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更新日時: 2010年05月14日
性犯罪抑止に向けての いろいろな対策・施策

法改正により罰則強化 公訴時効期間について再度法改正 性犯罪容疑者の実名公表化 犯罪被害者等の権利利益の保護を法制化


法改正により罰則強化(刑法に集団強姦罪を新設)


 法改正により罰則強化  (刑法に集団強姦罪を新設)

 法律第156号平成16年12月8日公布 平成17年1月1日施行
 
平成17年1月1日以降 平成16年12月31日まで
刑法

 (強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 (強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

 (準強制わいせつ及び準強姦)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

 (集団強姦等)
第百七十八条の二 二人以上の者が現場において共同して第百七十七条又は前条第二項の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処する。

 (未遂罪)
第百七十九条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は 、罰する。

 (親告罪)
第百八十条 第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
 前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

 (強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
 第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
刑法

 (強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 (強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、二年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

 (準強制わいせつ及び準強姦)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をし、又は姦淫した者は、前二条の例による。

 (未遂罪)
第百七十九条 前三条の罪の未遂は、罰する。

 (親告罪)
第百八十条 第百七十六条から前条までの罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
 前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条から前条までの罪については、適用しない。

 (強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条から第百七十九条までの罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

 法の施行が2005年1月1日ですから、1月1日以降の行為に対して改正法が適用されます。

 改正前と改正後の量刑の違いを知りたかったので、2005年9月から2007年3月までの約19ヶ月間に於いて公表された判例のデータを集めていました。

 改正前の行為に対しては、改正前の法が適用されますが、量刑を知るために見た記事によっては、犯罪行為をした日付が分からない場合も多くありました。

 2005年9月以降に出た判決であれば、施行されてから8ヶ月が経過していますので、容疑者にたどり着くまでの捜査の早さ、裁判の進み具合から考えれば、改正後に犯した罪に対しての判決が出始める頃です。

 厳密に改正前、改正後を分けてありませんが、どれくらいの量刑になっているかの傾向は、事例が多くなってくれば分かってきます。そのデータに基づいて作ったのが、下のグラフです。


 実際に出た判決の量刑を改正前に出ていた判決と比較して考えると、明らかに罰が重くなっているように感じます。

 そして、刑法改正と共に、刑事訴訟法第250条の公訴時効年数についても改正されています。

 公訴時効期間は以下の通りです。

公訴時効 (刑事訴訟法 第250条)
改正後(現行) 改正前
平成17年1月1日以降 平成16年12月31日以前
罪責 期間 期間 罪責
死刑に当たる罪 25年 15年 死刑にあたる罪
無期の懲役、禁錮に当たる罪 15年 10年 無期の懲役、禁錮にあたる罪
長期15年以上の懲役、禁錮に当たる罪 10年 7年 長期10年以上の懲役、禁錮にあたる罪
長期15年未満の懲役、禁錮に当たる罪 7年
長期10年未満の懲役、禁錮に当たる罪 5年 5年 長期10年未満の懲役、禁錮にあたる罪
長期 5年未満の懲役、禁錮
又は罰金に当たる罪
3年 3年 長期 5年未満の懲役、禁錮
又は罰金にあたる罪
拘留または科料に当たる罪 1年 1年 拘留または科料にあたる罪
時効の起算点
犯罪行為が終わったときから。
(犯人が国外に逃亡している場合等には、時効の進行が停止することがあります。)

 このように、凶悪犯罪に関わる罪や規定を重罰化した刑法等の一部を改正する法律.(平成16年法律第156号・平成17年1月1日施行)によって、性犯罪の刑法第二十二章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪も大幅に改正されていますが、これらの刑法改正に伴い、刑事訴訟法第250条の規定も、死刑、無期刑、15年以上の懲役・禁固刑など凶悪な犯罪行為に当たる罪については改正し、時効期間を長くしてあります。

 そして、性犯罪の強姦罪、強制わいせつ罪などは、親告罪(刑法第180条)でもありますから、公訴を提議するのに告訴を必要とします。公訴時効成立以降では、例え告訴したとしても公訴を提議できなく(相手の行為の罪を問えなく)なりますので、くれぐれも公訴時効期間に関して注意するようにしてください。

