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事件概要 |
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2011年10月1日、岡山市の27歳女性の家族が、「娘が帰宅しない」と岡山県警に捜索願を届け出。6日、岡山県警は会社の防犯カメラに一緒に歩く2人が映っていたことなどから29歳男を割り出し、大阪府警住吉署に任意同行して取り調べたところ、男が殺害を自供。岡山県警は、大阪市住吉区沢之町の無職、29歳男を殺人容疑で逮捕した。 翌7日、容疑者が自宅近くに借りていたガレージを県警が捜索。ガレージ内から包丁やノコギリなど複数の刃物を押収。女性とみられる遺体の一部(胴体の一部)を発見した。10日、DNA鑑定の結果、発見した遺体の一部が27歳女性のものと判明。27日、岡山地検は、殺人や死体遺棄・損壊などの罪で、元同僚の無職、29歳容疑者を起訴した。 2012年4月17日、犯行前に勤務先から会社の備品を盗んでいたことが分かり、岡山県警捜査1課と岡山西署は窃盗容疑で再逮捕した。5月25日、岡山地検は、供述から女性への強盗や暴行が明らかになったとして、強盗殺人、強盗強姦罪への訴因変更を岡山地裁に申し立てた。 |
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※岡山市北区高柳東町周辺の地図 - Yahoo!ロコ |
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起訴状況 |
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※ 被害死者数1人の際の死刑求刑に対しての判決例|死刑がやむを得ない場合|死刑執行方法 ※ 無期懲役仮釈放者の平均在所年数 |
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公判関係 |
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第一審 岡山地裁(森岡孝介裁判長) 裁判員裁判 事件番号:平成23年(わ)第570号等|傍聴券交付情報:岡山地方裁判所 |
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※弁護側は判決を不服として即日控訴 被告の弁護士は「僕たちが控訴しましたよと(伝えると)。(住田被告は)わかりましたと。そういうやりとりだけです。(住田被告は)まあ普通の、取り乱すでもなく、といった表情です」と語る。 2013年3月25日、被告が控訴を取り下げ死刑判決が確定した。 |
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岡山地裁での判決要旨(2013/02/14) |
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岡山地裁での判決要旨は以下の通り。 【主文】 被告人を死刑に処する。 【動機】 女性を乱暴して欲望不満を解消し、証拠隠滅のため殺害した。欲望を満たし、保身のため他人の生命を絶つことすらいとわない、性的自由や人命を軽視する極めて自己中心的で身勝手なものだ。強盗目的もあり、動機に斟酌の余地は全くない。 【計画性】 犯行場所を下見、ナイフや手錠を用意して計画通り実行した。殺害した際の大量出血を予想しないなどずさんな点もあるが、入念に準備された計画性の高い犯行。殺害と遺体の処理まで考えた点は強く非難されるべきだ。 【犯行態様】 被害者に暴行や脅迫を加えて乱暴、絞殺しようとしたが失敗。刃物で急所を多数回突き刺した。執拗で、強固な殺意に基づく冷酷かつ残虐なものだ。遺体を解体、遺棄して証拠隠滅を図り、犯行後の情状も良くない。 【遺族感情など】 被害者は人の良さが災いして被告と犯行現場へ行き、尊厳を踏みにじられ懇願もむなしく殺害された。無念さは察するに余りある。 遺族らは愛する被害者ばかりか、その遺体のほとんどが失われてしまった。当然だが、被告への峻烈な処罰感情を表明している。 【結果の重大さ】 被害者は1人だが、性的被害も伴い結果は重大。犯情は極めて悪く、特に斟酌すべき事情がない限り、死刑の選択をするほかない。 【酌量すべき事情】 起訴後に自らの事件の真相を告白したことは解明に役立った点で評価できる。反省の表れの一つともいえるが、その時期や、悔悟から出た告白かどうかに疑問があり、大きく考慮できるものではない。 公判中の供述の変遷も踏まえた反省や謝罪について言えば、謝罪は途中でなされ、被害者の両親の話との関係で出た一面的なもの。被害者の心情を思いやったとは認め難い。謝罪の手紙は出しておらず自己洞察を深めた内省の弁も聞かれない。 公判当初は死刑になるため身勝手な考え方をとったとするが、自己中心的な発想。うそが遺族を傷付けることに気付かず反省や謝罪は不十分。 前科前歴がないとの有利な事情はあるが、深まりに乏しい反省や、凶悪かつ非情な犯行を実行したことから、犯罪的傾向があることも否定できない。更生可能性は高いとは言えず、大きく斟酌するのも相当ではない。 【結論】 以上によれば、有利な感情である真相の告白を考慮し、年齢や社会的影響について検討しても、死刑を回避するほど特に酌量すべき事情があるとまでは言えない。 |
