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殺人事件について…

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2人生き埋め集団リンチ殺人事件


事件の概要

 2006年6月に岡山市灘崎町の建築資材置き場で大阪府の21歳大学生と21歳無職の2人が生き埋めにされ殺害されたという事件ですが、集団リンチ事件ということで、当時は相当騒がれましたので、覚えてみえる方も多いと思います。

 事の発端は、加害者側のGと被害者側の大学生が、1人の女子大生をめぐってトラブルになり、話し合いをしても埒が明かず、その挙句2人が殴りあいの喧嘩になったことです。

 1対1の喧嘩で、お互いに手を出せば、それぞれの怪我の度合いにもよりますが、喧嘩両成敗ですから、例え訴えても双方が暴行や傷害に問われます。

(傷害)
第二百四条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(暴行)
第二百八条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 お互い様で、その時点で済んでいれば、こういうことにもならなかったのでしょうが・・・

 やられた側である今回の被害者側が人数を集め、喧嘩の仕返しとして、5人で今回の加害者側のGとFに集団暴行をしました。

 この時点で、Fも暴行されているのは、5人でGを探していてた時に、たまたまGがFと一緒にいたから巻き込まれてしまったのかは分かりませんが・・・ 2対5ということで、5である方が格段に悪くなります。

 その際に慰謝料を請求されたようですが、何の慰謝料かな? 最初の喧嘩で怪我をしたことに対する慰謝料なら、Fは部外者ですから、払う必要はありません。

 関係ないのに、5人に暴行され、いわれの無い金品を要求されているのですから、恐喝(未遂)行為そのものです。(条文では、交付させた者とありますが、未遂も罰するので、交付させようとした場合でも該当するのですよね。。。)

(傷害)
第二百四条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(現場助勢)
第二百六条  前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(同時傷害の特例)
第二百七条  二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

(暴行)
第二百八条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。


(恐喝)
第二百四十九条  人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(未遂罪)
第二百五十条  この章の罪の未遂は、罰する。

 この時点でFが警察に被害届を出していれば、今回の加害者側が被害者であり、被害者側が加害者側になっていましたが・・・ Fが相談した相手は、警察でなく、友人のBやAでした。

 やられたらやり返すの繰り返しで、どんどんエスカレートしていき、1対1が、2対5になり、そして、9対3になり、この集団リンチ殺人事件になってしまったようですね。。。

 どういう理由があるにせよ、殺意を持って人を殺せば、殺人罪が適用されます。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 この事件で起訴された8人の被告の第一審判決が出揃いましたので、記録として残しておきます。
更新日時:
2007年10月03日




起訴された8被告の第一審での判決状況


第一審 大阪地裁
仮称 判決 求刑 犯行時年齢 犯行時 罪名 日付 上訴
A 無期懲役 求刑無期 21 大学3年 殺人などの罪 2007/10/02 控訴
D 懲役20年 求刑懲役25年 22 大学4年 殺人などの罪 2007/10/02 控訴
E 懲役17年 求刑懲役20年 33 暴力団関係者 殺人などの罪 2007/05/29 控訴
F 懲役9年 求刑懲役18年 21 大学3年 殺人などの罪 2007/05/29 控訴
G 懲役9年 求刑懲役18年 21 アルバイト 殺人などの罪 2007/05/29 控訴
H 懲役7年 求刑懲役15年 21 無職 殺人などの罪 2007/05/29 控訴
B 死刑 求刑死刑 21 無職 殺人、暴力行為法違反などの罪 2007/05/22 控訴
C 懲役15年 求刑無期 16 重機運転手 殺人、暴力行為法違反などの罪 2007/05/11 控訴

※、少年法の規定では、18歳未満の少年に対する刑罰として死刑はありませんので、18歳未満の少年の場合には、無期懲役が最高刑になります。犯行時年齢が16歳のCに対して求刑無期ですから、刑罰として最高刑を求刑されていることになります。




この事件の第一審の判決の結果を見て思うこと・・・

 8人の中で犯罪を主導した実行役のリーダーであるBに対して死刑判決が出ていますが、主たる罪が殺人罪の場合の量刑は、強盗殺人罪の場合と違い、被害死者2人であっても、死刑に関して の 2人以上の被害死者を出した犯罪行為に対しての判決例 のページで紹介しているように、有期懲役、無期懲役、死刑と判例も様々です。

 刑罰は、犯した罪に対して決められますが、死刑を選択する際には、死刑適用基準を参考にして刑を決めていると思います。

 殺人罪の条文には、死刑が規定されているので、人を殺せば、被害死者が1人であっても死刑になる可能性があります。

 この事件は、被害死者が2人という複数で、集団リンチ殺人という社会的影響が大きい事件でした。

 死刑適用基準から考えても、11項目の内、殺人前科が該当しないのと犯罪行為を反省してること(被害者遺族と民事で示談が成立してるくらいなのかは定かではありませんが・・・)以外の9項目には、該当しています。