 改正後と改正前の法定刑と時効期間の違いを分かりやすく表にしておきます。

改正後(現行) 改正前
平成17年1月1日以降 平成16年12月31日まで
法定刑 時効 法定刑 時効
強盗強姦致死罪 死刑、無期懲役 25年 死刑、無期懲役 15年
強盗強姦罪 無期、7年以上の懲役 15年 無期、7年以上の懲役 10年
集団強姦致死傷罪 無期、6年以上の懲役 無期、3年以上の懲役
強姦致死傷罪 無期、5年以上の懲役
強制わいせつ致死傷罪 無期、3年以上の懲役
集団強姦罪 4年以上の有期懲役 10年 2年以上の有期懲役 7年
(準)強姦罪 3年以上の有期懲役
(準)強制わいせつ罪 6月以上10年以下の懲役 7年 6月以上7年以下 5年

 集団強姦罪は新設された罪ですが、集団強姦行為は罪が新設される前からあった行為で、強姦罪として裁かれていましたので、改正前については、強姦罪の規定と同じになります。

 こうして比較すると分かりやすいと思いますが、これらの罪は、時効年数も全ての罪に対して長くなっています。

 仮に、平成16年12月31日に犯罪行為が終わった強盗強姦致死事件だと、15年後の平成31年12月31日に時効がきますが、1日違いの平成17年1月1日に犯罪行為が終わった強盗強姦致死事件になると、25年後の平成42年1月1日に時効がきます。

 法改正の宿命と言うしかありませんが・・・ 1日違いで10年違います。

 容疑者などが、(国外逃亡をせず、時効が停止しないで)殺人などの「死刑に当たる罪」の公訴時効が成立する事件は、平成31年12月31日までは発生する可能性がありますが、平成32年以降10年間空白が出来、平成42年以降から、また、発生しだす形になります。
更新日時: 2007年04月25日



公訴時効期間について再度法改正

 再度、刑事訴訟法の公訴時効に関する規定が改正されましたので、表を更新しておきます。ただし、改正法(平成22年4月27日法律第26号)の附則には、法施行時、時効未完成の事件に対する改正法適用の規定がありますが、違憲の疑いがあるため、改正法施行前(2010年4月26日以前)の公訴時効期間を併記してあります。
 
2010年4月27日〜 2005年1月1日
〜2010年4月26日
〜2004年12月31日
時効 法定刑 時効 法定刑 時効
強盗強姦致死罪 廃止 死刑、無期懲役 25年 死刑、無期懲役 15年
集団(準)強姦致死罪 30年 無期、6年以上の懲役 15年 無期、3年以上の懲役 10年
(準)強姦致死罪 無期、5年以上の懲役
強制わいせつ致死罪 無期、3年以上の懲役
強盗強姦罪 15年 無期、7年以上の懲役 無期、7年以上の懲役
集団(準)強姦致傷罪 無期、6年以上の懲役 無期、3年以上の懲役
(準)強姦致傷罪 無期、5年以上の懲役
(準)強制わいせつ致傷罪 無期、3年以上の懲役
集団(準)強姦罪 10年 4年以上の有期懲役 10年 2年以上の有期懲役 7年
(準)強姦罪 3年以上の有期懲役
(準)強制わいせつ罪 7年 6月以上10年以下の懲役 7年 6月以上7年以下の懲役 5年
更新日時: 2010年05月14日


法改正により罰則強化 公訴時効期間について再度法改正 性犯罪容疑者の実名公表化 犯罪被害者等の権利利益の保護を法制化


性犯罪について 性犯罪行為での罪と罰 性犯罪での事件裁判について 性犯罪が起訴事実に含まれている殺人事件 性犯罪 量刑の傾向
性犯罪抑止に向けての いろいろな対策・施策 もし、性犯罪被害に遭われたら・・・ 性犯罪容疑での逮捕、送検事例 性犯罪 判決例 性犯罪による懲戒処分例
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