性犯罪と殺人などの罪の場合

（強盗致死傷） 第二百四十条 　強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。 （殺人） 第百九十九条 　人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。 刑法（明治40年4月24日法律第45号） 2005/6/22〜2011/11/8（No.001〜No.1000）のデータを元にグラフを作成　（元データについては　性犯罪・判例　のページへどうぞ） 刑罰 死刑 無期懲役 有期懲役20年以上 合計 人数 4 16 1 21 　合計21人の中で、複数被害死者の場合の量刑は死刑判決の2人だけです。残りの19人は、全て被害死者が1名での量刑になります。また、21人中9人が求刑死刑で、残りの12人は全て求刑無期懲役になります。 21被告中6被告が関係している事件 千葉市川英国人女性殺害事件 求刑無期懲役　一審無期懲役　（控訴中） 千葉女子大学生殺害放火事件 求刑死刑　一審死刑　（控訴中） 京都舞鶴高1女子殺害事件 求刑死刑　一審無期懲役　（控訴中） 愛知女性拉致殺害事件 求刑死刑　無期懲役 東京江東区女性バラバラ殺人事件 求刑死刑　無期懲役 奈良小1女児誘拐殺人事件 求刑死刑　死刑 性犯罪殺人事件 　性犯罪と殺人などの罪に問われた場合、いかに罪が重くなるのか・・・　法定刑に死刑と無期懲役しか規定がない強盗殺人罪と、法定刑に有期懲役刑の規定がある殺人罪の場合と比較してみます。 　分かりやすいように、殺人事件判例で調べた主罪が強盗殺人と殺人罪の場合の量刑分布グラフを貼り付けます。 殺人事件判例の2005年6月7日から2010年1月25日までのデータ　（No.001〜1000）でのグラフ 　性犯罪と殺人（強盗殺人）罪の組み合わせは、6年間で21例です。強盗殺人罪の場合の161例と比較すると、約8分の1と少ないですが、有期懲役が少なく、無期懲役判決を受けた被告の数の約4分の1の数が死刑判決者数と、似たような特徴を持ったグラフになっています。 　それに対して、殺人罪の場合にも死刑判決もありますが、執行猶予付判決まで幅があり、懲役10年以上20年未満の判決が一番多いという、殺人罪の場合のグラフとは明らかに違っています。 　性犯罪と殺人（強盗殺人）罪の組み合わせは、別件を併合した場合を除き、基本的に強姦、わいせつ目的で性犯罪を犯し、その上、殺人行為をしてしまった場合が考えられます。 　強盗目的は己の金欲（金に対する欲望）を満たすために犯罪行為をしますが、強姦、わいせつ目的も己の性欲を満たすために犯罪行為をします。性犯罪目的は強盗目的と同様に利欲的な犯罪になり、罪質としては最悪になります。 　殺人罪の法定刑には有期刑の規定もありますが、性犯罪と殺人（強盗殺人）罪の組み合わせは、ほぼ無期以上の刑になり、場合によって（死刑適用基準の要件を満たす場合）は死刑もありうる重い罪ということが、これまでの量刑結果では表しています。

更新日時: 2011年12月08日

罪名に強姦等が含まれている無期刑受刑者の仮釈放審理状況

性犯罪と殺人などの罪に問われた場合、量刑が無期刑以上になりやすいという結果が出ましたが、その無期刑について少し書いておきます。 　日本の無期懲役は、仮釈放が無い絶対的終身刑ではありません。法律上、仮釈放される場合があります。ただし、仮釈放される場合があるというというだけのことで、確実に仮釈放されるわけではありません。 　実際の運用ではどうなっているのか？法務省保護局の無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等についてのページで公開されていますので、罪名に性犯罪（強姦・同致死傷などの罪）が含まれている無期刑受刑者で仮釈放の審理がされた29人（2009年、2010年の2年間）について、審理の状況を抜き出してまとめておきます。

無期刑受刑者（新仮釈放者）に係る仮釈放審理状況（平成21年）

No. 判断結果 判断時年齢 判断時 在所期間 主な罪名 被害者数 負傷者を含む 被害者数 内死者数 3 × 許可しない 60歳代 38年10月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 1人 1人 4 × 許可しない 60歳代 39年1月 殺人 強姦・同致死傷 1人 1人 16 × 許可しない 50歳代 30年9月 殺人 強姦・同致死傷 4人 1人

無期刑受刑者（新仮釈放者）に係る仮釈放審理状況（平成22年）

No. 判断結果 判断時年齢 判断時 在所期間 主な罪名 被害者数 負傷者を含む 被害者数 内死者数 5 × 許可しない 60歳代 37年7月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 5人以上 2人以上 11 × 許可しない 60歳代 39年3月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 4人 1人 19 × 許可しない 50歳代 33年1月 強盗強姦・同致死 その他 3人 1人 23 × 許可しない 60歳代 33年2月 殺人 強姦・同致死傷 2人 1人 26 × 許可しない 60歳代 37年10月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 2人 1人 27 × 許可しない 60歳代 40年7月 強盗致死傷 強姦・同致死傷 5人以上 1人 28 × 許可しない 60歳代 43年4月 殺人 強姦・同致死傷 4人 1人 30 × 許可しない 70歳代 32年11月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 2人 1人 33 × 許可しない 70歳代 42年0月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 2人 2人 35 × 許可しない 70歳代 53年11月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 5人以上 1人 39 × 許可しない 60歳代 31年9月 殺人 強姦・同致死傷 3人 2人以上 40 × 許可しない 70歳代 41年3月 殺人 強姦・同致死傷 4人 1人 45 × 許可しない 50歳代 31年11月 殺人 強姦・同致死傷 3人 1人 46 × 許可しない 50歳代 35年2月 殺人 強姦・同致死傷 5人以上 2人以上 47 × 許可しない 60歳代 31年0月 殺人 強姦・同致死傷 3人 1人 49 × 許可しない 50歳代 31年1月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 5人以上 1人 50 × 許可しない 60歳代 30年2月 殺人 強姦・同致死傷 5人以上 1人 51 × 許可しない 60歳代 30年5月 強盗致死傷 強姦・同致死傷 3人 1人 53 × 許可しない 60歳代 33年3月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 5人以上 1人 56 × 許可しない 80歳代 30年8月 殺人 強姦・同致死傷 5人以上 1人 59 × 許可しない 50歳代 31年9月 殺人 強姦・同致死傷 5人以上 1人 61 × 許可しない 60歳代 36年9月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 4人 1人 68 × 許可しない 60歳代 34年4月 強盗強姦・同致死 その他 5人以上 1人 69 × 許可しない 60歳代 38年2月 強盗致死傷 強盗強姦・同致死 5人以上 1人 判断時在所期間40年以上、及び死者数2人以上は太字

2009年、2010年に仮釈放の審理がされた93人の受刑者の内、罪名に性犯罪の「強盗強姦・同致死」や「強姦・同致死傷」が含まれている受刑者は、2009年に3人、2010年に24人と、計27人居ますが、27人全員の仮釈放が許可されていません。

更新日時: 2011年12月23日

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