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殺人事件について…

殺人事件、裁判員裁判、性犯罪のコンテンツで扱っている事件の一覧

振り込め詐欺団仲間割れ4人殺害事件


事件概要

 2004年(平成16年)10月、本件の被害者達である振り込め詐欺団メンバーの4人(31歳元会社員、22歳元建設作業員、25歳飲食店員、34歳元会社員)が、振り込め詐欺で得た金を強奪しようとしてるのを本件の加害者(被告)達が察知した。

 加害者(被告)達は、強奪しようとした4人の男性を東京都新宿区の事務所に監禁し、2人には熱湯を掛けたり覚醒剤を注射したりして死亡させ、衰弱した2人を粘着テープで窒息死させた。遺体の処理に困った加害者(被告)達は、暴力団幹部らに遺棄を依頼。10月20日、4人の遺体は、茨城県内の空き地に埋められた。

 2005年6月、徳島県警が詐欺容疑で逮捕した27歳容疑者Eが、行方不明になっている千葉県船橋市の男性ら4人について、「仲間と監禁、暴行して殺害し、遺体を別々の場所に運んで捨てた」などと供述。連絡を受けた千葉県警は殺人、死体遺棄事件の可能性が高いとみて捜査。

 6月8日、詐欺容疑で26歳容疑者Bを。翌9日、逮捕監禁容疑で31歳容疑者Aを逮捕した。6月18日、4人の遺体が発見された。

 一連の事件では、主犯格の4人を含め18人が逮捕、起訴された。
更新日時:
2007年10月3日




起訴状況

 本件は、2004年10月の犯行で改正刑法が成立していたのですが、2005年1月1日の法施行前になりますので、改正前の刑法の規定が適用されています。白字にしてある部分が現行法と違う部分になります。

刑法等の一部を改正する法律

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは三年以上の懲役に処する。

(傷害致死)
第二百五条  身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、二年以上の有期懲役に処する。

(同時傷害の特例)
第二百七条  二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

(死体損壊等)
第百九十条  死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。


第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上十五年以下とする。

第十四条 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては二十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。
 
罪名 該当法 法定刑 量刑例
殺人罪 刑法第199条 死刑、無期、3年以上の懲役 主たる罪が殺人罪の場合

傷害致死罪の場合
傷害致死罪 刑法第205条 2年以上の有期懲役
逮捕監禁致傷罪 刑法第220条 2年以上の有期懲役
死体遺棄罪 刑法第190条 3年以下の懲役

※ 求刑死刑に対しての判決例死刑がやむを得ない場合死刑執行方法
※ 無期懲役仮釈放者の平均在所年数

 ちなみに、改正刑法が施行された2005年1月1日以降は、以下のようになります。
刑法

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、
死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(傷害致死)
第二百五条  身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、
三年以上の有期懲役に処する。


第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、
一月以上二十年以下とする。

第十四条 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。
 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては
三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。

 死刑、無期の規定に変わりは無いのですが、併合罪による有期懲役刑の上限を20年から30年にするなど、有期懲役刑を最長懲役30年と重くすることで無期懲役刑の重罰化も図っています。

 本件では、有期懲役刑の被告に対して、一審判決が2006年までに出ているのですが、検察求刑が最高でも懲役20年になっているのは、本件が、改正刑法施行前の事件であるためです。

 ちなみに、一審では2人に覚醒剤を注射して死亡させた行為に対して殺人罪、衰弱してる2人に対して粘着テープで窒息死させた行為に対して傷害致死罪と判断しています。
更新日時:
2007年10月3日




