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事件経過 |
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問われている罪 |
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本件
別件
※ 求刑死刑に対しての判決例|死刑がやむを得ない場合|死刑執行方法 |
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少年事件での刑事処分 |
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少年事件(14歳以上)は、原則として家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が、審判不開始、不処分、保護処分(少年院送致、保護観察)、検察官送致(逆送)などの判断をする。ただし、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人、強盗致死などの罪)の事件で、その罪を犯した時に16歳以上の少年については原則逆送(少年法第20条第2項)。
家庭裁判所が少年を刑事処分にする必要があると認めた場合、検察官送致(逆送)した後、地方裁判所で刑事裁判として審理される。少年法では、罪を犯した時に18歳未満の者に対しては、死刑で処断すべき時であっても無期刑を科す(少年法第51条第1項)ことになっているが、18歳以上の場合は制限されていないため、罪責が重い場合には、成人同様、刑罰に死刑の選択もあり得る。
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時系列 |
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本件の犯罪行為を死刑適用基準に照らし合わせてみると・・・ |
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本件では、死刑を求刑されています。はたして、死刑がやむを得ない犯罪行為と言えるのか、参考までに、死刑に関してのページの死刑適用基準で紹介した以下の12項目の要件を本件に当てはめて書いておきます。
死刑適用基準の要件と照らし合わせると、本件は、被害死者が複数ということで殺人前科の要件を除外していますので、全ての要件を満たしている事件になります。もし、本件が20歳以上の犯行であれば、「死刑がやむを得ない」と判断される可能性が非常に高くなる事件と言えます。 ただし、本件は少年事件で更生可能性も考慮するため、成人と同じように判断できないのですが・・・ 複数犯による犯行、殺人計画性強固、罪を被せるための身代わりを用意、罪を被せるための隠ぺい工作、少年犯罪は罪が軽いという状況を悪用した犯行など、同様に少年事件で死刑判決が出た光市母子殺害事件より悪質な事件に感じます。 ですので、罪質が悪く、結果も重大で、罪責が非常に重くなるため、もし、仮に更生可能性が少しあったとしても、刑を減軽するまでの特段の事情にならず、死刑の選択もやむを得ない状態だと思いますね。 |
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罪責が重い場合の無期刑は終身刑に・・・ |
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少年事件の判断は非常に難しいですが、本件のようにこれだけ罪責が重いと、弁護側主張の少年院送致の保護処分はありえませんので、刑事処分になります。 また、有期懲役刑もありえませんから、無期懲役か死刑のどちらかなのですが・・・ 無期刑というのは、満期が無い刑で、基本的に死ぬまで刑となる罰です。ただし、制度上仮釈放されることがあるので、死んで満期となる前に、刑務所から仮釈放される可能性があります。 また、無期刑には、死刑に近くて無期刑になった受刑者も居れば、有期刑では軽すぎる(現在仮釈放されている対象者の事件当時の刑法での有期は懲役20年が最長)から無期刑へと有期に近い状態で無期刑になった受刑者も居るなど、受刑者の罪責の幅が広くなっています。 同じ無期刑受刑者でも、死刑に近い罪責の者と有期に近い罪責の者を同様にすることはあり得ません。当然の事ながら罪責の重い者の無期刑受刑者の仮釈放の審査は厳しくなります。 本件のような死刑の可能性にある罪責で無期懲役の場合は、仮釈放の可能性は限りなくゼロに近く、寿命がきて獄死するまで受刑しなければならない重い刑罰になる可能性が高くなります。 何故そうなるのか?参考までに、先だって発表された、無期刑の運用状況の中の仮釈放の審査で不許可になった2名殺害した受刑者の情報で簡単に説明しておきます。
1人は70歳代で約51年、もう1人は80歳代で約35年。判決が確定してからの年数になりますので、逆算して犯行時を推測すると、20歳代と40代歳頃になります。 今回の審査でこの受刑者達は、仮釈放を許可されていませんので、次回の審査は、10年経過した時になります。 と、言うことは、次回の審査時に受刑者は、それぞれ80歳代と90歳代になっています。 80歳代の受刑者は在所期間が60年になりますし、90歳代の受刑者は在所期間が45年ですが、はたして寿命があって生きているのでしょうか?80歳代でも残りの人生が僅かですし、90歳代だと平均寿命を越してしまうので、どちらかと言うと、獄死している可能性の方が高くなります。 罪責が重い無期刑は、このように50年経過しても仮釈放にならない場合もありますし、獄死するまで出れない場合もあります。あくまで、仮釈放の可能性があると言うだけのことで、仮釈放になるとも限りません。よって、罪責が重い場合には、死刑だけでなく無期刑も厳刑となります。 本件の判決が死刑になるのか、無期になるのかは、どちらの判決が出ても不思議でない事件ですから、両方とも可能性はありますが、どちらにしても被告にとって厳罰となることは確かですし、被告の残りの人生は塀の中になってしまいます。 ただ、被告にしてみても、無期刑がこれほど重い刑でもあるということを知らないと思いますし、光市の被告のように死刑を回避して無期になった際、短期の受刑をすれば仮釈放で出れるように勘違いしてる可能性もあると思います。 実際に体験してから分かるようでは遅いのですが・・・ 軽微な罪ならいざ知らず、重責が伴なう重い罪の場合は、例え初犯であっても取り返しのつかない事態に陥ります。 本件については、どちらの判決になろうとも、被告には、己の犯した罪の重さを自覚し、反省し続け、生ある限り贖罪の日々を送ってもらいたいと思いますね。 |
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(少年Aの)公判関係 |
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第一審 仙台地裁(鈴木信行裁判長) 裁判員裁判 事件番号:平成22年(わ)第258号 |
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控訴審 仙台高裁(飯渕進裁判長) 事件番号:平成23年(う)第1号|傍聴券交付情報;仙台高等裁判所 |
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2014年1月31日、被告Aの弁護側は即日上告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
上告審 最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長) 事件番号:平成26年(あ)第452号
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2016年6月27日、24歳被告の弁護側は判決訂正の申立てをした。最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は、上告審の死刑判決に対する被告側の訂正申し立てを6月29日付で棄却し、死刑判決が確定した。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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死刑を求刑された少年Aへの仙台地裁判決の要旨 |
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少年Aへの判決要旨は次の通り。
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(少年Bの)公判関係 |
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第一審 仙台地裁(川本清巌裁判長) 裁判員裁判 事件番号:平成22年(わ)第257号|傍聴券交付情報:仙台地方裁判所 |
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2011年1月5日午前0時、検察・弁護側共に控訴せず判決確定 |
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起訴された被告達の判決状況 |
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※年齢、職業は事件時 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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仮称 | 氏名 | 罪名 | 第一審 | 控訴審 | 上告審 | ||||
求刑 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | |||
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少年A | 千葉祐太郎 | 殺人などの罪 | 求刑死刑 | 死刑 | 仙台地裁 2010/11/25 |
控訴棄却 | 仙台高裁 2014/1/31 |
上告棄却 | 最高裁第1小法廷 2016/6/16 |
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