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更新日時: | 2008年08月06日 |
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死刑と無期懲役の間を埋める刑として終身刑の導入を検討する勉強会が、国会内の超党派の議員で始まりました。 現行の無期懲役の特徴や終身刑の際の問題点などを簡単に書いてみました。 |
終身刑について書く場合には、読まれた方が、現行の無期懲役刑や収容先の刑事施設のことなど最低限のことを知っていないと書いてあることが分からなくなりますので、それらについてのことも併せて書いておきます。 現行の無期懲役刑について 例外的に少年時の刑事事件で無期懲役になった場合のみ、仮釈放後10年間に仮釈放取消処分にならなければ満期になりますが、基本的に無期懲役の無期は、満期が無いから無期で、例え仮釈放されても、あくまで仮釈放中の身で、仮釈放取消しになれば、また刑務所に戻って懲役刑の続きをすることになります。 刑法や少年法には、無期懲役での仮釈放で、10年とか7年という数字が出ていますが、条文の最後が「できる」となっています。その時点でその後の仮釈放できる権利が発生するというだけのことです。 無期懲役刑仮釈放者の平均在所年数のページに、統計がある1977年からの状況を紹介しておきましたが、現実は、年々延びていて2006年時点で平均在所期間が25年以上です。 ですが、この数字は、刑が確定した時に適用された刑法の無期懲役刑での仮出所までの在所期間です。 今は刑法が改正され、有期懲役の最長が30年になっていますので、刑法改正後に犯した罪で無期懲役刑になった人は、有期より重い刑が無期ですから、その30年より長くなるだろうことが容易に予測がつきます。 ですので、現時点で実際に仮出所した方々の在所年数が25年以上でも、刑法改正後の無期懲役刑になった人達の仮出所までの在所期間は、30年以上と考えた方が妥当だと思います。 犯行時20歳、すぐに逮捕で、(ここ最近は裁判も早くなってきていますので)仮に第一審から上告審まで5年と仮定しても、20+5+30=55 で、20歳時の犯行でも55歳時にしか仮釈放になりません。30代、40代で裁判が長期化した場合には、仮釈放時の年齢が高くなり寿命までの年数(仮出所してから寿命で死ぬまでの期間)が短くなりますから、再犯の可能性も低くなります。尚且つ死ぬまで仮釈放中の身です。 現行の無期刑は、字が違うだけで、ヨーロッパの多くが導入してる仮釈放がある終身刑(相対的終身刑)と、殆ど大差ないと言えます。 仮釈放がない無期刑(絶対的終身刑)について 仮釈放がない無期刑(絶対的終身刑)は、英、米、豪、中国などが導入しているのですが、導入している国自体も少ないです。 仮釈放が無いために、一旦収監されると二度と外の世界には出れませんから、希望もなく、ただ単に毎日を過ごしていくことになります。 罪を犯してそういう結果になったにしろ、希望も無いので、生きている自体を無意味に感じるようにもなります。罪を犯してそうなっているので、悔悟の気持ちも大きくなります。 その結果、ストレスで精神がズタズタになり精神病になる人、人格破壊がおきてしまう人、自殺する人などが多数出ます。 私のサイトでは、病気になるから、ストレスを蓄積しないように個々でストレス解消するようによく書いているのですが、ストレスを蓄積してしまうと、脳の中では以下のようなことが起きます。 ストレスの蓄積 → 自律神経系に影響 → ホルモンバランスが狂う 人間の身体の健康は、正常なホルモンバランスによって保たれています。ストレスを溜め過ぎると、心身に影響してしまいますから、人によって発症する場所は違いますが、病気になってしまいます。 絶対的終身刑だけでなく死刑を存置してる国だと、耐え切れなくなって受刑者から死刑にして欲しいと言い出す例も多くあるみたいですが、当然刑の変更は出来ません。死刑を廃止して絶対的終身刑にした国は、当然の事ながら死刑がありません。 精神的に病んで医療施設に移したとしても、回復すれば、また元の場所に戻るので、また再発します。 その繰り返しをするだけで、結局のところ受刑者に人格破壊が起きて廃人になってしまいますし、刑務官達も、そうなっていくのを見ているしかなく、どうしようもないのです。 生きているのだけど、意思の疎通も図れない廃人に仕向けてしまうのが、絶対的終身刑です。 死刑の場合は、刑が執行されるまでは、24時間監視付きで拘禁されていることを除けば、自由な時間を作ることが出来ます。