求刑死刑の被告の裁判経過

日付 摘要
2006 11/13 被告A、被告D、他1被告の第一審論告求刑公判
検察側は、「犯行は執拗で残忍」「まれに見る凶悪、重大な犯行。被害者に対する暴行はこの世の地獄を思わせるもので、人間の所業ではない」として、被告A、被告Dに対して死刑を求刑
2007 01/11 被告A、被告D、他1被告の第一審最終弁論
弁護側は、殺人罪で起訴された1人ついて、「殺意はなかった」と傷害致死罪の適用を主張
02/26 被告C、被告Bの第一審論告求刑公判
検察側は、「まれに見る凶悪重大事件。反省の態度もなく矯正は不可能」として、被告C、被告Bに対して死刑を求刑
04/27 被告C、被告Bの第一審最終弁論
被告C、被告Bとも殺人と傷害致死の起訴事実を否認
05/21 伊藤玲雄被告(A)、阿多真也被告(D)、他1被告の第一審判決公判 判決文(PDF)
千葉地裁(彦坂孝孔裁判長)は、伊藤被告に求刑通り死刑を、阿多被告には無期懲役(求刑死刑)を言い渡し
08/07 渡辺純一被告(C)、清水大志被告(B)の第一審判決公判 判決文(PDF)
千葉地裁(彦坂孝孔裁判長)は、清水被告に求刑通り死刑を、渡辺被告には無期懲役(求刑死刑)を言い渡し
2008 03/13 伊藤玲雄被告(A)、阿多真也被告(D)他1被告の控訴審初公判
06/19 渡辺純一被告(C)、清水大志被告(B)の控訴審初公判
2009 03/19 殺人、傷害致死などの罪に問われた渡辺純一被告(C・32)の控訴審判決公判
東京高裁(長岡哲次裁判長)は、無期懲役とした一審判決を破棄し、死刑を言い渡し
渡辺純一被告(C)の弁護側は判決を不服として即日上告
05/12 殺人、傷害致死などの罪に問われた清水大志被告(B・29)の控訴審判決公判
東京高裁(長岡哲次裁判長)は、死刑とした一審判決を支持し、弁護側、検察側双方の控訴を棄却
裁判長は「人命を無視した冷酷かつ残忍な犯行で中心的役割を果たした。反省の念に乏しく、更生は困難」と述べる
  清水大志被告(B)の弁護側は判決を不服として上告
08/18 殺人や傷害致死などの罪に問われた阿多真也被告(D・31)の控訴審判決公判
東京高裁(長岡哲次裁判長)は、無期懲役とした一審判決を支持し、弁護側、検察側双方の控訴を棄却
裁判長は被告の自首が共犯者の摘発や被害者の遺体発見につながったとして「死刑がやむを得ないとまでは言い難い」と判断
  阿多真也被告(D)の弁護側は判決を不服として上告
08/28 殺人、傷害致死などの罪に問われた無職の伊藤玲雄被告(A・35)の控訴審判決公判
東京高裁(長岡哲次裁判長)は、死刑とした一審判決を支持し、弁護側、検察側双方の控訴を棄却
裁判長は「結果の重大性や被告の果たした役割の大きさを考えれば死刑を選択するほかなく、回避するべき事情もない。刑事責任は極めて重大」と指摘
伊藤玲雄被告(A)の弁護側は判決を不服として上告
2012 12/04 渡辺純一被告(C)、清水大志被告(B)の上告審(最高裁第3小法廷)口頭弁論 被告側は死刑回避、検察側は上告棄却を求めて結審。両被告の弁護人とも2件の殺人について「実行役へ殺害を指示したことはない」と共謀を否定
2013 01/28 伊藤玲雄被告(A)の上告審(最高裁第1小法廷)口頭弁論 弁護人は弁論で「主犯格の支配で正常な判断能力を欠いていた。従属的役割に過ぎず、死刑は重すぎる」と主張。検察側は上告棄却を求める
01/29 渡辺純一被告(C・36)の上告審(最高裁第3小法廷)判決
最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は、被告側の上告を棄却
裁判長は「4人の命が失われた結果は重大。被告は犯行の中核メンバーで、殺害の実行を指示するなど重要な役割を果たしており、死刑はやむを得ない」と述べる
清水大志被告(B・33)の上告審(最高裁第3小法廷)判決
最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は、被告側の上告を棄却
裁判長は「粘着テープで縛られ身動きが取れない被害者の鼻と口をふさいで殺害するなど、冷酷で非情。主導的かつ中心的立場で、殺人への関与を否認するなど反省の態度もうかがえない」と述べる
02/28 伊藤玲雄被告(A・38)の上告審(最高裁第1小法廷)判決
最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、被告側の上告を棄却
裁判長は「被告は犯行の中核部分を自ら進んで実行しており、死刑を認めざるを得ない」と述べる
更新日時:
2013年2月28日