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第一審判決公判傍聴記 |
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私は2chの歴代死刑囚スレをたまに見るのですが、そのスレに、本件の判決公判の傍聴の抽選に当たった方の投稿がありました。ざっと読んだら、傍聴に慣れてみえる方なのか、被害死者が1名の本件で、何故被告に死刑が選択されたのかを解りやすく書いてありましたので、以下に紹介しておきます。(ちなみに、死刑スレの住人の方だと思いますし、書いてある内容からして、死刑がやむを得ない場合などについては熟知してみえると思います)。
本件では、控訴期限が2月28日まであるのに、弁護側(弁護人)は被告人と充分な話し合いもせず、即日控訴しました。 この方は、最後に「もしかすると被告人は控訴を取り下げ、1審で確定してしまうかもしれない」と書いてみえますが、ちなみに、私もこれまでの本件に関するいろいろな記事を読んできて、この被告人だと、もし死刑判決が出たら、仮に弁護人が控訴しても、自分で取り下げて判決を確定させてしまうかもしれないな・・・ と、この方と同じことを感じていました。 弁護側は、求刑死刑の可能性が高い(死刑判決の可能性が高い)場合には、何とか無期懲役にもっていこうとしますが・・・ 求刑死刑の場合は、もし無期懲役になったとしても、特別な無期で、求刑無期で無期懲役の場合とは違った運用がされています。 被告の年齢が仮に若くても仮釈放の運用が厳しく、仮釈放許可が出る前に寿命がきて獄死する可能性が非常に高くなります。本件の場合、現時点で30歳の被告人ですが、限りなくゼロに近い仮釈放の可能性の中で、残りの人生を労役を科されながら刑務所の中で過ごすことになります。 私は癌に罹患し、侵されていた臓器をいくつか出来る限り早く摘出しなければ助からないという状況になった際、死と正面から向かい合いいろいろと考えました。仮に侵された臓器を全て摘出しても、一度出来た体質ですから、いずれ別の場所で再発する可能性があります。再発したらまた切ればいいとは思っていますが、肝臓やすい臓などの沈黙の臓器の場合、症状が出てきた時点で手遅れという状況になることもあります。 そういう可能性も考えたら、いくら今50代であっても、いつその時が来るか分かりません。結果、自分の残された人生をいかに生きて、どう死んでいくかという考えに至りました。簡単に書くと、自分の生き様(死に様)をどうするかです。 もし、罪責が重く、死刑がやむを得ない場合で、被告人自身が死刑が相当だと思っている場合、刑を死刑から無期へと軽くすることよりも、(いつになるか分かりませんが)執行の日まで、自分の犯した罪と向き合い、自分が殺めた被害者の供養に専念できるよう時間を充分に作ることが出来る死刑の方が、被告のためには良いと思っています。 本件の被告については、記事の範囲内でしか分かりませんが、東京江東区女性バラバラ殺人事件の被告(現受刑者)と同じように、自分の犯した罪の重さを充分承知しているから、死刑になりたかったと言っているように感じましたので、二度と外の世界に出る可能性が殆ど無い(生きる希望が無い)無期懲役で年老いてから獄死するよりも、無期懲役よりも余命は確実に短くはなりますが、死刑の方が、被告にとっては、罪と向き合い内省を深め、被害者の供養に専念するこが可能ですから、残りの人生を有意義に過ごせるように思います。 ただし、罪責が非常に重く、死刑しかあり得なくても、自分は死にたくなくて、控訴、上告、判決訂正申立て、と判決確定まで時間を延ばし、死刑判決が確定しても、再審請求を繰り返し、執行逃れをするような死刑囚が多いので、前述したような例は稀になりますが・・・ |
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被告 | 罪名 | 第一審 | 控訴審 | 上告審 | ||||||
求刑 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | ||||
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住田紘一 | 強盗殺人などの罪 | 求刑死刑 | 死刑 | 岡山地裁 2013/2/14 |
控訴取下 | 広島高裁岡山支部 2013/3/28 |
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死刑執行 |
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確定死刑囚2人の刑が2017年7月13日午前に執行されたことについて、金田勝年法相は同日午後、臨時記者会見を行った。執行されたのは、1991年に女性4人を殺害するなどし、再審請求中だった西川正勝(61)=大阪拘置所=と、2011年に元同僚の女性を殺害した住田紘一(34)=広島拘置所=の2死刑囚。再審請求中の執行は1999年12月以来とみられ、極めて異例。金田法相は「再審請求を行っているから執行しないという考えはとっていない」との見解を示した。 |
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