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事件概要 |
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2008年5月8日、京都府舞鶴市の15歳高校1年生の女子が、朝来川の南側斜面で死亡しているのが見つかった。 京都府警は殺人、死体遺棄の疑いで舞鶴署に捜査本部を設置。防犯カメラに、被害者と一緒に自転車を押して歩く男性の姿が写っていたことなどから、交友関係などを中心に捜査していた。同年11月、京都府警舞鶴署捜査本部は、殺人、死体遺棄容疑で、遺体発見現場の近くに住む無職の60歳男宅を家宅捜索。 2009年4月7日、京都府警舞鶴署捜査本部は、15歳女子高生を殺害したとして、当時、現場近くに住み、窃盗罪で服役中の60歳男を殺人、死体遺棄容疑で逮捕。同28日、京都地検は、殺人、強制わいせつ致死罪で起訴した。 |
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問われていた罪 |
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※ 死刑がやむを得ない場合|死刑執行方法|無期懲役仮釈放者の平均在所年数 |
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被告の前科 |
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本件は、殺人、強制わいせつ致死罪で起訴されているように、事実であれば、利欲的な殺人で強盗殺人と同様に罪質が悪く、被害死者が1名であっても死刑や無期懲役などの厳刑が選択される可能性が高くなります。また、量刑を選択する際に、死刑も考慮せざるを得ない場合には、死刑適用基準の要件にあるように、過去の殺人前科が影響してきます。 他の死刑適用基準の要件も関係してきますので、罪質や被害者死者数だけでは量刑は分かりませんが、同一条件であれば、死者数が1名より2名、2名より3名と、多い方の罪が重くなるのは当たり前のことです。よって、本件での被害死者が1名であっても、被告に殺人前科があれば、刑罰に死刑がやむを得ないと、死刑が選択される可能性が高くなります。 事件について書く場合、通常、被告の前科に触れませんが・・・ 検察は、本件の被告に対して求刑死刑で臨む可能性が高いと思われますし、何故(1名の被害者で)検察がそういう姿勢になる可能性が高いと思うのかを読まれた方が分かりやすくなるように、簡単にですが、本件の被告の過去の事件について書いておきます。
1973年の事件で約14年間服役となっていますが、当時の刑法の規定では、有期の上限が15年で併合罪でも最長20年でした。現行法では有期の最長が30年ですから、30年を超えないと無期にならないのですが、当時は20年を超えれば無期になっていました。 現行の無期刑では、30年経過して初めて仮釈放の審査を受ける資格を得るのですから、当時とは大違いですが・・・ 当時の仮釈放は今ほど厳しくなく、便宜、仮釈放されてきましたので、仮に、無期懲役になっても、無期懲役刑仮釈放者の平均在所年数の1977年〜1988年で16年程度となっているように、受刑態度が良ければ20年未満での仮釈放も可能でした。 当時は無期ですらそうでしたし、有期の併合罪での最長でも懲役20年でしたから、2人殺害で14年服役となっていても何ら不思議はありません。 ただし、今なら、別れ話のもつれで内妻を刺殺し、内妻の兄とは言え、直接関係の無い人を殺害し、被害死者が2人になれば、社会的影響、結果の重大性などから、ほぼ無期懲役以上の刑になります。仮に無期なら、最短でも服役30年以上が確定しますので、服役14年で仮出所は、現在ではあり得ないことですがね。。。 ※参考
被告は、無罪を主張してますが、無罪主張にも2種類あり、本当に無実で無罪を主張する場合と、(死刑又は厳刑が予想されるなど刑に服したくないので)嘘をついて無罪主張する場合があります。本件の被告がどちらなのかは、メディアにリークされている情報だけでは分かりません。 どちらの無罪主張にしろ、裁判所が被告を有罪と認定するにはそれなりの証拠の積み重ねが必要ですし、刑事事件では、検察に100%立証責任があります。被告を起訴した以上、検察は裁判の中で証明していくと思いますし、立証しなければなりません。 |
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追記 ちなみに、殺人前科がある場合の量刑の傾向 を別のページでまとめてありますが・・・ 殺人前科がある場合には、仮に被害死者が1名であったとしても、当該事件の罪に対して死刑はやむを得ないと、刑罰に死刑が選択されている例がいかに多いかが分かると思います。 |
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公判関係 |
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第一審 京都地裁(笹野明義裁判長) 事件番号:平成21年(わ)第519号|傍聴券交付情報:京都地方裁判所 |
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検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論を別の日に設定した場合は、検察が死刑求刑で臨む可能性が高くなります。 |
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控訴審 大阪高裁(川合昌幸裁判長) 事件番号:平成23年(う)第889号|傍聴券交付情報:大阪高等裁判所 |
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12月25日、大阪高検は、一審の無期懲役判決を破棄し、無罪とした二審判決を不服として、最高裁に上告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
上告審 最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長) 2014年7月8日付けで、検察側上告を棄却 第1小法廷は、目撃者の証言について、「事件直後は年齢や目つきなどが被告の特徴と異なっていたが、取り調べが進むにつれて徐々に一致するようになった」と指摘。被告の供述についても、「当初は曖昧だったのに、長時間の取り調べで具体的なものに変わっていった」と指摘。「被告を犯人とするには合理的な疑いが残るとした二審判決に誤りはない」と結論付けた。 |
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第一審(京都地裁)での論告要旨 |
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被告に対する論告要旨は以下の通り。
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第一審(京都地裁)での最終弁論要旨 |
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弁護側の最終弁論要旨は以下の通り。
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大阪高裁の判決要旨 |
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大阪高裁の判決要旨は以下の通り。
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最高裁の決定骨子 |
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最高裁の決定骨子は以下の通り。
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別件の公判関係 |
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第一審 大阪地裁(長瀬敬昭裁判長) 裁判員裁判 殺人未遂、強制わいせつ致傷、建造物侵入罪 |
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期限の2016年3月18日までに検察弁護側共に控訴せず、懲役16年の刑が確定 | ||||||||||||||||||
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氏名 | 罪名 | 第一審 | 控訴審 | 上告審 | |||||
求刑 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | 判決 | 裁判所・日付 | |||
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殺人などの罪 | 求刑死刑 | 京都地裁 2011/05/18 |
一審破棄 | 無罪 | 大阪高裁 2012/12/12 |
上告棄却 | 最高裁第1小法廷 2014/7/8 |
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強制わいせつ致傷 などの罪 |
求刑懲役25年 | 懲役16年 | 大阪地裁 2016/03/04 |
非控訴 | − |
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67歳受刑者死亡 |
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