起訴された被告達の第一審での判決状況

第一審:千葉地裁
仮称 犯行時 判決 求刑 罪名 日付 上訴
年齢 職業
C 27 無職 無期懲役 求刑死刑 殺人、傷害致死などの罪 2007/08/07 検察・弁護側 控訴
B 25 無職 死刑 求刑死刑 殺人、傷害致死などの罪 2007/08/07 検察・弁護側 控訴
E 24 パチンコ店員 無期懲役 求刑無期 殺人、傷害致死などの罪 2007/05/21 弁護側 控訴
D 26 会社役員 無期懲役 求刑死刑 殺人、傷害致死などの罪 2007/05/21 検察・弁護側 控訴
A 29 会社役員 死刑 求刑死刑 殺人、傷害致死などの罪 2007/05/21 弁護側 控訴
F 24 無職 懲役15年 求刑懲役17年 傷害致死、逮捕監禁致傷などの罪 2006/11/07
G 25 無職 懲役17年 求刑懲役20年 傷害致死、逮捕監禁致傷などの罪 2006/11/07
J 26 無職 懲役12年 求刑懲役14年 傷害致死、監禁などの罪 2006/07/04
H 24 無職 懲役14年 求刑懲役16年 傷害致死、監禁などの罪 2006/07/04
I 25 無職 懲役14年 求刑懲役16年 傷害致死、監禁などの罪 2006/07/04
L 54 暴力団幹部 懲役2年
追徴金5000万円
求刑懲役3年
追徴金5000万円
死体遺棄罪 2006/01/16
K 22 自動車販売業 懲役2年4月 求刑懲役4年 監禁罪 2005/11/22
N 30 飲食業 懲役3年(5) 求刑懲役4年 監禁罪 2005/11/22
M 22 無職 懲役1年2月 求刑懲役2年 死体遺棄罪 2005/11/01

更新日時:
2007年10月3日



被告達の控訴審での判決状況

控訴審:東京高裁
仮称 犯行時 判決 一審 罪名 日付 上訴
年齢 職業
A 29 会社役員 控訴棄却 死刑   殺人、傷害致死などの罪 2009/08/28 弁護側 上告
D 26 会社役員 控訴棄却 無期懲役   殺人、傷害致死などの罪 2009/08/18 弁護側 上告
E 24 パチンコ店員 控訴棄却 無期懲役   殺人、傷害致死などの罪 2009/07/03 弁護側 上告
B 25 無職 控訴棄却 死刑   殺人、傷害致死などの罪 2009/05/12 弁護側 上告
C 27 無職 一審破棄 死刑 一審無期懲役
求刑死刑
殺人、傷害致死などの罪 2009/03/19 弁護側 上告

更新日時:
2009年8月28日



被告達の上告審での判決状況

仮称 犯行時 判決時 判決(決定) 罪名 裁判所 日付
年齢 職業 年齢
A 29 会社役員 38 上告棄却 死刑 殺人、傷害致死などの罪 最高裁第1小法廷 2013/02/28
B 25 無職 33 上告棄却 死刑 殺人、傷害致死などの罪 最高裁第3小法廷 2013/01/29
C 27 無職 36 上告棄却 死刑 殺人、傷害致死などの罪 最高裁第3小法廷 2013/01/29
E 24 パチンコ店員 32 上告棄却 無期懲役 殺人、傷害致死などの罪 最高裁第1小法廷 2012/07/19

更新日時:
2013年2月28日



控訴審までに死刑判決が下りた被告達の判決状況

仮称 氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
A 伊藤玲雄 殺人などの罪 求刑死刑 死刑 千葉地裁
2007/05/21
控訴棄却 東京高裁
2009/08/28
上告棄却 最高裁第1小法廷
2013/02/28
B 清水大志 殺人などの罪 求刑死刑 死刑 千葉地裁
2007/08/07
控訴棄却 東京高裁
2009/05/12
上告棄却 最高裁第3小法廷
2013/01/29
C 渡辺純一 殺人などの罪 求刑死刑 無期懲役 千葉地裁
2007/08/07
一審破棄 死刑 東京高裁
2009/03/19
上告棄却 最高裁第3小法廷
2013/01/29

更新日時:
2013年2月28日


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