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性犯罪が起訴事実に含まれている殺人事件

殺人事件、裁判員裁判、性犯罪のコンテンツで扱っている事件の一覧

千葉商科大女子学生殺害事件


事件概要

 2011年6月11日、千葉県木更津市の林道脇で若い女性の全裸の遺体が発見された。遺体は市川市に住む千葉商科大の女子大生と判明。翌12日、木更津署捜査本部は、市川市に住む24歳の男を死体遺棄容疑で逮捕(男は容疑を否認)。

 7月3日、被害者の預金口座から現金を引き出した疑いがあるとして窃盗容疑で再逮捕。同24日、千葉地検は同罪で起訴。9月12日、木更津署捜査本部は、強盗殺人などの容疑で再逮捕。10月3日、千葉地検は、強盗殺人、強盗強姦、住居侵入罪で追起訴した。

 11月7日、木更津署捜査本部は、別の女性に対する強制わいせつなどの容疑で再逮捕。28日、千葉地検は24歳男を強制わいせつと住居侵入罪で追起訴した。

更新日時:
2011年12月2日




事件経過
日付 摘要
2011 06/11 午後3時10分頃、木更津市矢那の林道脇で若い女性の全裸の遺体が見つかる
パトロールしていた不法投棄監視員の60歳男性が見つけ、110番通報
06/12 千葉県警は、女性を同県市川市国府台、千葉商科大2年の19歳女子大学生と断定
県警は死体遺棄事件として木更津署に捜査本部を設置
深夜、県警木更津署捜査本部は、死体遺棄容疑で、市川市北国分、無職の24歳男を逮捕
06/13 未明、千葉県警木更津署捜査本部が会見。容疑者は容疑を否認
千葉県警は、朝から被害者の自宅アパートの現場検証。死体遺棄容疑で逮捕した容疑者宅を家宅捜索
木更津署捜査本部は、司法解剖の結果、被害者は窒息死の可能性が高いと発表
06/14 木更津署捜査本部は、死体遺棄容疑で、無職の24歳容疑者を千葉地検に送検
07/03 木更津署捜査本部は、24歳男を窃盗容疑で再逮捕。死体遺棄容疑については処分保留
07/24 千葉地検は被害者の預金口座から現金を引き出したとして、24歳容疑者を窃盗罪で起訴
08/10 別の女性宅に押し入って乱暴するなどした疑いがあるとして、木更津署捜査本部は、24歳男を強盗強姦、住居侵入容疑で再逮捕
08/31 千葉地検は、別の女性に対しての強盗強姦、住居侵入容疑については処分保留
09/12 木更津署捜査本部は24歳男を強盗殺人や住居侵入などの容疑で再逮捕
09/14 木更津署捜査本部は24歳男を千葉地検へ送検
10/03 千葉地検は強盗殺人、強盗強姦、住居侵入罪で、無職の24歳容疑者を追起訴
11/07 木更津署捜査本部は24歳男を強制わいせつなどの容疑で再逮捕
11/28 千葉地検は強制わいせつ、住居侵入罪で、無職の24歳容疑者を追起訴
更新日時:
2011年12月2日




起訴状況

刑法

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(強盗強姦及び同致死)
第二百四十一条 強盗が女子を強姦したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

(強制わいせつ)
第百七十六条  十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 強盗殺人罪の場合

性犯罪と殺人などの罪の場合
強盗強姦罪 刑法第241条 無期、7年以上の懲役
強制わいせつ罪 刑法第176条 6月以上10年以下の懲役
窃盗罪 刑法第235条 10年以下の懲役、50万円以下の罰金
住居侵入罪 刑法第130条 3年以下の懲役、10万円以下の罰金

※ 死刑がやむを得ない場合無期懲役仮釈放者の平均在所年数
更新日時:
2011年12月2日




公判関係

第一審 千葉地裁(稗田雅洋裁判長)


第一区分審理 強制わいせつ事件について
日付 摘要
2012 12/10 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 被告は「そのようなことは一切やっておりません」と述べ、起訴内容を否認
12/13 第2回公判 (論告、弁論) 検察側は「動機は身勝手で同情の余地はなく、計画的かつ悪質」と指摘し、有罪を求めた。弁護側は「客観的証拠が不十分な上、被害者の証言は不自然な部分が多く信用できない」として無罪を主張
2013 01/11 第3回公判 (判決) 裁判長は強制わいせつ事件で有罪を言い渡し
リンク:日本経済新聞

