの患者が発生し、患者が重なった場合には、いくら研修医が100人、修行中の医師が200人居た所で、肝心の究極のオペを執刀できる医師が1人いなければ対応できないから、急患の受け入れは出来ない。

 それだと、受け入れ拒否ではなく、受け入れ不能ってこと。

 究極のオペの執刀が出来る医師は限られているのだから、首都圏は3次ERの見直しを早急にした方が良い。
更新日時:
2008年11月18日



16  医師不足を招いた要因の一つ 共通一次試験の導入


 医師不足を招いた要因は、いろいろとあるのですが、医師不足という状況になった一番大きな原因は、大学入学試験においての共通一次試験(現在ではセンター試験)の導入だと感じています。

 私の大学受験の時が、現役時はそれまでの一期校、二期校での受験、一浪時が共通一次試験での受験と、ちょうど私が大学受験をする頃に始まりました。

 私も医学部志望だったので、その当時の状況を覚えているのですが・・・

 共通一次試験によって、本来医学部志望でない文系の受験生が、共通一次試験での結果が良かったので、2次試験に受験する大学を医学部に変更する例が多くありました。

 高校時の授業で理系と文系では、カリキュラムが全く違っていましたし、医学部にはある種の適性が必要ですので、「おいおい大丈夫か?」と感じたのですが、本人が決めたことですから、「ま、入ってから頑張るでしょ^^」と思いました。

 でも、危惧は的中しました。。。

 入学はしたけど、医学部の授業についていけず、途中で止める人間が続出しました。

 通常の授業は別にいいのです。理解力さえあれば問題ありません。授業レベルどうこうではなく、それ以前の医師としての適性の部分がネックになりました。

 医学部には解剖があります。解剖が出来なければ、外科的治療をこなせませんし、臨床現場での実習もあります。卒業し、国家試験に合格して医師になり、臨床現場に入ったら、もう対患者ですから、普通に患者の体内(臓器・出血)を診る場面はいくらでもあります。

 「血を見るのが怖い」とかでは、とてもじゃないですけど、やっていけません。

 医学部は、他学部のように、入学辞退を見越して多めに合格者を出すということはしません。もし定員より多く入ったら、それこそ授業等で大変なことになります。限られた定員なのに、途中で止める人が増えたら、医師国家試験を受験する段階で少なくなってしまいます。

 医学部に入る前に分かりそうなものだと思うのですが・・・ 共通一次試験導入によって、そういう人が増えてしまったのですよね。

 3次ERの要である心臓外科医や脳外科医は、人の命を左右するオペを普通に行いますので、知識、判断力、技能、適性が必要ですので、元々その診療科目を選択する人は少ないです。

 共通一次試験導入以降、女性医師が増加しましたが、いくら女性医師が増加しても、心臓外科医、脳外科医を選択する女性医師の割合は極端に少ないです。

 何故なら、心臓外科医、脳外科医として究極のオペを執刀できる医師、つまり一人前になるには、師匠の下で修練の連続です。早くて30代中盤に一人前ですから、結婚・出産によって一時現場から離れる可能性がある女性医師では、修練についていけないからです。

 それなのに、リーガルリスクが出てきましたので、本来なら脳外科、心臓外科を選択できる能力があるのに一般外科を、一般外科より内科をと、リーガルリスクが低い診療科目を選択する人も増えてきますし、実際にそういう状況が起きていると思います。

 モンスターが多い地域の場合、リーガルリスクも高いですから、いつ自分の身に降りかかってくるかわかりませんので、心臓外科医、脳外科医が減っても何の不思議もありません。

 東京の3次ERが危機的状況なのは、こういう背景も関係していると思いますね。。。
更新日時:
2008年11月19日



17  産科医、小児科医に医師不足を招いた要因の一つ


 共通一次試験の導入によって、文系から理系の医学部に進路変更をした人が増えたのですが、それによってなのか、共通一次試験導入以来、女性の割合が急激に増加しました。

 女性が医師を目指し、女性医師になることについては、女性でも男性でも人である以上同等であるべきだと思いますから、私は何も感じないのですが、ある困った状況を引き起こしてしまいました。

 医師になってから自分がする診療科目を、産科、婦人科、小児科とする人が多くなりました。

 妊婦の方が女性医師に診られることを望む傾向があるので、需要と供給のバランスでは成り立つのですが・・・

 女性医師には出来て、男性医師に出来ないことがあります。

 それが、出産です。

 当たり前のことですが、女性医師も男性医師同様に結婚をします。ですが、妊娠・出産は女性医師しか出来ませんし、しません。

 結婚しても医業は続けれますが、妊娠・出産することによって子育ても始まります。どうしても、産後の肥立ちや、子育ての見通しが立つまでは、一時医業から離れなくてはなりません。

 医学、医療は日進月歩の世界です。長い期間 医業から離れていると、自分の知識レベルが遅れた状態になってしまいます。産科には帝王切開など外科治療をする場合がありますので、腕の勘(メス捌き)も関係してきます。復帰する際には、再度、相当勉強しなおさないと現場には戻れません。

