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時系列 |
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参考法規 |
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強姦や準強姦罪の法定刑は3年以上の有期懲役ですが、グラフには無期懲役が1人入っています。この無期懲役の1人は殺人と強姦などの罪での量刑で、主罪は法定刑に死刑や無期懲役の規定がある殺人罪になります。 強姦や準強姦罪には無期以上の刑の規定がありませんから、強姦、準強姦罪が主罪になる場合にどの程度の量刑になるかを考慮する際には、この無期懲役の1人を除外します。 無期懲役の1人を除外すると全部で116人に。その中から無罪8人、執行猶予付7人を差し引くと101人が実刑判決になります。 判決が記事になった事例の中でですが、割合としては、116人中101人が実刑判決で、実刑判決率は87%になっています。 |
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準強姦罪について |
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準強姦罪の「心神喪失」と「抗拒不能」 心神喪失とは、熟睡、泥酔、精神病、精神薄弱、知的障害、催眠、薬漬け状態など、精神または意識の障害によって,性的行為について正常な判断ができない状態にあることを言います。 また、抗拒不能とは、心神喪失以外で、心理的、物理的に抵抗ができない状態、または抵抗するのが著しく困難な状態にあることを言います。 本件では、容疑者が「合意の上だった」と、姦淫した事実を認めています。よって、被害者が当時「心神喪失」又は「抗拒不能」の状態であったことを検察が立証できれば、(合意の有無に関わらず)準強姦罪は成立します。 本件は、数人で一緒に飲酒し、いろいろな店に寄っていたため、女子部員が自力で歩行が不可能なくらい泥酔状態であったことを、第三者の証言や防犯カメラの映像などから立証可能な状態になってしまっているように感じます。 強姦罪の「暴行又は脅迫を用いて」を否定するための「合意の上」 容疑者は「合意の上だった」と主張し否認していますが・・・ 「合意の上だった」と主張するのは、準強姦罪ではなく、強姦罪の場合です。 罪不成立で無罪とするために一番手っ取り早いのが、罪の構成要件を満たさなくすることです。強姦罪の条文は「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者」となっています。この条文を満たさなければ罪にはなりません。 もし、この条文中で、姦淫したのが事実であるならば、「暴行又は脅迫を用いて」の部分しか争点にならないのですが、ここを否定できなければ罪が成立します。 この「暴行又は脅迫を用いて」を分かりやすく言うと「無理やり」になります。無理やり姦淫すれば強姦罪になるが、合意の上での姦淫なら当然の事ながら罪にならない。なので、強姦罪の場合は、「暴行又は脅迫を用いて」を否定するために、「合意の上」を主張するわけです。 準強姦容疑なのに、強姦容疑の「合意の上」をいくら主張してもね。。。 返って、「合意の上だった」と主張することで、姦淫の事実があったことを自分から認めてしまっています。 なので、捜査の結果、女子部員が心神喪失や抗拒不能であったと立証できる証拠が揃えば、準強姦罪は成立してしまいます。また、いくら否認していても罪が成立すれば有罪ですし、場合によっては、否認し続けることによって量刑が重くなる場合もあります。 準強姦罪と強姦罪は、準の文字が付くか、付かないかの違いですが、2つの罪の構成要件は全く違います。 |
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本件で気になった事 |
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私のHPには性犯罪など犯罪に関するコンテンツがあるため、以前は、被害者側だけでなく加害者側からも、犯罪についての多くの相談メールが届いていました。 あまりに相談メールが多かったため、誰でも見れるように「もし性犯罪被害に遭われたら・・・」というページを設け、被害者となった場合、嵌められて加害者となった場合、誤認逮捕された場合など、被害者と想定できるいろいろな場合について対処法をざっくりとですが書いておきました。 被害に遭われた場合を想定していますので、加害者になった場合を書いていないのですが、私のコンテンツは基本的に犯罪者になってしまわないよう注意喚起で作っていますので、性犯罪のコンテンツ全体に「加害者にならないように・・・」という想いが入っています。ちなみに、性犯罪のコンテンツの入り口のページに、以下のように書いてあります。
読まれた方は、こういう状況にならないよう、注意されると思いますが・・・ もし、加害者になった(なってしまった)場合に、まず、すべきことは、自分を正当化するための言い訳ではなく、相手に対する誠心誠意の謝罪です。 これは、性犯罪に限らず、いろいろな犯罪にも言えることなのですが、自分は謝ったつもりでも、相手が許すという気持ちにならなければ、謝罪になっていません。相手に自分の謝っている気持ちが通じて初めて謝罪になります。 それを本件では、どうみてもしていない。 「メールで謝った」という記事を見かけましたが、メールなんてのは、心で「あっかんべー」していても、何とでも書けます。自分の将来がかかっている大事には、気持ちが伝わりやすい手書きで謝罪文を書くものです。 被害者へは謝罪のメール。他方には「合意の上だった」と自分を正当化するメール。本当は、いったいどっちの気持ちなの?と普通なら、相手の事を疑いますよ。 こんなことをしていては、こじれていくのが当たり前です。 示談金(金)目当てとか書いているブログなどもありましたので、参考までに書いておきますが、今は、(準)強制わいせつ、(準)強姦などは、刑事裁判とは別に民事で損害賠償請求訴訟をするまでもなく、2000円払えば附帯私訴で刑事裁判の判決が出た後に、その裁判で使った証拠などを元に損害賠償額も決めてくれるようになっています。 なので、相手の罪を問いたいと、(親告罪の場合)告訴すれば、被害を受けた側は、相手が逮捕、送検、起訴されていくのを待つだけで、起訴前に示談する必要が全く無いのです。判決が有罪となれば、払った2000円の手数料で、その行為に対しての損害賠償額を決めてくれるシステムになっています。 強姦した側(加害者側)にとっては、非常に示談しづらい法体制(環境)になっていますので、告訴に至らないよう、逮捕に至らないよう、起訴に至らないよう、その前での誠心誠意の謝罪が重要になります。 逮捕されるまで2ヶ月半程時間がありましたので、本件にも、何度か、そういう謝罪の機会があったと思いますが・・・ こうして逮捕、送検に至っています。 記事等で容疑者の言動等が出ていますが、それらを読むと、容疑者自身で回避する機会を潰してしまったように感じます。 |
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公判関係 |
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第一審 東京地裁(鬼沢友直裁判長) 事件番号:平成23年合(わ)第293号|傍聴券交付情報:東京地方裁判所 |
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※被告側は判決を不服として即日控訴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
控訴審 東京高裁第3刑事部(金谷暁裁判長) 事件番号:平成25年(う)第457号|傍聴券交付情報:東京高等裁判所 |
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※弁護側は判決を不服として即日上告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
上告審 最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長) 最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は、2014年4月23日付で被告の上告を棄却する決定を出した。 |
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懲戒解雇、賞取消し処分 |
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検討 全柔連の会員登録抹消:容疑者 史上初の汚点も 黒帯そのものもはく奪か - スポニチアネックス(2011年12月7日) 紫綬褒章:容疑者「紫綬褒章」の行方 実刑確定なら「はく奪」 - J-CASTニュース(2011年12月8日) |
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氏名 | 罪名 | 第一審 | 控訴審 | 上告審 | ||||
求刑 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | 決定 | 裁判所・日付 | ||
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準強姦罪 | 求刑懲役5年 | 懲役5年 | 東京地裁 2013/2/1 |
控訴棄却 | 東京高裁 2013/12/11 |
上告棄却 | 最高裁第2小法廷 2014/4/23 |
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