死の恐怖(ストレス)に襲われても、例えば教誨師との時間を作って精神を安定させることも可能ですし、部屋で読書にふけることも可能です。そして、刑の執行によって精神的に楽にしてあげることが出来ます。 仮釈放がない無期刑(絶対的終身刑)は、懲役にしろ禁固にしろ、刑を務めながらになりますし、希望が無いので、ストレスによって受刑者が自殺したり、生きてはいても廃人になったりします。 よほどの精神力がある人なら、そうならずに寿命まで健康で生きていけますが、元々性欲や金に対する欲望が強くて罪を犯して無期刑になった人達です。欲望を自制できていないのですから、精神力は弱いので容易に人格破壊します。寿命がくるまで二度と正気に戻らず、その状態で残りの人生を過ごしていきます。 仮釈放がない無期刑(絶対的終身刑)は、法によって死刑にしないというだけのことで、緩慢な死刑と同じで、私には死刑より残酷な刑に思えます。 人格破壊した人間の形をした生き物にした状態で寿命がくるまで生かしておくよりも、ちゃんと人間として逝かせてあげている死刑の方がよほど人道的だと思います。 現行の無期刑でも、ヨーロッパで導入が多い相対的終身刑と大差ないです。仮釈放のない無期刑は、人道的配慮に欠けていますし残酷すぎますので、私は絶対に反対です。 もし死刑との間を埋める刑罰を導入するのなら、現行の無期懲役よりも仮釈放までの在所期間を延ばした重無期懲役にした方が良いと思います。 刑事施設について 死刑の場合は、絞首刑という刑の執行をしないことには、刑が始まりませんし終わりません。刑の執行があるまでは、拘置(拘禁)しておきますので、拘置所に入っていますが、無期懲役は、懲役という刑を執行しますから、刑を務める所の刑務所に入所します。 拘置所は、死刑囚だけでなく、未決の刑事被告人も拘禁しています。被告の刑を決めるのは裁判所です。裁判所から遠い場所にあると、移送の際にも大変ですから、地裁や高裁に近い場所にあります。 地裁、高裁は、都道府県庁所在地の中心部にある場合が多いので、どうしても地価が高くなります。限られた土地に、死刑囚・被告人・容疑者などを収容できる分の部屋が必要になります。東京・大阪・名古屋のように人口が多い所は犯罪件数も多いので、建物を高層化せざるを得ないという事情があります。 それに対して刑務所は、刑を務める所ですから、わざわざ土地代が高い所に作る必要がありません。工場作業だけでなく、農林作業をするための田畑・山林も取れるような広大な土地で、土地代が二束三文の所で充分です。 建物を作る際には、どんな建物であっても、建築基準法に適合する必要がでます。公共施設も例外ではありません。エレベーターの設置義務、スプリンクラー・火災報知器の設置義務など低層であれば、いらないものまで設置しなければいけませんし、高層にすると骨格の柱や梁を太くする必要も出ます。建築コストがとんでもなくはねあがります。 入所者が移動する際に、拘置所に拘置されている場合の移動は、裁判所や検察庁への移動するくらいですから、未決拘禁者1人に刑務官が付き添う形になりますし、個々に移動させればいいので、高層のエレベーターでも対応可能です。 ですが、刑務所の場合は、作業の際に集団行動します。一度に多くが移動しますし、収容人員が多いです。高層にすると、移動手段がエレベーターになってしまいます。箱の中に受刑者と刑務官が一緒に乗ることになり、しかも人と人の隙間が狭くなりますから、容易に刑務官を袋叩きにできます。 日本最大の府中刑務所で約3,000人ですが、仮にエレベーターに20人乗ったとしても、約150回の往復になります。6基つけても、1基あたり25往復しなければいけません。低層部は階段を使うとして、残り半分がエレベーター利用にしても、箱に乗り、箱が動き、箱から下りての時間を1回あたり5分かかるとしたら、動くだけで所要時間約2時間になります。作業にかかりだす時間にも差がでますので不平等になります。 もし、火災が起きた際には、一度に避難しますので、当然さばききれず逃げ遅れが多数発生するので死者もでます。 刑務所の場合は、中からの監視だけでは死角が出来ますので、外からの監視も必要になります。収容施設が高層だと監視塔をもっと高層にする必要が出ます。 ちなみに受刑者数ですが、日本最大の刑務所の府中刑務所の収容人員が約3,000名以上ですが、仮釈放した人を引いた純増分として、毎年その数に匹敵するだけの受刑者が増えています。 死刑の刑場は全国7箇所にあり、死刑囚は上訴中の未決も含めて166人。無期懲役刑の場合LB級になりますが、これも全国に7箇所収容施設があります。