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更新日時: 2007/08/21

建物を作る(設計する)上に於いて、まず考えることは・・・ 欧米と日本の建物事情の違い
愛知の県都、名古屋駅前の開発(再開発)状況 自宅を自分で改修してみました。
まさかりの独り言 街づくり、建築等関係法令


建物を作る(設計する)上に於いて、まず考えることは・・・

 住居に限らず、ビル物でも、建物のデザイン(意匠)というのは、誰もが気にするところだと思います。

 ですが、意匠を気にするあまりに、無駄なスペースが多くなったり、必要以上に工事費が、かかってしまったりする場合も多々あります。

 建物は、あくまで箱(入れ物)であり、いくら斬新なデザインで費用をかけて作ったとしても、中に入って使う人の使い勝手が悪ければ、ストレスも溜まりますし、長く使うことが出来なくなってしまいます。

 私は、街づくりや建物をプロデュースする際に、設計担当者によく言う言葉があります。

 それは・・・

 「動線、居住性、メンテのしやすさ この3点が満たされた上での意匠を考えるように」 です。

 何故この3点を言うのかを簡単に説明しておきます。



動線

 動線は言うまでもなく、人が動く線のことですが・・・

 その建物の住人が日常動く線を考え、なるべく無駄な動きをしなくても済むように部屋の配置をすることや、万が一の際の避難経路が(二方向避難も含め)最短距離で取れるように廊下等の配置をすることです。



居住性

 建物は箱です。いくら外壁が良くても、床材、調度品が良くても、人が生活する上に於いて、電気設備、衛生設備、空調設備等の設備が整っていなければ、今の時代には快適な生活を送ることが出来ません。

 衛生設備は、便器等決まった部屋(スペース)に収まりますので、外部で考えなければならないのは、給湯設備くらいなのですが、空調設備の場合は、室内機と室外機に分かれます。室内機は部屋内に納まりますが、室外機は字のごとく室外に設置されます。

 敷地が大きく余裕があり、室外機が少なければ、どれだけでも置くことは可能ですが、限られた土地の場合には、最初から室外機の存在を考えて建物の設計をしておかないと、とんでも無い場所に室外機を設置することになってしまう場合がありますので、ご注意ください。

 一般住居の場合には、エアコン等後付で対応する場合も多いのですが、部屋数が多ければ、それだけ室外機の数も多くなります。もし、エアコンの数が多くなるのが、最初から分かっているのでしたら、室外機をマルチタイプにして減らしたり、冷媒管やドレーン配管の工事を建築工事の日程とすり合わせ、工事をすることも可能になりますから、外部に配管が出るのは、室外機との接続部分だけと、建物の仕上がりを綺麗にすることも可能になると思います。



メンテナンスのしやすさ

 建物には、一旦作れば、解体時までなぶらなくてもいい物もあれば、ある一定の年月が経過したら、交換しなければならない物もありますし、電化製品など、機械物は、故障によって、物が古い、新しいに関係なく交換を余儀なくされる物もあります。

 そういった交換しなければならない物が、交換しづらい場所に設置してあると、メンテナンス時に大変なことになりますので、パイプスペースの位置や点検口の位置など、メンテナンスをしやすくされておくといいかと思います。

 基本的に、機械物は、確実に交換しやすい場所に配置されておくことですね。

 どうしても建物の中には、メンテナンスをしなければならない場所が発生しますが、出来る限りメンテナンスが発生しないように建物を作るのもランニングコストを抑えるための一つの方法です。

 いくらイニシャルコスト(初期投資費用)を抑えても、ランニングコスト(維持管理費用)が多くなれば、トータルのライフサイクルコストが増えますから、最初は安い買い物をしたと思っても、結果的に高い買い物になってしまいます。


 私は、これらの3点を満たしていない場合は、いくら良いデザインを提案してきたとしても、基本的に却下します。

 満たせれるようにデザインを変更したとしても、考えれば、いいデザインはいくらでも浮かびますからね^^


 最後になりましたが、あくまでこれらのことは、杭、基礎、構造など、建物の根幹部分の要件を満たした上でのことです。

 耐震基準が満たされていない建物の場合は、地震の際に倒壊することがあります。

 いくら動線、居住性、メンテナンス等を考えた設計になっていても、倒壊してしまうような建物では、何にもならないですからね。

 建物を建てる予定だった場所の地質が柔らかく、支持地盤まで杭を打つ費用がかさみ、総工事費が膨らんでしまい、事業として成り立たなくなる場合もあります。

 そういう場合には、予定地を変更するなど、事業の見直しをしてみることも必要だと思います。

 これくらいはいいだろうで、杭が支持地盤に到達していない状態で建ててしまうと、地面の上に建っているのですが、実際には、宙に浮かんでいる状態と同じで、地震等何らかの力が加われば、間違いなく沈んだり、傾いたりしてしまいます。

 杭、基礎、構造が一番重要であることを念頭に置いて、意匠を考えるようにしてください。



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