第二区分審理 裁判員裁判 強盗強姦事件について
日付 摘要
2013 01/23 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 被告は「一切関わっていない」と起訴内容を否認し、弁護側も「被告は犯人ではない」と争う姿勢を示す
02/01   (判決) 被告宅近くで見つかった軍手から、被告と被害女性両方のDNA型が検出されたことなどを挙げ、被告を犯人と判断。裁判長は強盗強姦事件で有罪の部分判決を言い渡し
リンク:千葉日報

最終審理 裁判員裁判 強盗殺人事件について
日付 摘要
2013 02/25 初公判 (冒頭陳述、罪状認否) 被告は「私は殺害していません。関係はあったが合意の上だった」と述べ、殺人や強姦については無罪を主張
02/26 第2回公判 (証人尋問) 県警捜査員が証人出廷。鑑識課の捜査員は、被告が所有するスニーカーの足裏の擦り減り具合が、現場の靴跡と一致すると説明
02/27 第3回公判 (証人尋問) 被害者の友人が証人出廷。「犯した罪と同じだけの罰を与えてほしい」と訴える
03/01 第4回公判 (証人尋問) 被害者の両親が証人出廷。「日本で最高の刑を与えてほしい」などと厳罰を訴える
03/04 第5回公判 (被告人質問) 被告は、第三者の名前を挙げ、犯行を否認。被告は、この日、知人の存在を改めて強調したが、連絡先について「新しい携帯電話には(知人の)連絡先が入ってないので、直接探すしかない」と述べる
03/05 第6回公判 (被告人質問) 検察側は男の主張の矛盾を追及。被告は「暴力団に所属する知人の男が殺害した」と繰り返し主張し、知人が出入りしていた暴力団の組名や知人が事件当日に使ったという車の種類やナンバーを証言
03/07 第7回公判 (被告人質問、被害者遺族の意見陳述、論告求刑、最終弁論、被告の最終意見陳述)
 被害女性の父親は意見陳述で「被告は、私たち家族の心まで本当にズタズタに引き裂いた」と極刑を求める。母親は、「娘は誰にもさよならも言えず、たった1人で突然逝った」と涙ながらに訴える
 検察側は「犯行は短期間に連続して行われ、反省の態度も見られない」と批判し、無期懲役を求刑
 被告は、「体験したことをありのままに話した。本当にやっていないので、それだけは信じていただきたい」と改めて無実を訴える
03/07
〜15
裁判官・裁判員評議
03/15 第8回公判 (判決) 千葉地裁は、25歳被告に対して求刑通り無期懲役を言い渡し
裁判長は「被告の主張は不自然で到底信用できない。金銭欲や性欲を満たすための凶行で、反省が見られず、更生の見込みは乏しい」と指摘
※2013年3月15日、被告は判決を不服として即日控訴

控訴審 東京高裁(八木正一裁判長)
日付 摘要
2013 12/18 初公判 (冒頭陳述) 
2014 01/24 第2回公判 (判決) 東京高裁は、「第三者が関与した具体的な事情はなく、被告が殺害したとする1審の判断に不合理な点はない」として、弁護側控訴を棄却
※2014年1月24日、弁護側は即日上告

上告審 最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)

最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は、2015年3月17日付けで27歳被告の弁護側の上告を棄却した。
更新日時:
2015年3月18日




本件の犯罪行為を死刑適用基準と照らし合わせてみると・・・

 本件の主となる罪は、強盗殺人という法定刑に死刑と無期懲役の規定しかない重い罪です。判決例を見ていただければ分かると思いますが、基本的に法定刑通り無期刑以上になっています。

 本件の被害死者は1名ですが、第二区分で有罪認定されている強盗強姦罪がありますので、有期刑はあり得ず、無期か死刑のどちらかになると思います。

 通常ならば無期懲役なのですが・・・ 公判での状態があまりにもひどいので、もしかしたら死刑もあり得るかもしれないと思うようになりました。

 はたして死刑の可能性があるのか?死刑を選択する際には、死刑適用基準の要件(死刑を科す際に考慮すべき要件についての最高裁判例)を満たす必要もありますので、参考までに、死刑に関してのページの死刑適用基準で紹介した以下の12項目の要件を本件に当てはめて考えてみます。

要件 該当
1 犯罪の性質

 強盗殺人は利欲的な犯罪ですし、法定刑に無期刑以上の規定しかない罪ですので、罪質は最悪です。
2 殺人の計画性

 殺人の計画性とは、いつの時点で殺人を計画したかということです。例えば、殺すために、殺傷力の高い刃物や首を絞めるための丈夫なロープを事前に用意するなどした場合に、殺人計画性が強くなります。