無期懲役刑の受刑者は2006年末時点で約1600人、無期懲役刑が確定して新規に入所する人が2006年で136人です。 無期懲役刑で仮釈放になっているのは、ここ数年一桁の数字ですから、差を130人としても、純増3000人の中の約4%です。重無期刑になるのは、死刑若しくは無期懲役の人になりますが、懲役刑は刑務所ですから、刑事施設の数・収容人員からみても間に合っています。ただ、刑務所はどこも慢性的な定員オーバーですから、施設として必要なのは、短期受刑者用の刑務所になります。 長期受刑者の方が受刑態度が良く刑務所が平和なのですが、短期受刑者を収容してる施設の方が受刑者同士の諍いが多いという現状があります。短期受刑者収容用の刑務所では諍いが多いのに、建物が高層では、刑務官が迅速な対応できなくなります。 刑務所を高層建築にすると、建築コストが高くなるし、保安上悪くなるし、作業効率が悪くなるし、防災上も悪くなるなど、いいところがありません。もし新設で刑務所を作ろうとしても、これらの理由などがありますので、高層化は不適格です。 文中に書いた日本最大の刑務所である府中刑務所と無期懲役刑受刑者を収容してる岐阜刑務所の収容分類級と収容定員をついでに紹介しておきます。 府中刑務所(8年未満の短期受刑者収容施設) 収容分類級 B級 F級 収容定員 2,842名 (現状:常に定員を上回る3,000名以上) 岐阜刑務所(無期懲役者収容施設) 収容分類級 LB級 YA級 A級 B級 収容定員 705人 (現状:常に定員オーバー状態) A 犯罪傾向の進んでいない(初犯)者 B 犯罪傾向の進んでいる(累犯、および暴力団構成員)者 F 日本人と異なる処遇を必要とする外国人 L 執行刑期8年以上の者 Y 26歳未満の成人 |
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絶対的終身刑に対する考え 私の考えとしては下記のようになります。
何故、こう思うのかについて 簡単にですが書いておきます。 どんな場合にもプラス要素、マイナス要素がありますので、絶対的終身刑の場合には、どういう要素があるかを考えてみました。 マイナス要素には、まず大きな問題として、人格破壊を起こし、狂人、廃人になりやすいことがありますが、受刑者がそこに至るまでにいろいろな問題を起こしますから、刑務官の人数を増やす必要が出ます(人件費増加)。 そして狂人、廃人になったら、労働ができなくなります(その個人の生産性はゼロに、刑務所としては生産性低下)。自分の身の回りのことも自分で出来なくなりますので、介護者が必要になります(人件費増加)。通常の房には居れないので、専用の隔離施設が必要になります(設備投資、維持管理費増加)。と挙げ出すといくらでも出てくるのですが・・・ プラス要素は、国民からみて犯罪行為を犯した者が2度と外に出てこないので、再犯の恐れが無くなるという点がありますが、それくらいしか見当たりません。 何も絶対的終身刑に相当する罪を犯した人達だけが、再犯するわけではありません。仮に1年間に無期懲役刑が確定するのが130人として、その内の半分が絶対的終身刑に相当するとしても1年あたり65人です。 無期刑以上に相当する罪と言えば、殺人、強盗、放火、強姦などの凶悪犯罪になりますが、2006年で殺人で1241人、強盗で3335人、放火で825人、強姦で1058人で単純に合計6459人になります。(重複しているのもあると思いますし、他にも該当する罪はありますが、大勢に影響ないので、それらの数字は無視しておきます。)65人全員が再犯(ありえないのですが)したと仮定しても1%で、残りの99%は初犯もしくはそれ以外の前科での再犯になります。 65人全員が再犯したとしても約1%ですが、実際の無期刑の再犯者は年に1人いても多いくらいですから、仮に年1人として計算すると、0.015%になります。そうすると全体の内の99.98%が初犯若しくは無期以外での再犯になります。 絶対的終身刑相当の罪を犯した人達の再犯防止のためだけに、デメリットの方がはるかに大きい刑を導入する意味合いが見当たりません。 仮釈放がないとするよりも、あくまで仮釈放があるとし、運用の際に(高齢になり)再犯可能性が小さいと判断できたら仮釈放にすれば済むように思います。現行の無期懲役刑では、運用別の区別がつきにくくいですから、分かりやすくするためにも刑罰名として重無期懲役刑みたいな感じにすればいいように思います。 あくまで仮釈放できるという、一筋の光明がないと、矯正の意味合いもなく、とてもじゃないですけど、現場の刑務所の刑務官が受刑者対応に苦慮すると思いますね。 まだ国会議員が考え始めた段階ですし、これから調べていけば、分かってくると思いますが、もし立法で導入に前向きになったとしても、行政サイドの反発もあると思います。 それよりも他国の状況で刑罰自体で人格破壊に追い込むことが予測つきますから、残虐な刑罰を禁止している憲法に違反するような気がします。もし最高裁が違憲になると判断したら、司法が事前に待ったをかけるような気がします。 絶対的終身刑はマイナス要素が多いのですが、はたして合憲になるのか?も引っ掛かる部分になります。 |