 結果的に、復帰しない場合が出てきます。

 産科医志望に女性が増えたことで、男性の産科医が減ってきたと思いますが、帝王切開など外科的治療を担っていたのは男性産科医でしたので、なんとかハイリスク出産への対応も可能でした。

 そこに、大野病院事件です。

 まともな産科医療行為をしていて、刑事被告人にされてしまいました。

 ここからが、産科医療の崩壊が始まりました。

 いくら裁判で無罪判決が出ても、一度でも、そういうことがあるとなかなか元のようには戻りません。

 産科医をやめて、他の診療科目に変えれば、産科医としての腕の勘(メス捌き)が鈍りますから、大野病院事件のような事が起きないという保障が無い以上、あえてリスクを背負って、勉強しなおして、元の診療科目に戻す必要がないからです。

 なにしろ医師は、人の身体を診るのが仕事です。人の身体を診る以上、中途半端な状態では出来ませんから、一旦離れるとなかなか元には戻りません。

 同じ医学、医療と第三者からは見えても、外科的治療を要する診療科目には、こういう事情がありますので、簡単に問題は片付きません。

 女性医師について触れたので、小児科について少し書いておきます。

 小児科は、少子化によって需要が減りました。例え開業しても、医院を維持していくだけの需要が発生しなければ医院の維持は不可能ですから、医院を維持しやすい診療科目への変更が発生しますし、小児科医療を支えていた男性医師も年齢には勝てません。寿命によって男性小児科医師数が、どんどん減少していきます。

 そして産科医同様、小児科医にも女性医師の割合も増えましたが・・・ 女性医師は、一定の割合で医業から離れていきますので、いくら小児科医の需要が減ってきているにしても、その需要を満たすだけの供給が出来るところまでにはなっていません。

 女性医師の志望傾向の偏りも、産科医、小児科医不足には関係していると思いますから、女性医師の増加を何とか食い止めるように考えることが必要だと思います。
更新日時:
2008年11月20日



18  将来のために、各都道府県教委が今すぐに取り掛からなければならないこと


 自分の都道府県にある医学部医学科の合格者を地元出身者の割合を増やすようにすること。

 国公立大の医学部医学科は難易度が高いですので、中学高校の教諭や教育委員会は、相当大変ですが、これをしないことには医師の地元定着率は増えません。

 一般的な経済活動では、東京、大阪など需要が多い地域の方が収入も増えますが、医療点数というのは、全国一律です。

 どこで医業をしようが、その病院、医院を維持していく上で、収支のバランスがとれ、赤字にならなければいいのです。

 紹介したように、愛知は愛知出身の医学生が多いです。医学部を出て、研修するのも愛知の病院でいいですし、一人前になっていくのも、それなりの症例がありますので愛知で出来ます。

 東京は地価が高いので開業は大変ですが、愛知は地価が東京ほど高くないので開業もさほど難しくありません。元々愛知に住んでいますので、地域住民とのコミュニケーションもとりやすいので、一人前になって独立開業するのもすんなり出来ます。

 ちなみに建物は、東京で作ろうが、愛知で作ろうが、多少の経費が違うだけで、物が同じならば大差ありません。

 収入がそれなりあるし、症例もあるから自分の医術を磨くことも出来るのに、わざわざリーガルリスクが高い東京や大阪に出て行く必要が全くありません。

 ですので、Iターンが発生する他都道府県出身者をあてにするのではなく、自分の所にある大学医学部(医大)を地元出身者の割合を6割くらいになるように、中学、高校では教育指導するようにしなければいけないと思います。

 今回、大学医学部(医大)の定員を増やしましたが、何もしないと、愛知の高校や合格者数上位の高校がその分を増やすだけになってしまいます。

 もうすでに待ったなしの状態なのだから、すぐに、各都道府県教育委員会は、地元出身者の合格者増加になるような教育指導に取り掛かる必要があると思いますね。
更新日時:
2008年11月20日



19  将来のために、文部科学省がしなければいけないこと


 国立大学は、今は、国立大学法人になっていますけど、補助金が関係する以上、文部科学省が関わっているはずですから書いておきます。

 共通一次試験(現在のセンター試験)によって、文系タイプであっても、理系の医学部受験が可能になったのですから、センター試験はそのままでも、まず理系型でないと受験できないように2次試験を変える必要があります。

 一番簡単なのは、当時の東大理Vの入試での選抜方式にすることかな?

 一次試験(センター試験)は足切りの判定だけに使い、合否の判断材料には使わない。

 そして2次試験の必須科目を、英語、数学(数Vまで)、理科(物理U、科学U、生物Uまでの中から2科目選択)、小論文、面接にすることかな?