 公判でも被告の供述が変遷しているため、何が本当なのか分からない状態ですが、犯行態様からすると、少なくとも強姦している時点で殺意が無ければ、その後の行動(ポリ袋2枚をかぶせたこと)には結びつきません。殺害前に殺そうと思ったからその後ポリ袋をかぶせているので、直前に殺人の計画を立てて行動したことになります。

 殺害するために使ったのがポリ袋なので、殺人計画性としては弱くなります。
3 犯罪の主導性

 単独犯ですから、主導性はあります。
4 犯行の動機及び動機への情状

 強盗殺人の金銭目的、強盗強姦の性欲目的、どちらも自分の欲望を満たすためで、言うまでもなく、自分勝手な動機です。
5 犯行態様、特に殺害方法の執拗性、残虐性

 19歳女性宅に侵入。キャッシュカードを奪った上で乗用車の中に連れ込んで乱暴し、頭にポリ袋2枚をかぶせて女性を窒息死させた。
6 結果の重大性、特に殺害された被害者数

 本件は被害死者1名で複数死者ではありませんが、別に精神的に殺す行為の強盗強姦被害の女性もみえます。1名死者の場合よりも結果は重大になります。
7 遺族の被害感情

 突然、家族の命が奪われたのですから、言うまでもなく、遺族の方々の処罰感情は峻烈だと思います。
8 社会的影響

 被害者と加害者の関係が、全くの赤の他人同士ですから、公共性は非常に高くなります。
9 犯人の年齢

 容疑者は24歳ですから、死刑適用可能な18歳をとうに超えています。刑罰に死刑を選択するのは問題ありません。
10 殺人の前科

  どういう前科があるかは、捜査で調べているだろうと思います。ただ、たぶん初犯でしょうし、殺人の前科は無いと思いますが・・・ 被害死者数が1人の場合でも、被告が過去に殺人を犯して通算すると2人以上の複数になる場合があります。この要件は、そういう場合を想定してあります。

 本件の被告は、殺人前科ではありませんが、別に強制わいせつ事件、強盗強姦事件も起こしていて、性犯罪傾向が強くあることが伺えます。
11 犯行後の情状

 死体遺棄罪では起訴されていませんが、あくまで検察が立証するのに証拠が乏しいということで不起訴になっています。遺体が一人で歩いていくわけがありませんので、殺害後、遺体が遺棄されています。殺害後、隠ぺい工作で自宅から離れた所に被害者を全裸で遺棄しているので犯行後の情状は悪いです。
12 犯行後の反省

 この項目は、被害に遭われた方々への心からの謝罪や被害弁償など、被害に遭われた方や被害者遺族の処罰感情が和らぐくらいの姿勢を表さないと評価されません。

 公判でも矛盾だらけの荒唐無稽な弁解をしている状態なので、反省しているとは到底思えません。

 殺人前科については、前科は無くても、強制わいせつ、強盗強姦、強盗強姦と、本件の被告は性犯罪性向が強いという特徴があります。

 本件での被害死者は1人ですので、公判が始まる前は、被告が罪を認めて反省していれば、無期懲役だと思っていたのですが、公判では罪と向き合うどころか、第三者の名前まで出して他人のせいにしてました。

 (起訴から初公判までの拘置期間が約1年と長かったので、いくらでも考える時間はあります。何とか罪にならないように考えたのでしょうが・・・ 全部否定してしまうと、自分が考えたシナリオと実際の証拠の辻褄が合わなくなり、合理的な説明どころか、矛盾だらけに陥ってしまう可能性が高いのだけど、そうなることは考えなかったのかな?)

 先月でしたが、被害死者が1人で前科が無い岡山元同僚殺害事件の被告に対して、検察は死刑で臨みましたし、判決でも死刑判決が出ています。

 被害死者1人で、殺人計画性と犯行態様の残虐性が弱いので、求刑無期の可能性の方が大きいですが、強殺と強盗強姦という金欲、性欲など利欲的な犯罪で罪質が非常に悪いので、少しですが、求刑死刑の可能性もあるように思えます。
更新日時:
2013年3月6日




被告の判決状況

被告 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
本田祐樹 強盗殺人などの罪 求刑無期懲役 無期懲役 千葉地裁
2013/3/15
控訴棄却 東京高裁
2014/1/24
上告棄却 最高裁第1小法廷
更新日時:
2014年3月18日



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