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死刑と絶対的終身刑の刑罰の対象期間の違い 死刑も絶対的終身刑も刑が確定したら、特別なことがない限り、二度と外部に出ることが出来なくなるのは同じですが、刑の執行開始時に大きな違いがありますから、刑罰の対象期間の違いがあります。 死刑囚や受刑者の処遇については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 で細かく定めてありますが、処遇の原則は以下のようになっています。
死刑の場合は、法相が執行命令書に署名してから5日以内に刑の執行がありますが、それまでは、あくまで死刑確定者という立場で拘置されているのであって、裁判で確定した刑の執行はされていません。 法相の命令が出てから、検察官が死刑執行指揮書によって、死刑執行を指揮することで刑の執行が始まります。 それに対して絶対的終身刑の場合は、仮釈放がない無期刑ですから、裁判で確定したら、対応する検察庁の検察官が指揮して刑を執行しますから、ほぼ収監と同時に刑の執行がされています。 死刑の場合は、死刑執行指揮書を死刑囚に読み上げてから死亡後5分間の時間(手順からすると30分前後?)が刑罰の対象期間であるのに対して、絶対的終身刑の場合には、収監され受刑者が死亡するまでの期間が刑罰の対象期間になります。 日本の死刑執行方法である落下型の絞首刑の場合には、その人の体格・首の強さ等で若干の差はあると思いますが、おおむね落下した際に気絶し、気絶した状態のままで絶命していると思います。 イラクのフセイン元大統領の死刑執行の動画がネットに流出しましたが、あの場合にも同様の落下型絞首刑でした。縄の結び目部分が異常に大きかったという特徴から、頚骨を強制骨折させ絶命させていることが推測でき、日本と同じ絞首刑でも少し違うのですが、どちらも意識が無くなるまでに要する時間は、落下が始まりロープが伸びきった時に首の一部に大きな力が加わるまでに要する時間で一瞬です。 見方を変えると、絶命するまでに苦しむ時間を最短にしていると言えます(人道的配慮)。 絶対的終身刑の場合は、仮釈放がないので、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成をする必要もなく、刑の対象期間が長いので、遅かれ早かれ人格破壊をします。 受刑者自身が自分の脳にストレスを蓄積し、自分で自分の精神をパンクさせるのですから、第三者では防ぎようもありませんし、刑によって、当人がそうなるように仕向けるのですから、残虐と言うしかありません。 死刑は残虐な刑罰ではない(合憲)という最高裁の判断がありますが、これまでの刑法には、仮釈放がない無期刑は在りませんでした。 絶対的終身刑の場合は、刑そのものが収監から始まりますので、刑罰として考える場合には、絶対的終身刑の刑罰の対象期間に起こるいろいろな事を考え、合憲になるか、他の法令違反にならないか、の確認が必要になると思いますし、もし絶対的終身刑が、違憲、法令違反になるようであれば、憲法をはじめとして関連法令改正も必要になります。 仮釈放がある無期刑の受刑者の在所期間を長くするだけであるのなら、何も新たに刑罰を作り、法改正をしなくても行政(法務省矯正局など)が運用の仕方次第で対応可能です。 現在の無期懲役の仮釈放者にしても、あくまで改悛の情ありの模範囚が対象ですから、いくら30年以上であっても、仮釈放できる要件を満たさなければ、40年経とうが、50年経とうがいつまで経っても仮出所できません。 仮に、30歳の被告が、裁判に5年かかり、50年経過したら、85歳になります。2000年の男性の平均寿命は77.7歳、女性でも84.6歳です。平均寿命から考えると生存している可能性の方が低くなります。 生きて仮出所できるとは限らないのが無期懲役刑です。 模範囚の仮釈放時期を現行の無期懲役より確実に遅らせるのためなら、差をつけるためにも、それより重い刑が必要になりますが、そこまでする必要に迫られているとも思えませんし、死刑と無期懲役の間を埋めるという考えのようですが、現行の無期懲役ですらそうなんですから、わざわざ刑罰を新設する意味合いも見当たりません。 |