 この科目であれば、まず理系の勉強をしてきた者しか受験できませんし、高校時に、それらの勉強をしてきてどれだけ習得したのかも分かりますし、理系タイプかの判断もしやすいと思います。

 そして、小論文や面接は、医師としての適性を見るのに良いですから、必ずそこで確認すること。

 ですので、2次試験で英語、数学、理科の筆記試験。

 3次試験で、小論文と面接。

 こうすれば、文系タイプの人が2次試験を受験する割合が減りますから、当然の事ながら途中で止めていく人も減少すると思います。入学時と卒業時の差が少なくなれば、その分でも医師不足を解消していきます。

 試験科目がどうであれ、受験したい人が受験しますし、結果的に医学部を志望したい人が集まるだけのことです。

 共通一次試験以前の医学部受験者は、明らかに男性が多かったので、試験科目や選抜方法を元のように戻せば以前のような男女比率に近づいていくと思います。

 医学部の定員だけ増やしても、根本解決にはなりません。

 女性医師の場合は、女性であるが故に、、結婚出産によって医業を離れる場合が発生してしまいます。女性医師も医師なのですから、将来まで途中で医業を離れない男性医師の割合を増加させる手立てを考える必要があります。

 男性医師が増加すれば、それだけ外科的治療が必要な診療科目への志望者も増えていきますので、将来には、3次ERの(究極のオペの執刀が出来る)医師になれる担い手が徐々に増えていきます。

 現在の3次ERの(究極のオペの執刀が出来る)医師不足は危機的状況だと思いますので、文部科学省から、医学部医学科を設置している大学(医大)に、国公私立を問わず、このように指導するべきだと思います。

 当時の文部省が共通一次試験を導入したのだし、その結果こういう事態になったのだから、文部科学省は「責任を持って医師になる医学生が、元のような男女比率になるように戻せ!」です。

 ゆとり教育でカリキュラムをミスったんだから、すぐには難しいだろうが、「センター試験は足切りに使っていいですから、どうかこのようにしてください。」と各大学に懇願しろ!

 医療界をこんな状態にしてしまったのだから・・・ 文部科学省は、それくらいして当たり前だ!

 自分の所の不手際のツケを、国民にまわすんじゃない!

 ・・・・ ということですね。

 文部科学省がすることと、各都道府県教委委員会がすべきこととは、どちらも将来のことですが、両方出来ないと、いつまでも医師不足は解消できないと思いますね。
更新日時:
2008年11月20日



20  厚生労働省が今すぐ見直さなければいけないこと


 365日24時間、3次ERを受け入れ可能にするには、究極の執刀医が存在すること以外に、もう1点重要なことがあります。

 それが、空きベッドです。

 以下に、分かりやすく表にしてみました。

パターン A B C D
究極の執刀医 不在 不在 存在 存在
空きベッド 無し 有り 無し 有り
状態 受け入れ不能 受け入れ不能 受け入れ不能 受け入れ可能

 空きベッドがあっても、究極の執刀医がいなければ、患者を受け入れることは出来ませんし、いくら究極の執刀医がいても空きベッドが無ければ、患者を受け入れることが出来ません。

 Dパターンのように、両方が揃っていて、初めて受け入れ可能になります。

 そして、両方揃っていたのに、受け入れなかった時は受け入れ拒否になります。

 メディア報道では、A・B・Cパターンの受け入れ不能状態でも受け入れ拒否という言葉を使いますから、事がややこしくなるのですよね。

 周産期と救命救急が重なった場合には、受け入れ患者は一人ですが、受け入れた後には、妊婦用(ICU、NCU、CCUの内のどれか1つ)のベッドと新生児用(NICU)のベッドの2つ必要になりますから、その2つの空きベッドがある必要があります。

 ですので、もし、365日24時間受け入れ可能な3次ERにするならば、3次ERに絶えず空きベッドがあるような体制を構築する必要がありますので、11 東京都の救命救急医療体制について・・・ の中で私案として以下のようなことを書きました。

 3次ERは、同時に2つ以上のオペが可能なように、ERの処置室に検査用のCT、MRIは勿論のこと3つのオペ室を連結させ、同時に、ICU、CCU、NICU各4〜6床の病室を隣接させたものにする。

 3次ERは、365日24時間対応になるので、同じ病院であっても一般外来や病棟とは分離して考え、医師も看護師も24時間対応可能なようにシフトを組む。

 ERの病室の患者は、病棟の病室(ICU、CCU、NICUも含む)に空きがある場合に病棟の職員(看護師)が平日の日勤で出勤以降に移動させる。

 3次ERを一般外来、一般病棟と分離して考え、絶えず空きベッドがあるように、採算度外視の状態にしなければ、365日24時間受け入れ可能状態にするのは難しいからです。

 確実に受け入れ可能にするには、3次ERに関わるベッド数については、大枠からはずして考える必要がありますし、ベッド数というのは、厚生労働省が(地区レベル規模の)各医師会単位で総ベッド数の上限を決めています。

 受け入れ不能状態を無くそうとするのであるなら、究極の執刀医が必ずその3次ERにいることと共に、確実にベッドが空いている必要がありますし、その受け入れ用ベッドについては空いていても医療機関の採算に影響が無いようにしなければなりません。

 国には、国民が安心・安全な生活を送れるように、万が一の場合に生命を救うための、救命救急医療体制を構築する責務がある。

 厚生労働省は、3次ERが設置してある医療機関の集中治療室(ICU、NCU、CCU、NICU)や一般病棟のベッド数について、確実に空きベッドが存在するように、今すぐに見直さなければならない。
更新日時:
2008年11月28日


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