 被害死者が複数であれば、殺人前科が無くても、死刑適用に支障はありませんし、犯した罪が重ければ、いくら反省していたとしても、減刑にするほどの酌量要件にはなりませんので、死刑適用基準を満たすことになります。

 事が重大ですし、集団での犯行ですので、誰かが責任を取らなければならなくなりますが、これだけ人数が多いと、当然主犯従犯関係になりますから、主犯クラスの誰かが、責任を取ることになります。

 一審の結果では、同じ主犯格でも、集団リンチを考えたAよりも、実際に殺害を指揮したBの方の罪が重いということで、死刑判決になったと思います。

 大部分の被告が控訴したようですが、控訴審は事実認定です。

 殺意を持って殺害したのを認めている状況で、はたして控訴審が第一審と違った判断をするのか・・・?

 今の裁判は早いですから、控訴審の結果も近いうちに分かると思います。

※ 死刑がやむを得ない場合死刑執行方法無期懲役仮釈放者の平均在所年数
更新日時:
2007年10月03日




被告達の控訴審での判決状況


控訴審 大阪高裁
仮称 判決 一審 犯行時年齢 犯行時 罪名 日付 上訴
D 一審破棄 懲役18年 一審懲役20年 22 大学4年 殺人などの罪 2009/03/26 上告
A 控訴棄却 無期懲役   21 大学3年 殺人などの罪 2009/03/26 上告
B 控訴棄却 死刑   21 無職 殺人、暴力行為法違反などの罪 2008/05/20 上告
E 控訴棄却 懲役17年   33 暴力団関係者 殺人などの罪 2008/04/15 上告
F 控訴棄却 懲役9年   21 大学3年 殺人などの罪 2008/04/15 確定
G 一審破棄 懲役11年 一審懲役9年 21 アルバイト 殺人などの罪 2008/04/15 上告
H 控訴棄却 懲役7年   21 無職 殺人などの罪 2008/04/15 確定
C 控訴棄却 懲役15年   16 重機運転手 殺人、暴力行為法違反などの罪 2008/01/23 確定

更新日時:
2009年04月18日



被告達の上告審での判決状況

仮称 判決 犯行時年齢 罪名 裁判所 日付
年齢 職業
B 上告棄却 死刑 21 無職 殺人、暴力行為法違反などの罪 最高裁第2小法廷 2011/03/25
D 上告棄却 懲役18年 22 大学4年 殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2009/10/27
A 上告棄却 無期懲役 21 大学3年 殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2009/10/27
E 上告棄却 懲役17年 33 暴力団関係者 殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2009/03/17
G 上告棄却 懲役11年 21 アルバイト 殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2008/09/16

更新日時:
2011年03月25日



被告達の判決状況

仮称 犯行時 第一審 控訴審 上告審
年齢 職業 求刑 判決 日付 判決 日付 判決 日付
A 21 大学3年 求刑無期 無期懲役 大阪地裁
2007/10/02
控訴棄却 大阪高裁
2009/03/26
上告棄却 最高裁第2小法廷
2009/10/27
B 21 無職 求刑死刑 死刑 大阪地裁
2007/05/22
控訴棄却 大阪高裁
2008/05/20
上告棄却 最高裁第2小法廷
2011/03/25
C 16 重機運転手 求刑無期 懲役15年 大阪地裁
2007/05/11
控訴棄却 大阪高裁
2008/01/13
-
D 22 大学4年 求刑懲役25年 懲役20年 大阪地裁
2007/10/02
一審破棄 大阪高裁
2009/03/26
上告棄却 最高裁第2小法廷
2009/10/27
懲役18年
E 33 暴力団関係者 求刑懲役20年 懲役17年 大阪地裁
2007/05/29
控訴棄却 大阪高裁
2008/04/15
上告棄却 最高裁第2小法廷
2009/03/17
F 21 大学3年 求刑懲役18年 懲役9年 大阪地裁
2007/05/29
控訴棄却 大阪高裁
2008/04/15
-
G 21 アルバイト 求刑懲役18年 懲役9年 大阪地裁
2007/05/29
一審破棄 大阪高裁
2008/04/15
上告棄却 最高裁第2小法廷
2008/09/16
懲役11年
H 21 無職 求刑懲役15年 懲役7年 大阪地裁
2007/05/29
控訴棄却 大阪高裁
2008/04/15
-

更新日時:
2011年03月25日



控訴審までに死刑判決が下りた被告の判決状況

仮称 氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
B 小林竜司 殺人、暴力行為法違反などの罪 求刑死刑 死刑 大阪地裁
2007/05/22
控訴棄却 大阪高裁
2008/05/20
上告棄却 最高裁第2小法廷
2011/03/25

更新日時:
2011年03月25日


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