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試しに絶対的終身刑が合憲になるように考えてみました。 絶対的終身刑を合憲にしようとすると・・・ 絶対的終身刑は、仮釈放がありませんので、受刑者としての処遇の原則を当てはめることが難しくなってしまいます。仮釈放が無いと言うだけで、受刑者であるのに、受刑者の処遇の原則が当てはめれないというおかしな現象が起きてしまいます。 死刑は心神喪失状態になると刑を執行できません。同じように絶対的終身刑も心神喪失状態になると刑の執行停止をせざるを得なくなります。 絶対的終身刑は人格破壊を起こす可能性が非常に高いですから、受刑者の精神状態を安定させるために処遇を死刑囚並にする必要があります。受刑者と言えども基本的人権の尊重されていますので、処遇で人格破壊するようには出来ませんから、人格破壊して心神喪失状態になるのを回避するためには、死刑囚と同様にする必要があります。 死刑は、死と引き換えに厚遇を手にしている点もありますから、厚遇であっても理解できるのですが、絶対的終身刑は無期懲役刑より重い刑のはずなのに、自由時間が沢山あって3食昼寝付きという無期懲役刑よりはるかに厚遇の刑になってしまいます。 現状の無期懲役刑にしても、いつまでも仮出所できない人は終身刑と同じです。 死刑、絶対的終身刑、無期懲役にするつもりで出た話のようですが、絶対的終身刑の方が厚遇になることを考えると、刑自体が軽くなることになりますので、序列は、死刑、無期懲役刑、絶対的終身刑になります。 合憲にしようとすると、絶対的終身刑は、死刑と無期懲役刑の中間に入るのではなく、無期懲役刑の後になってしまいます。 /( .― .)\ はて? ワケワカメ状態だ・・・ 新たに作る意味がないw はっきり言って・・・ 絶対的終身刑は、必要ないですね。 無期懲役刑(相対的終身刑と同様)がどういうものかを知らないで出してきたのか? それとも死刑の代替にするつもりで出してきたのか? どういう意図なのかは知りませんが、日本には世界一優秀と言われる基本的人権の尊重を謳った憲法が存在しています。 そのあたりをちゃんと考慮した上で、刑罰の導入をもくろんだのか、非常に疑問ですね。。。 ちなみに、現状では統計資料としてありませんが、ある資料を用意すると、無期懲役刑が相対的終身刑になっていることを証明できます。 一国民の意見として法務省矯正局の行政官にこれらの問題点と一緒にそのことも話しておきました。その資料を作るのは相当大変な作業になりますが、矯正局なら号令一つでデータ収集が可能です。もし法案が土俵に上がってきたら用意するそうです。 無期懲役刑に対する間違った認識は、議員だけでなく、多くの国民にも蔓延していますから、その資料によって、無期懲役刑というのが、いかに重い刑なのかを世間に周知できたら・・・ と思いますね。 |
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現行の無期懲役刑自体が相対的終身刑化している現状 6月1日付(速報値として法務省矯正局発表)のニュース記事で、無期懲役の現状に関することで分かったことがありましたので書いておきます。 無期懲役囚が昨年(2007年)末時点で1670名 累計無期懲役囚の推移 1961年 1279名 1984年 713名 1998年 968名 2007年 1670名 2007年無期懲役囚の新規入所数 89名 2007年無期懲役囚仮釈放者数 3名 仮釈放者3名の平均在所期間 30年10ヶ月
1998年の968名に1999年〜2007年の新規入所者数を足し、1999年〜2007年の仮釈放者数の合計を引くと・・・ 968+841−86=1723 になります。 1723−1670=53 で、53名は、仮釈放でない状態で無期懲役囚でなくなった場合です。無期懲役刑は刑期が長いので、まず考えられるのは自然死(病死も含む)、自殺などによる死亡の場合になると思います。 自然死にしろ自殺にしろ刑務所に入所してから、二度と娑婆に出ることなく命を落としていますので、その人にしてみたら終身刑になっています。 そして、以前に書いていたデータ(無期懲役刑が終身刑になっていることを証明できる数字)を矯正局が調べてくれたようです。 2008年4月時点での無期懲役囚入所期間が、40年以上の受刑者数24名(うち55年以上受刑者1名) 入所してから40年以上が24名、内1名は55年以上になっています。 この入所期間の年数を年齢に当てはめて考えてみます。 裁判で無期懲役が確定した年齢を30歳とすれば・・・ 30+40=70、30+55=85 同様に年齢を40歳とすれば・・・ 40+40=80、40+55=95 40年以上も刑務所に入所していたら、平均寿命に近い年齢になってしまいます。現行の無期懲役刑には仮釈放の制度がありますので、終身刑に例えるのなら相対的終身刑になりますが・・・ 予想通り、無期懲役刑自体が、相対的終身刑になっていました。 絶対的終身刑の問題点は書きましたし、無期懲役刑自体が相対的終身刑になっているのも分かりました。 はたして、立法府での絶対的終身刑の議論がどのようになるのか・・・? 一国民として見ていきたいと思います。 |
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現行の無期懲役刑の実情 無期40年以上服役24人 厳罰化で仮釈放減る (中日新聞) 7月6日付のニュース記事で、無期懲役の現状に関することで分かったことがありましたので書いておきます。
10年間に仮釈放された延べ人数は104人になっていますが、それらの仮釈放者の人数は、仮釈放が取り消されて刑事施設に戻り、あらためて仮釈放された人を除いた数になっています。 記事には、1998年から2007年までの10年間の獄死者数が、120名と出ていました。 前回計算した際に、出ていた差の分の53名とその120名の差である67名が、上記の仮釈放取消しで再度収監され獄死した人数に相当すると思います。 過去10年間の120名の獄死者は、自然死、病死、自殺の別は出ていませんが、外部に出ることなく亡くなっていることから実質終身刑になっています。 長期間服役者数も多いのですが、獄死者数も多いという現行の無期懲役刑が終身刑化している現状がよく分かりました。 無期懲役刑の運用状況がこうなのですから、新たに多くの法改正が必要な刑である絶対的終身刑を導入する必要性を感じませんね。 それにしても・・・ 前回のデータが出た時に、再度矯正局に電話をして、今回出たようなデータのことを聞いたのですが、その時には分かりませんでした。 前回といい、今回といい、矯正局に聞いてから1ヶ月以内にメディアを通して発表されています。一国民の疑問に対して、矯正局の方が、耳を傾けて調べてくれたのだとしたら、嬉しく思いますね。 |
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求刑無期懲役に対する判決状況の変化? 私は、量刑の傾向を見るために、データを集めているのですが、ここ最近 求刑無期懲役に対しての無期懲役判決が少なくなったような気がしていました。 殺人事件判例のページから、2007年10月2日以降の求刑無期の事例を抜粋して表を作ってみました。表を見て分かるように、ある時期を境にして、有期刑の方が多く選択されているのが分かると思います。(境を分かりやすくするためにラインを入れてあります。)
5月22日までは、28件(31被告)に求刑無期があったのに対して 25件(28被告)に無期懲役判決で、3被告だけが有期懲役を選択されているのですが、6月6日以降無罪判決を除いたの8件(8被告)に対しては、1件(1被告)のみが無期懲役で、それ以外の7件(7被告)には有期懲役が選択されています。 検察が無期懲役を求刑する場合は、それなりに罪責が重い場合ですから、5月以前に判決があった被告も6月以降に判決があった被告も罪責に大した差があるとは思えません。 それなのに、5月以前と6月以降を比較すると、6月以降は、明らかに無期懲役判決が減っています。 無期懲役刑が終身刑化している状況を、法務省矯正局が速報値として発表したのが6月1日付のニュース記事です。 6月6日の事例は、殺人罪適用でも被害者2名です。無期が選択されても不思議でないのに有期の最長である30年を選択しています。その時に 変だな? と感じたのですが、1件だけでは判断できないので、何例か出るまで様子を見ていましたが・・・ これだけはっきり違いが出てくると・・・ 無期懲役刑が、運用状況で終身刑化していて、すごく重い罰になっているのを、裁判官もそのニュースで知り、無期懲役刑を選択するのも慎重になってきたのかな? と感じますね。 なにしろ無期懲役は仮釈放が認められない限り外には出れませんが、有期懲役の場合は、仮に仮釈放が認められなかったとしても、満期まで務め上げれば必ず外に出れますから、全然違いますからね。。。 |
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